「このプロダクトで世の中を良くする!」。そんな熱い思いを持って起業したものの、経営者は理想と現実の違いに悩みます。創業間もないスタートアップやベンチャー企業では、経営者が1人で何役もこなしていて、“本業”に集中できないことが多いからです。

特に大量のバックオフィス業務は、経営者の時間を奪います。必要だが、そこに時間を割くのはもったいない。本稿では、労務や法務など専門性が問われるバックオフィス業務を、外部に任せる際の考え方などをまとめます。時間を有効に使うヒントになれば幸いです。

1 経営者が経営に専念するには

人を採用する際の手続き、資金繰りに影響を与える消費税の支払いのプランニングなど、バックオフィス業務は多岐にわたります。一度経験すれば何となく理解できる実務がある一方、分かりにくいものも多く、初めてだと余計に手間がかかります。

また、ビジネスが大きくなってくると法令上の規制や権利関係が複雑になり、専門知識がなければ解決できない問題も出てきます。「個人情報保護法や民法が改正されるようだけど、今の利用規約で大丈夫なのだろうか?」といった具合です。

作業的なことから専門的な業務まで、経営者がやるべきことは多いもの。このようなとき、専門家の支援を受けることで、手間を減らせる場合があります。しかも、目先の作業をこなすだけではなく、新たなチャンスやリスクを認識できるかもしれません。

2 専門家の得意分野はさまざま

経営を支援してくれる専門家は、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁理士などさまざまです。これらの士業の他にも、一定の時間、業界関係者の知見を借りることができる“シェアエコ”(シェアリングエコノミー)のサービスもあります。

ここでは、弁護士などの士業に注目します。弁護士は法務の専門家、税理士は税務の専門家であることは誰もが知っています。例えば、契約のことで迷ったら弁護士、税務のことで迷ったら税理士に相談すればよいと思います。

しかし、実際に専門家に相談しようとすると、事態はそう簡単ではないことに気付きます。まず、創業間もないスタートアップやベンチャー企業は専門家と顧問契約を交わしているケースは少なく、今すぐに連絡できる先がないのです。

そこで、知り合いの経営者や取引している金融機関などから専門家を紹介してもらうわけですが、ここでまた問題が起こります。それは、それぞれ得意分野が異なるため、なかなか適切な専門家に出会えないことです。

例えば弁護士の場合、会社法や著作権法、労働法など得意分野は異なります。また、「スタートアップの実務はよく分からない」という弁護士もいるので、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。

さらに、案件が複雑になると複数の専門家に相談しなければならないケースも出てきます。例えば、資本政策の変更で株を買い戻したいときは、株価を算定する公認会計士と、交渉をサポートする弁護士の両方に相談しなければならないでしょう。

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3 相場はどのように形成されるのか?

相談する案件が複雑であれば、専門家に稼働してもらう時間も長くなるので相談料が高くなるのは当然です。しかし、決算業務などのように、ある意味定型的な案件であっても、依頼する税理士(監査を行うのは公認会計士)によって料金が異なることがあります。

かつて、税理士は「税理士報酬規定」に基づいて報酬を決めていましたが、今は廃止されています。今でもこの規定を参考にすることはありますが、基本は税理士次第です。規定の廃止は、同じ案件でも税理士によって料金が違うことが理由の一つとなっています。

この他、税理士が以前の所属先の料金を踏襲しているケースもあります。かつてどこかの事務所に所属していた税理士が独立する際、前の事務所が用いていた料金をそのまま踏襲するケースがあるのです。

このように、専門家への依頼料金には相場があるものの、必ずしも明確な裏付けがあるわけではありません。顧問料はその代表例といえるでしょう。この状況を踏まえれば、“頼りになる専門家”であることを前提に、料金が安い専門家を探すことが大切です。

4 リスク低減とチャンス創出

法的に見た場合、白か黒か、つまり適法か違法かの判断は比較的簡単につくでしょう。それを指摘するのは当然として、良い専門家が示してくれるのはグレーな部分、例えば「経営者がやろうとしていることは法令違反ではないが、際どい部分もある」というケースです。

例えば株価を算定するとき、「しゃくし定規に計算したら1株当たり●万円ですが、将来の買い取りを考えるなら、△円くらいまで落としても大丈夫だと思いますが……」といった提示をしてくれるのが良い専門家です。

最終的に株価を△円にするか否かは経営者の判断です。しかし、専門家が専門知識に基づいて示すグレーな領域やアドバイスは、それを知ることでリスク低減や、将来の成長余地につながることもあります。

5 専門家の力を借りる

ここまで紹介してきたことを踏まえつつ、経営者は、お付き合いする専門家を選ぶとよいでしょう。創業間もないスタートアップやベンチャー企業を支援している専門家は多く、1人でも知り合うことができれば、そこからネットワークが広がります。

専門家の力をうまく借りることができれば、経営者が手を動かす必要のないバックオフィス業務から解放され、複雑な案件についても専門知識に基づいた解決を図ることができるようになります。

知りたいことに正確に答えてくれて、料金も適正である。そのような専門家と数多くつながっていることは経営者に求められる能力の一つです。相談すべき案件はなくても、専門家とのネットワークづくりは今すぐに始めるべきだといえるでしょう。

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