書いてあること
- 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
- 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
- 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用
○○について、理想的なのはどのようなものですか?
営業担当は「質問」が苦手
営業は相手と会話をしながら進めていくものです。相手に質問したり、逆に相手からの質問に答えたり、提案内容を説明したり、意見交換したり。しかし、営業経験が長くても、会話に苦手意識を持つ人は意外と少なくありません。特に、「相手にうまく質問できない」人は多いのではないでしょうか。
試しに、営業セミナーや社内研修で、相手に質問してニーズを明らかにしていくロールプレイングをやってみてください。自分が、いかに相手に質問できていないか、相手のニーズを聞き出せないかが分かります。
「質問」しているようで決めつけてしまいがち
ニーズをヒアリングするとき、相手にいきなり「ニーズはなんですか?」と聞いても、おそらく答えてもらえません。
そこで、【営業最強フレーズ集】ヒアリング編1で紹介したように、「同業他社からは、○○という課題を聞きます。御社はいかがですか?」などのように質問していきますが、ここに「決めつけ」という落とし穴があるので要注意です。
ニーズヒアリングのとき、話の入り口として同業他社や相手にとっての顧客の事例を出したり、ニーズを想像しておいてから質問したり、というのはとても有効です。
けれど、それだけでは相手のニーズをきちんと聞き出せないときもあります。
「旅行」に望むものは……
例えば「社員研修を提案する」で考えてみましょう。
「御社の同業他社からは、新入社員研修として、オンラインでの商談マナーが人気でした。御社もいかがですか?」「当社のセミナーランキング1位は管理職向け財務研修です。御社の管理職向けにも合うと思いますが、どうですか?」
相手に響くこともあるかもしれませんが、こうした聞き方を続けていると、相手から「どれも興味ないからいいや」と言われかねません。一見、質問しているようでいて、実は相手のニーズを「決めつけ」て、それに対して「Yesか、Noか」を聞いているだけだからです。
そこで、冒頭で紹介した営業最強フレーズの出番です。「社員研修するとしたら、理想的なのはどのような研修ですか?」相手が「若手向けかな、実務に活かせる感じの」と答えたら、
「もう少し具体的に言うとどうですか? 例えばどういう分野でしょうか?」
と重ねて質問します。こうしていけば、相手の考えを掘り下げていけます。また、相手自身の中でも、モヤモヤしたものが形になるでしょう。
「質問」するのは怖い?
なぜ、営業担当者は、つい「決めつけ」て質問してしまうのか? それは、おそらく質問するのが怖いからです。相手が答えにくいのではないか。答えてもらえなかったらどうしよう。そんな思いが怖さにつながります。
質問は営業の基本です。相手の考えを聞かなければ営業は前に進めません。もっと言えば、営業以前に、相手との関係性を築く上で「相手のことを知るために質問する」のが必須です。ヒアリング編1と2のフレーズを上手に組み合わせて、しっかり相手のことを聞きましょう。
以上(2022年7月)
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画像:Mariko Mitsuda