Q.災害で社員が負傷したら、労災になりますか?

A.業務中や通勤途中の災害による負傷は、労災として認定されやすい傾向にあります。

1 災害による負傷などが労災になる場合

労災は、業務上の事由による「業務災害」と、通勤による「通勤災害」とがあります。災害は業務とは関係なく発生するので、災害による負傷が業務上の事由に当たるのか、疑問に思うかもしれません。

実際は、業務中や通勤途中の災害による負傷は、労災として認定されやすい傾向にあります。オフィスや通勤経路に被災しやすい事情(建物や道路の構造上の脆弱性など)があって、その危険が災害によって現実化したものと考えられるからです(下図を参照)。

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2 労災が会社の責任になる場合

会社は、社員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」を負います。この配慮が不十分なために労災が発生した場合、社員から損害賠償などを求められる恐れがあります。

例えば、オフィスの什器の固定が不十分で、地震によってその什器が倒れてきたために社員が負傷した場合(業務災害)、安全配慮義務違反を問われる恐れがあります。

また、防災気象情報が出ているなど、危険がある状態にもかかわらず、会社が出勤を命じたために社員が被災した場合(通勤災害)も同様です。 オフィスなどの設備点検はもちろん、被災の危険がある場合には、社員に自宅待機を命じるなど適切な対応をしないと、単なる労災では済まなくなってしまうでしょう。

なお、業務の内容にもよりますが、災害時に在宅勤務を命じることができる体制を整えておくことで、社員の安全を確保しつつ業務への影響を抑えることができます。

以上(2020年4月)
(監修 社会保険労務士 志賀碧)

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画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

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