Q.災害時における税務の特例には、どのようなものがありますか?

A.申告・納付などの期限延長があります。また、顧問税理士が被災したことにより申告できない場合においても、同様の取り扱いを受けられることがあります。

1 申告・納付などの期限に関する特例

1.個別指定による期限延長

納税地を管轄する税務署長に対し、災害などの止(や)んだ日から相当の期間内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出した場合、その承認を受けることにより、税務署長等が指定した日(災害などの止んだ日から 2カ月以内)まで申告・納付などの期限が延長されます。

「災害などの止んだ日」とは、申請者に特別な事情がある場合を除いて、客観的に見て、申告・納付などの期限延長の申請をした人が、申告・納付などの行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に回復した日になります。例えば、新幹線の運行休止など交通の途絶があった場合、交通機関が運行を始めた日などが災害などの止んだ日になります。

2.地域指定による期限延長

2011年3月11日に発生した東日本大震災のときには、地域を定めて申告・納付期限を延長する対応が取られました。

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震のときも、北海道の一部の地域で申告・納付期限を延長する対応が取られました。

なお、地域指定された地域に納税地がある個人または法人については、特段の手続きを経ることなく、自動的に申告・納付の期限が延長されます。また、申告・納付期限延長措置の終了に関しては、各地域の復興などの状況を踏まえ、国税庁のウェブサイトなどで告示されます。地域指定に関する情報は定期的に確認しましょう。

3.顧問税理士が被災した場合

顧問税理士が被災したら、期限までに顧客の申告ができないことが想定されます。こうした場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記載し、納税地を管轄する税務署長に提出し、その承認を受けることで、税務署長等が指定した日(災害などの止んだ日から2カ月以内)まで期限が延長されます。

2 延滞税・利子税・加算税に関する特例

災害などにより国税の納期限が延長された場合、延長された期間については、その国税に係る延滞税および利子税は課されません。また、申告・納付などが適正に行われない場合に課される加算税については、認められた延長期限内に申告を行えば課されません。

以上(2020年4月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之、税理士 中川昌紀、CFP(日本FP協会認定) 辻野顕子)

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画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

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