皆さん、おはようございます。今朝は「権利と義務」についてお話しします。

我が家では、私が子供に宿題を教えていますが、言うことを聞かないときは、叱りつけて無理やり宿題をさせることもあります。子供に宿題を命じることは親の「権利」であるから、叱っても当然と思うわけですが、一方で教育は「義務」でもあります。例えば民法では、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定められています。

つまり、権利として子供に宿題を命じ、実際に子供に宿題をさせる義務を負うということですが、問題は「義務を履行するレベル」です。

強制的に子供に宿題をさせれば、最低限の義務は果たしたことになるでしょう。しかし、そうした行為を続ければ、子供は勉強嫌いとなり、その後の成長にもマイナスとなりかねません。もっと高いレベルで義務を履行するためには、子供に勉強の楽しさを教え、集中して取り組める環境を与える必要があるでしょう。

そして、ここから私が考えたのは、上司の「残業を命じる権利と義務」についてです。上司には部下の残業を認める権利がありますが、それと対になる義務について考えたことがありますか。まず、労働基準法関連のガイドラインにおいて、企業は社員の労働時間を適正に管理する義務を負うとされていますから、社員の健康管理と違法な残業の撲滅は明確な義務となります。

また、これは法令に示されたものではありませんが、信義則として、企業は社員に成長の機会を与える義務があると考えています。

残業を命じる権利を持っている上司の皆さんは、こうしたことを考えて部下の残業を認めているでしょうか。慣れないリモートワークで、残業が増えることは仕方がありませんが、その残業を行う部下のモチベーションはどうですか。また、その残業を行うことで企業にどのような成果が上がりますか。さらには、部下の成長につながりますか。もちろん、心身の健康を損ねるような残業を認めてはいけません。リモートワークで対面する時間が減った今、残業を含め部下をマネジメントする上司の役割が重要になっているのです。

部下にも「残業をする権利と義務」があります。上司の承認を受ければ、ある意味、残業することは部下の権利となります。しかし、その残業によって、どのような成果が上がるのでしょうか。厳しい言い方ですが、単に効率が悪い、集中していないなどの理由で仕事が終わらずに残業を申請しているのなら、最低限の義務すら果たしていないことになります。

「上司だから仕事ができる」「長時間、働いているから頑張っている」。こうした価値観は変わりました。皆さんには権利と義務があります。義務は成果を上げること、権利はそのための権限です。高いレベルで義務を果たすほど、権利も大きくなります。これを認識してください。

以上(2020年8月)

pj17016
画像:Mariko Mitsuda

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