今日は皆さんに、「言語化する」ことについてお話しします。言語化とは、例えば仕事で言えば、自分が実践しているノウハウやポイント、考えなどを、他の誰もが分かるよう言葉にすることです。
仕事における言語化には、2つの種類があります。1つ目は、「行動の言語化」です。当社のベテラン営業担当者の例でお伝えしましょう。
先日、私は、その営業担当者が、まだ営業経験の浅い後輩を指導しているのを目にしました。どうやら、ある新規営業がうまくいかなかったようで、後輩から報告を受けた営業担当者はこう言っていました。「ダメな理由を聞いた? 聞いていないの? 聞かなきゃ。理由によっては、もしかしたら挽回できるかもしれないし、理由を知っておけば他の営業先のときに、断られないよう役立てることもできるんだから」。
また、この営業担当者は別の後輩に、こうも言っていました。「サンプルを複数送るときのメールには、私だったら一言『当社のおすすめはこれです。なぜなら~』と書くよ。相手が選ぶ参考にできるし、当社が込めた思いも伝えられるから」。
営業担当者が言った2つは、ほんのささいな当たり前のことです。普段から実践している人には言わずもがなかもしれません。しかし、実践できていない人から見れば、これは大いなるノウハウです。こうした具体的な行動とその理由を言葉にして人に伝える、あるいは他の人が見て分かるよう残しておく。これが「行動の言語化」です。
2つ目は、「感覚の言語化」です。「言葉にしにくいことの言語化」と言ってもいいでしょう。先日、当社の営業担当者の一人から新規営業の状況について報告を受けました。
その彼いわく、新規営業先のうち、「この営業先はいける」とピンと来た会社が2社ほどあるそうです。彼はこのようにピンと来た先があると「この営業先にロックオンして力を入れよう」と営業活動のやり方を変えるといいます。この「ピンと来る」のが、とても言葉にしにくいところです。一見すると、感覚的で属人的に思えるからです。
しかし、「ピンと来る」のはなぜかを掘り下げていくと、おそらく、単なる感覚ではなく、何らかの理由があるはずです。営業先の経営計画内容、課題感、営業先にとってのコンペティターの動向、タイミング、そして営業担当者のこれまでの経験などさまざまな状況や情報が絡み合って「ピンと来る」のでしょう。本人は「なんとなくなので言葉にできない」のかもしれませんが、言葉にしにくいことだからこそ、言語化すれば、とっておきのノウハウや名言になるのではないでしょうか。
「行動の言語化」と「感覚の言語化」。皆さんには、両方の、言語化できる「何か」があると私は信じています。今日から、ぜひ、行動や感覚を言葉にして人に伝えること、形に残すことを意識してみてください。皆さん一人ひとりが、ノウハウの塊なのですから。
以上(2020年5月)
pj17007
画像:Mariko Mitsuda