もうすぐ新年度がスタートします。新年度、皆さんには、何事にも強い意志を持ち、諦めずに進めてもらいたいと思っています。今日は、その参考になる2つの話をします。
1つ目は「おみくじ」の話です。皆さんは、お寺や神社でおみくじを引くとき、何かこだわっていることはありますか。中には、自分なりのルールを決めている人もいるかもしれません。私の場合、「おみくじは、大吉が出るまで何度でも引く」ことにしています。このやり方を、もう10年以上続けており、今年の初詣では、5回目で大吉を引くことができました。
賛否両論あるでしょうが、私はこのやり方が良いと信じています。「おみくじは一度しか引いてはいけない」と法律で定められているわけではありません。たとえ「凶」など自分にとって良くない内容が出たとしても、そこで悲観して終わってはいけません。「大吉を引く」と自分で決めたら、大吉が出るまで引き続ければいいのです。私にとって大事なのは、「大吉が出た」ことではありません。「大吉が出るまで諦めずに引き続けた、そして大吉を引いた」ことなのです。
陸上競技の桐生祥秀選手が100メートル走で、日本人初の9秒台を記録した際のインタビューで、「大吉が出るまでおみくじを引き続けた」と語っており、同様のエピソードを持つ著名人は他にもいます。「大吉が出るまで引く」のは、ある意味で強い意志の表れともいえるかもしれません。
2つ目の話は、帝人の元会長・社長である長島徹氏のエピソードです。
長島氏が幼い頃、高価だった野球ボールの代わりに何時間もかけて布を巻いて作ったボールが、竹やぶに入ってしまったことがあったそうです。必死に捜しても、なかなかボールは見つかりません。そのとき、長島氏は、神様に「どうぞ諦めさせないでください」と祈ったというのです。「どうかボールが見つかりますように」ではなく、「自分が諦めるという考えを抱くことのないように」と祈ったのです。
「何事も自分の気持ち次第だ」という強い意志の大切さを、幼いながらに体現した長島氏のこのエピソードが、私は大好きです。私も、ビジネスでうまくいかないことがあり、諦めてしまいそうになったとき、心の中で「どうぞ諦めさせないでください」と言っています。祈るというよりは、私自身の意志を、いま一度奮い立たせるために言うのです。
皆さんは、この2つの話を聞いてどう感じるでしょうか。ビジネスの状況は刻一刻と変わります。周りから、いろいろと言われることもあるでしょう。それらに一喜一憂し、右往左往してはいけません。時と場合によりますが、大切なのは、強い意志を持つこと、そして簡単に諦めないことです。そうすれば、必ず道は開けます。新年度、皆さんが自分自身の道を開いていくことを、私は大いに期待しています。
以上(2020年3月)
pj16996
画像:Mariko Mitsuda