先日、とある上司と部下のコンビ、ここではAさんとBさんとしておきますが、その2人のデスクの前を通りかかったときのことです。書類を前に、2人で難しい顔をしながら話し合っていたので、何の件なのかと思って聞いてみると、審議書を作成しており、上司のAさんから部下のBさんに対して修正の指示をしているとのことでした。
部下のBさんはついこの前入社したばかりだと思っていたのに、審議書を作成するようになったのだなと思うと、頼もしく感じました。
ちなみに皆さんは、審議書と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。もし、「手続き、根回し、面倒」というイメージを持っていて、「できれば審議書なんて作りたくない」と考えているのだとしたら、ビジネスパーソンとしてはあまりに物足りません。
審議書の目的は、会社の想定を超えたレベルでビジネスをすることにあります。投資であったり、新規契約であったり、何かあれば会社に大きな影響がある内容だからこそ、審議書を通して、複数の人間がさまざまな角度から、この取り組みには問題がないかを確認するのです。
審議書が承認されれば、チャレンジはお墨付きだといえます。しかし、この点を意識していない人からは、会社にとって想定内のビジネスについての審議書しか挙がってきません。例えば、当社の今月の取締役会に上程された、パソコン入れ替えに関する審議書がそうです。
この審議書の内容は、リース期間の終了に伴い、今と同スペックのパソコンを調達するというものでした。確かに審議書は上程されましたが、単に前例踏襲のための手続きであり、全くチャレンジしていません。それでは、いつまでたってもビジネスチャンスは訪れないでしょう。
働き方改革を進めている当社にとって、パソコン入れ替えは千載一遇のチャンスです。デスクトップをノートにしたり、ファイル管理方法を見直したりすれば、フリーアドレスやリモートワークなど、働き方改革が加速します。
しかし、その審議書はパソコンを調達できるギリギリの時期に上程されたので、もはや新たな計画を検討する猶予はありませんでした。結局、その内容のまま承認されることになりました。
この例で上程された審議書が、いけないわけではありません。パソコンの入れ替えのための手続きとしては、要件を満たしています。しかしそこまでのことで、私から見ると本当に物足りません。
審議書が承認されたら、新たなチャレンジをするための“公式チケット”を手に入れたのと同じです。今年度、皆さんは何枚のチケットを手に入れたでしょうか?
その枚数は、皆さんのチャレンジのバロメーターです。新年度、積極的にチャレンジする皆さんの姿勢が、審議書として上程されてくることを楽しみにしています。
以上(2020年2月)
pj16993
画像:Mariko Mitsuda