もうすぐ、ラグビーワールドカップが、この日本で始まります。ラグビーファンはもちろん、ラグビーをよく知らなくても、4年前のワールドカップで、日本代表が強豪南アフリカ代表を倒したあの劇的勝利は、記憶に残っていることでしょう。
今回の日本代表の活躍も、とても楽しみです。
4年前、日本代表を率いていたのは、エディ・ジョーンズ氏です。彼のやり方には賛否両論ありそうですが、24年ぶりにワールドカップで白星を挙げ、南アフリカ戦をはじめ、3勝という輝かしい成績を収めたのは誰もが認めるところです。
当時の日本代表の快進撃にはさまざまな要因がありますが、大きかったのは、ジョーンズ氏が「勝ち方を知っていた」からだと私は思っています。ジョーンズ氏は、よくインタビューなどで、「日本人の体格は小さいが、正しく努力すれば勝つことができる」と言っていました。だからこそ、体の大きな選手がボールを持って向かってくるのを守るラグビーではなく、常に自分たちでボールを保持して回し続け、攻め続けるスタイルを貫いたのだといわれています。そして、攻め続けるラグビーを実現するために、ジョーンズ氏は、選手たちに相当なハードワークを課したのです。
私はラグビーについてそれほど詳しくはありませんが、ジョーンズ氏のやり方は、実に理にかなっているように思えます。「勝てる方法」を考えた。そして、「そのために必要な準備」を徹底した。この2点に尽きるのではないでしょうか。
「勝てる方法」を考えるだけでは、「勝ち方を知っている」とはいえません。勝てる方法を実現するために、必要な準備を実際にやってこそ、「勝ち方を知っている」といえるのです。
ビジネスの世界も同じです。例えば営業活動で言えば、まず、「顧客を獲得できる方法」を考えます。どのような順番で話を持っていき、どのような提案をすれば、どのような難所をクリアすれば顧客を獲得できるのか。そして「そのために必要な準備」として、どのような情報を収集し、どのような資料を提出し、日ごろ、誰とどのようにコミュニケーションを取っていくか。これらを実践して初めて、「勝つ」ことができるのです。
皆さんの仕事の進め方はどうですか。行き当たりばったりで考えなし、単なる前例踏襲だったりはしませんか。失注して悔しいのなら、うまく進められなくて苦しいのなら、「勝てる方法」を考え、「そのために必要な準備」をしなければなりません。ただがむしゃらに、これまでと変わらないやり方を繰り返しても、きっと勝つことはできないでしょう。あえて厳しい言い方をすれば、それは、正しい努力ではありません。考えること、準備することを放棄した、思考停止も同じです。
皆さん、今の仕事を、改めて振り返ってみてください。「勝てる方法」も、「そのために必要な準備」も、日々担当している皆さんだからこそ、考え、実践できるはずです。「勝ち方」を知れば、皆さんは、必ず、「勝てる」のです。
以上(2019年9月)
pj16973
画像:Mariko Mitsuda