先日、とてもうれしい出来事があったので、皆さんにお伝えします。当社の若手社員の話です。
彼は先日、あるビジネスコンテストに、会場設営や来場者を案内するボランティアスタッフとして参加しました。全国5000社の経営者や起業家の中から、選び抜かれた十数社のファイナリストたちが集う大会です。ビジネス界での注目度は非常に高く、来場者は2000人以上、審査員にも、著名な経営者や投資家、大学教授などが名を連ねていました。
もともと私はこのビジネスコンテストに興味を持っていましたが、主催している団体の理事からお願いされたこともあり、当社の社員を1人、ボランティアスタッフとして参加させることにしました。知見や人脈が大きく広がり、とても良い経験になると思ったからです。
私がまず、うれしかったのは、当社のある若手社員が、意欲的な気持ちで参加してくれたことです。彼は、私が参加希望者を募ろうと皆さん全員に呼びかけたとき、真っ先に手を挙げてくれました。普段は割と落ち着き払っており、「何事にもとても積極的」というわけではないその彼が、進んで手を挙げ、「ぜひ僕に行かせてください。他ではできない経験をして、会社の皆さんに伝えたいです」と言ってくれたのです。
そのことだけでも私は大いに感動し、彼のチャレンジを心から応援しようと思いました。しかし、話はそれで終わりではありませんでした。
私が皆さんにこの件を呼びかけたのは、大会の前々日という差し迫った状況でした。参加することになった彼は、他に幾つも仕事を抱えており、翌々日に丸一日かけてボランティアスタッフをやるには、無理をすることは必至でした。
しかし、彼の上司や同僚は、彼が参加したいと手を挙げたのを見てすぐに、「今抱えている仕事と納期、進捗状況を全部教えてくれ」と言って集まり、分担して彼の仕事を引き受けることにしたのです。彼が無理をせず、気持ち良くボランティアスタッフになれるようにするために。
私は、このことについて、何の指示も出してはいません。全て、彼の上司や同僚が自発的に行ったことです。それぞれに忙しい状況でしたが、工夫して少しずつ自分が負担する仕事を増やして、全員で彼をバックアップし、ボランティアスタッフとして送り出したのです。
ビジネスコンテストの裏方として懸命に働いた彼は、その翌日、記念にもらったというTシャツを着て出社してくれました。そして、周りに、いかに面白いビジネスがあったか、どのように素晴らしい方々と話すことができたかを喜々として伝えてくれていました。
新しいことに自ら勇気を持ってチャレンジしようとする若手社員がいる。そして、それを進んで応援し、バックアップしようとする上司や同僚がいる。私は、こうした皆さんを、心から誇りに思います。皆さん、本当にありがとう。
以上(2018年12月)
pj16937
画像:Mariko Mitsuda