先日、私は2人のとても素晴らしい起業家に出会いました。1人はSNSマーケティングの会社を、もう1人はフィンテック系の会社を立ち上げています。2人とも年齢は25~26歳で、事業に対する熱量がすごい、勉強家・努力家である、緻密にビジネスを積み重ねている、具体的な実績を上げているなど、この場では語り尽くせないほど多くの魅力がありました。なかでも私が一番感心したのは、2人の「素直さ」です。
例えば、SNSマーケティングの会社を立ち上げた起業家は、周囲から言われた「足元を重視するあまり、未来視点で考えることが苦手」という点を自身の課題として受け止め、現在、長期事業計画の見直しを進めています。
フィンテック系の会社を立ち上げた起業家も、もともとの原動力は「単にお金持ちになりたい」だったそうですが、「先輩起業家やメンター陣から自分の足りない【思い】の部分や精神的に未熟な点を厳しく指摘していただいた」ことを受け止め、「本当に実現したいことは何か」から改めて考え直したといいます。結局、根幹となる会社のビジョンも大きく軌道修正したそうです。
事業計画の見直しやビジョンの軌道修正の大変さは、並大抵のものではないでしょう。しかし、2人とも、「指摘してもらえたから今がある。心から感謝している」と言っていました。皆さんは、この2人の「素直さ」がいかにすごいか、分かるでしょうか。
この2人は、「受け止める」ことと「行動する」ことがセットになっています。ただ周りの話を受け止めるのは、ただ「聞いただけ」であり、「素直」とはいえません。私自身、これまでの自分の行動を振り返ってみると、人の意見に素直に耳を傾けているつもりでも、「分かっているが」「良いと思うけど」と言いつつ、行動に移さないことがたくさんありました。考え方の違いから、あえて行動に移さなかったこともありますが、多くの場合、私はただ「素直」を装っていただけなのかもしれません。
受け止めた上で「実際に行動に移す」ができて初めて、本当に「素直」といえます。行動に移せば、何かが変わりますし、新しいものも生まれます。よく「素直な人が伸びる、成長する」といわれるのは、「行動に移す」ことで、前に進めるからなのでしょう。
人生でもビジネスでも、「素直さ」がいかに大切かを説いたことで有名なのが、松下幸之助氏です。松下氏は、「素直な心になることを心掛け、自分なりに工夫をこらしていくならば、誰でも素直になれる」という趣旨の教えを残しています。私はこの「自分なりの工夫」とは、「行動に移し、いったんやってみること」と捉えています。
年齢も役職も社歴も関係ありません。皆さんも、新年度に、もう一度「素直に受け止め行動に移す」ことを実践してみませんか。きっと今より前に進めます。
以上(2021年3月)
pj17046
画像:Mariko Mitsuda