書いてあること

  • 主な読者:会社から求められている立ち居振る舞いや、社会人の常識を知りたい新入社員
  • 課題:会社の期待を裏切らないよう、社会人としての常識を身に付けたい
  • 解決策:社会人としての自覚をもつ。最初は仕事の出来に差はなく、人間性が注目される

ついに私も社会人。会社の仲間と楽しく働き、プライベートも充実させるのだ。先輩たちは優しそうなので、ひとまず安心。それなりにうまくやっていけるだろう。ところで、私は会社からどのように見られているのかな? そつなくやりたいけれど、社会人としての正解というか“常識”が分からないな……。

1 会社の一員としての自覚をもつ

おめでとうございます! 皆さんは立派な社会人になりました!!

最初が肝心、気を引き締めていきましょう。だって、周りの人は新人だからといって甘やかしてはくれません。プライベートでも、世間は皆さんを「A社の社員」と認識することがあります。ですから、法令を守ることはもちろん、SNSの投稿などにも最低限の注意が必要です。少し前に話題になった「バイトテロ」のようなことは論外です。問題が起きると、あなただけでなく、会社、顧客、取引先などにも迷惑がかかることを忘れないでください。

2 公私の区別をつける

社会人になるということは、「公」の時間をもつということです。この公の時間と私(プライベート)の時間は明確に区別しなければなりません。

例えば、勤務時間は仕事の時間です。やむを得ない場合は除き、プライベートの用事をしてはいけません。会社の備品も同じです。ボールペンなど一つひとつは安くても、会社のお金で買ったものを借りていることに変わりはなく、大切に使わないといけません。借りるという意味では、オフィスのデスクはもちろん、空間だった会社から与えられているスペースなので、整理整頓を心がけましょう。

会社で守るべきルールは会社が就業規則などで定めていて、皆さんが自分本位で決めるものではありません。皆さんの考えを主張するのは良いですが、会社のルールが前提となります。

3 笑顔で明るい挨拶を実践する

控えめな人や、目立ちたくないと考えている人は、どうやったら上手くコミュニケーションがとれるだろう? と不安を覚えているかもしれません。しかし、安心してください。最強のコミュニケーション術があります。

それは、笑顔で挨拶をすることです!

笑顔で明るい挨拶をされたら、皆さん、心がパァーっと明るくなりませんか。それで、こちらも笑顔になって明るい挨拶をお返しするはずです。挨拶に役職は関係ありません。社長も新入社員も、笑顔で明るく挨拶ができる会社は素敵です。「おはようございます」「行ってきます」「行ってらっしゃい」「お疲れさまでした」。どれも会社でよく使われる挨拶ですので、是非、実践してみてください。

4 謙虚な姿勢を貫く

入社してすぐに仕事ができる新入社員はいません。多少の差はあれ、ほぼ横一線です。そのような中で、先輩たちは皆さんのどこを見ているのでしょうか。一つは先に触れた「笑顔で明るい挨拶」ができているかどうかです。これは、「挨拶」という行為だけを見ているわけではなく、一緒に働く仲間や、大切なお客様などに丁寧に接することができているかの確認でもあります。

丁寧に接するとはつまり、「謙虚な姿勢で仕事と向き合っているか」ということにもつながります。人のせいにしたり、言い訳ばかりしたりしているようではダメですね。皆さんは、自然に「ありがとうございます」や「失礼しました」と言えますか? 感謝する姿、反省する姿を周囲はしっかり見ているものです。その真摯な姿勢が信頼となり、将来の皆さんの糧となります。

5 「情けは人のためならず」を実践する

最初、先輩たちは新入社員を先入観なく見ています。しかし、だんだんと皆さんの得意なこと、苦手なこと、努力の度合いなどを加味して評価するようになります。先輩たちが急に冷たくなるというわけではなく、「頑張っている人は信頼され、新しいことを任されるようになる」ということです。

ですので、忙しそうな先輩や同僚に「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。そうすると「この新人は頼りになるな」と、いろいろな仕事を任されるようになります。それをコツコツとこなすことで仕事の幅が広がり、楽しくなっていきます。先輩などをサポートすると、自分も成長できる。まさに、「情けは人のためならず」ということです。

6 時間にシビアになる

時間は必ず守りましょう。時間を守らない人はビジネスの世界では信頼してもらえません。「誰かを待たせると、その人の時間を無駄にしてしまう」など、時間厳守の理由はいろいろと言われていますが、そうしたこと以前に、時間が守れない人は社会人失格なのです。まれに、「すいません。遅れちゃいました(笑)」みたいな人もいますが、まねしてはいけません。その人は、相当に仕事ができるから許されているのか、単に常識がないのかのいずれかです。

時間を守るための鉄則は、余裕のある準備につきます。例えば、雨降りの日に外出するなら、交通機関の遅れを見越して少し早く出発しましょう。オンラインミーティングでも、時間ギリギリではなく、余裕をもってアクセスし、ビデオオフで待つくらいの余裕が欲しいですね。もちろん、初めてのツールなら、事前に試しておくことも忘れずに!

7 予兆は「連絡せよ」のお告げと知る

何事も早めの連絡が一番。「遅れてから」ではなく、「遅れるかも」と感じたときが「連絡どき」です。結果として遅れずに仕事が終わったのならみんな幸せ。「遅れるって連絡したのに結局遅れなかった。恥ずかしい」なんてことを考える必要はありません。

連絡手段は会社のルールに従います。ただ、チャットツールを使っている場合は要注意。テキストだけだと、どうしてもニュアンスが伝わりにくいときがあるからです。ちょっとややこしいことを伝えるときは、電話やボイスメッセージを織り交ぜると良いです。

さらに、重要な事項を送って終わりにしてはいけません。「遠足は家に着くまで。連絡はリアクション(既読など)があるまで」と心得ましょう。もし、相手のリアクションがなければ、再度メッセージをするか、電話をするなどしてください。

8 こまめなメモは心の安定につながると心得る

会社にはたくさんのルールがありますが、いきなり全部は覚えられません。先輩に質問しながら、少しずつ慣れていきましょう。ポイントは「メモ」です。メモ帳でも、スマートフォンでもいいです。とにかく、メモを取って整理しておきます。情報の蓄積という意味もありますが、メモは心の安定にもつながります。だって、質問は何度してもいいと言われても、同じことを何度も聞くのは気が引けますよね。その点も、メモを取っておけば大丈夫なのです。

9 席次はルールよりも愛で行動する

社会人の常識といえば「席次」。こう言う人がいても不思議ではないくらい席次は一般的なこと。会議室で座るとき、円卓で食事をするとき、タクシーに乗るとき、オンラインで画面にうつるとき(?) とにかく、席次が付いて回るわけです。

席次には基本的なルールがあるので、これは押さえておかなければなりません。ただ、そのルールに縛られて融通が利かないのも考えものです。空調や採光などの影響で、上座が必ずしも快適であるとは限りません。たとえ下座となる席でも、「こちらのほうが景色が綺麗ですよ」などと相手を思いやる心が一番大切なのです。

10 失敗を恐れずに行動する

会社は自分で考え、行動する社員を求めています。中には「よっしゃ~!」と思うつわものもいるかもしれませんが、多くは「そう言われても……」といった感じですよね。

確かに、新入社員がいきなり行動するのはハードルが高い。ですので、まずは考えることから始めてみましょう。先輩たちの話を聞きながら、「自分は何をしたい?」「自分だったらどうする?」と考えてみるのです。

そうしていく中で、これならチャレンジできそうだというものが出てきたら、是非、行動に移してみてください。この「考える」から「行動に移す」の壁を越える経験は、先々、本当に皆さんのためになります。大切なポイントは、失敗は失敗ではなく、学習だと思うこと。「こうするとうまくいかない」ということを学び、賢くなったのです。誰だって最初からうまくできるわけではありません。「成功からも失敗からも学習して次に生かす」。これをいかに高速で、たくさん回すかが大切です。

以上(2024年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

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