この数週間のうちに、仕事で立て続けにミスをした社員がいます。それは、我が社にとって重要なお客様の仕事でした。その社員は余計に落ち込んでいました。しかし、私はその社員のミスをとがめる気は全くありません。むしろ、そのミスは未来に花開くための価値ある失敗であり、これにへこむことなくチャレンジしてほしいと応援しているのです。
私がこう思うのは、その社員の努力を知っているからです。我が社がデジタル化を進めていることは、皆さんもご存じのはずです。その社員はこの方針を理解しているだけではなく、具体的な行動として勉強し、資格を取得し、実務に活かそうともがいています。
かつて私も同じことをしたので分かりますが、一定の立場になった社会人が働きながら勉強するのは本当に大変です。平日は残業があるなど、夜遅くでないと勉強ができません。休日も、プライベートの時間を削って勉強することになります。そうした努力を積み重ね、この社員は資格を取得したのです。素晴らしいです!
一方、資格の勉強と実践とは全く違います。勉強をして知識を得れば、いろいろと試してみたくなりますが、慣れないことをすればミスもします。真剣に取り組んだ結果のミスなら、それは「良いミス」です。人は良いミスを繰り返しながら成長し、プロフェッショナルになっていきます。その社員はそうした道を歩み始めています。
人が成長期に入るとオーラを発します。日ごろ、人の成長と本気で向き合っている人なら、すぐに分かります。実際、私と親交の深い経営者仲間は、私やその社員と30分ほどオンラインで話しただけで見抜きました。その経営者は私に聞いてきたのです。「あの社員、すごく成長した気がするけど、何かきっかけがあったの?」と。経営者仲間は、知り合いの成長を喜ぶと同時に、自分の会社でも取り入れられることがないかと思い、質問してきたはずです。それほどまでに、経営者にとって社員の成長はうれしいものなのです。
さて、人が成長期に入ると、【活動エンジン】のパワーが格段に上がります。その根本的な動力はどこから生まれてくると思いますか?
私は、その社員の夢と会社の方針の一部がリンクし、明確な目的となったことだと思います。人は目的があると、進むべき道、やるべきことに迷わず努力を続けることができます。実際、その社員は、格上の人にも臆せず教えを請うています。それに、必要な勉強会などの費用を遠慮せずに会社に申請しています。今、その社員は「大変だけど、すごく楽しい」と感じているはずです。
皆さん、1週間に30分でもいいので、自分磨きの時間を持ってください。そして、考えてほしいのです。仕事でもプライベートでもよいので、「自分が成し遂げたいことは何なのか」と。皆さんが成長期に入るきっかけは、こうした問いにあるのです。
以上(2021年5月)
pj17052
画像:Mariko Mitsuda