書いてあること

  • 主な読者:遊休地をレンタルガレージに活用しようと考えている経営者
  • 課題:倉庫業の登録の要否、具体的な費用感などが分からない
  • 解決策:倉庫業の登録は不要(建設時の許可などには注意)。ガレージの購入・設置価格は車2台分が入るサイズで70万円台後半が相場。レンタル料金は事業者により異なるが、車が入るサイズで月額1万円台のところなどがある

1 レンタルガレージの経営について

1)レンタルガレージとは

レンタルガレージとは、シャッター付きの車庫を自動車やバイクの所有者(以下「利用者」)向けに貸し出すサービスです。利用者が収納物の管理責任を負うため、運営者は事業を開始するに当たって倉庫業の登録を受ける必要はありません(登録を受けた倉庫業者がレンタルガレージを展開するケースもあります)。

一般的に、車両の保管を主目的とする月極契約のレンタルガレージや、車両の整備を目的とし工具などの貸し出しも行う時間貸しのレンタルガレージがありますが、この記事では、前者に注目して見ていきます。

2)利用者から見たレンタルガレージのメリット

1.車両の盗難を防止できる

青空駐車場ではないため、車両や夏用・冬用タイヤなどをイタズラや盗難被害から守ることができます。

2.車両のメンテナンスの手間が減る

紫外線や風雨による塗装やタイヤなどの劣化や、飛来物による車両のキズ・ヘコミを心配する必要がなくなります。花粉や黄砂の付着も気にすることが少なくなり、洗車にかかる時間やコストを減らせます。

3.都合の良い時間に出し入れができる

運営者に収納物を寄託するわけではないので、好きな時間に車両の出し入れができます。

3)運営者から見たレンタルガレージのメリット

1.遊休地活用策としては比較的初期費用を抑えられる

簡単に言ってしまうと、シャッター付きの車庫を設置するだけで事業を開始できるため、土地活用でよく事例に挙がるアパート経営などよりも初期費用を抑えられます。

2.管理の手間が掛かりにくい

ガレージの鍵を渡した後は利用者が収納物の管理責任を負うため、荷物の出し入れ時に立ち会いは不要です。

3.地域の防犯に貢献できる

レンタルガレージの利用が増えれば、自動車やバイクの盗難が減ることが期待でき、地域の防犯に貢献できます。

2 レンタルガレージを開設する際の留意点

1)建築確認申請の有無

ガレージは、自社所有の敷地内だからといって勝手に設置できるわけではありません。柱、屋根があり、その場所に固定して収納や駐車のために用いるものは、建築物として扱われるためです。

一般的には、次のいずれかの条件に該当する場合は、設置の前に最寄りの自治体への建築確認申請(建物を建てる前に、その場所の地盤や建築物が建築基準法に適合するかどうか確認すること)が必要です。

  • 敷地が防火地域、準防火地域(建物の密集地や、幹線道路沿いなど、火災の被害が起きやすい場所や、火災を防ぐために予防が必要な場所を指します)
  • 新築の物件、もしくは、床面積が10平方メートルを超える増築

2)固定資産税に注意

ガレージを設置した場合、原則として次の条件を満たすため、建物として見なされ固定資産税が発生します。

  • 屋根があり、3方向以上が壁や建具で囲われていること(外気との分断性)
  • 基礎等で土地に固定されていること(土地への定着性)
  • 居住、作業、貯蔵等に利用できる状態にあること(用途性)

こうしたことから、ガレージを設置してレンタルガレージを運営するのはアパート経営と比べると節税効果が少ないといわれています。

3 ガレージの費用感について

1)ガレージの購入・設置価格

車用のガレージを購入する場合、2台分が入るサイズで70万円台後半が相場のようです。例えば、稲葉製作所(東京都大田区)が扱う「ガレーディア」シリーズは、一般型で78万1000円(税抜き)となっています。

なお、商品価格と合わせて組み立て工事費や基礎工事費などが別途必要となることに注意が必要です。このため、外構(エクステリア)専門の業者にガレージの購入と施工まで一括で依頼して費用を抑えるのも一策です。

また、バイク用のガレージでは、例えばデイトナ(静岡県周智郡森町)が取り扱う「デイトナガレージ」は一番小さいサイズで34万5950円(税込み価格、配送料、設置費用込み)としています。

2)ガレージのレンタル料金

ガレージを貸し出す場合、利用期間は最短で1カ月からとしており、事業者によって異なりますが、車が入るサイズで最低で1万円台後半、バイク用のサイズで最低で1万円台前半の月額賃料を設定しているようです。また、契約時には月額の賃料と併せて、メンテナンス費(退去時の鍵の取り替えや掃除)、管理費を利用者からもらう場合が一般的です。

他にも、事業者によってはオプションとしてバイクを出し入れするためのスロープやメンテナンス用品を置くための棚板を貸し出す場合もあります。

4 レンタルガレージ等を展開する企業の事例

ここでは、レンタルガレージやそれに類似するサービス(トランクルームやレンタルボックス)を提供している企業の事例を紹介します。

1)イナバクリエイト(東京都大田区)

前述した稲葉製作所のグループ会社である同社では、「イナバボックス」というトランクルームを運営しています。出入り口のカードキーや物置のピッキング対応キーをはじめ、万が一の際にはガードマンが対応するなど、防犯システムが徹底されています。

利用料は店舗やサイズによって異なりますが、例えば静岡県の掛川下俣南店では車が入るサイズのトランクルームが月額2万7500円(税込み)から、静岡県の藤枝店のバイクガレージが月額1万1000円(税込み)からとなっています。

2)エリアリンク(東京都千代田区)

トランクルームの「ハローストレージ」を展開する同社では、バイク専用のトランクルームを提供しています。

トランクルームは、盗難防止用の車止めを備えた屋外駐車場タイプ、小物やヘルメットなどのバイク用品も収納可能で、二重ロックで防犯性の高いボックスタイプ、電源コンセントが設置され、屋内のスペースを共同で利用するガレージタイプの3種類があります。

月額使用料は店舗やサイズによって異なりますが、例えば東京都足立区の六木店で月額1万1000円(税込み)からとなっています。

3)ガレージングデイズ(広島県広島市)

ガレージハウスなどの不動産の賃貸、売買の仲介などを手掛ける同社では、車・バイク用のシャッター付きレンタルガレージを提供しています。

共用の水道をはじめ、照明やコンセントを完備しているため、洗車や長時間の作業をする場合にも向いています。

月額の賃料は広さや場所によって異なりますが、2万5000円(税込み)からとなっています。

4)さくら屋(栃木県足利市)

賃貸不動産事業などを手掛ける同社では、車用の月極駐車場、レンタルガレージ、バイク用のレンタルボックスを提供しています。

レンタルガレージは車高が低い車にも対応するスロープ設計で、24時間録画の防犯カメラも設置されています。

月極駐車場は月額5500円(税込み)から、レンタルガレージは月額2万2000円(税込み)から、レンタルボックスは月額1万3200円(税込み)となっています。

5)ユーティライズ(東京都千代田区)

「ドッとあ~るコンテナ」というトランクルームを運営する同社では、バイク用のガレージや屋外型トランクルーム(コンテナ)を展開しています。

バイク用のガレージは奥行きが広くバイクを出し入れしやすいだけでなく、棚も設置されているため、バイク用品の保管やメンテナンスにも便利です。屋外型トランクルームは棚やラック、バイクを出し入れするためのスロープを自由に設置することができます。

利用料は月額7150円(税込み)となっています。

6)ライゼ(大阪府大阪市)

大阪、兵庫、京都、奈良で店舗を展開する同社では、「ライゼホビー」という車を格納、メンテナンスできるシャッター付きレンタルガレージを提供しています。

ガレージは単独の車庫だけでなく、ロフト付きでグッズの収納に便利なタイプや、1階がシャッターガレージで2階がフリースペースになっているメゾネットタイプもあります。

利用料は店舗や広さによって異なりますが、車が入るガレージが月額1万9800円(税込み)から、バイク用ガレージが月額1万6500円(税込み)からとなっています。

以上(2021年6月)

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画像:moonrise-Adobe Stock

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