私には、アイデアに煮詰まったときや新しいことに挑戦するときなどに、意見を聞いてみたくなる友人が3人います。1人はとても幅広い知識の持ち主で、人工知能から三国志、果ては民法まで、さまざまな分野に造詣が深い人です。もう1人は会計学や統計学など数字にまつわる分野が大好きで、オセロや囲碁、将棋、麻雀などのゲームにもめっぽう強い人です。そして3人目は、人付き合いと交渉術に定評があり、数々のトップセールスの記録を持つ営業のスペシャリストです。
得意分野も違えば、年齢、取り組んでいる仕事、立場などもまるで違う3人です。しかし、3人とも、いつ話をしても前回より知識や経験が増えており、意見や考え方も変化しています。彼らと話をすると、毎回新しい発見があるのです。私がアイデアに煮詰まったときなどに相談したくなるのはそのためです。
彼らが多くの本を読み、セミナーや交流会に積極的に参加するなど勉強熱心なのは言うまでもありませんが、もう一つ、3人に共通しているのは、「新しいことを受け入れる態勢ができていること」です。仕事でもプライベートでも、常に、「今よりももっと面白いことはないか」「もっと前進できる方法はないか」ということを考え、追い求めています。そのため彼らは、新しいことや自分の知らないこと、異なる意見に対して決して否定的な見方はしません。彼らはまず、いったん受け入れ、何事も「やってみる」のです。
3人とも、「自分の知らないことや違った考えを知ることが楽しくて仕方ない」という気持ちが強いのでしょう。私はそうした彼らの姿勢を尊敬し、自分もそうありたいと思っています。
しかし、これがなかなか簡単ではありません。私には、どうしても頭が固いところがあるからです。皆さんも、これまでの知識や経験に固執してしまうことがあるのではないでしょうか。新しいことをお願いしたり、これまでと違った視点を持つよう指示を出したりすると、皆さんは「難しい」「面倒だ」と言うことがあります。それでは、いつまでたっても皆さんの世界は広がりませんし、これからの成長も期待できないでしょう。
新しいことや、これまでにない考えを受け入れられるようになるには、そうした意識をもって行動しなければなりません。勇気も必要です。
そこで、まずは「新しいことに慣れる」ことから始めてください。例えば、月に1冊、知らない分野の本を読み、学んだことを発表し合うのもよいでしょう。もちろん私も参加します。私は最近、初めてラグビーの教本を読みました。ボールを前にパスせずに、敵陣に攻める多くの戦術があることを知り、ラグビーの面白さがよく分かりました。自分の世界がまた少し、広がった気がします。
新しいことを追い求める好奇心と、自分にはない考えを受け入れる柔軟性は、皆さんを今よりも豊かにするはずです。皆さん、今日から、私と一緒に一回り大きな自分を目指しましょう。
以上(2021年8月)
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画像:Mariko Mitsuda