今日は、最近私がプライベートで「面白い」と思ったことについて話します。先日、私は「ロミオとジュリエット」のミュージカルを見に行きました。普段あまりミュージカルは見ないのですが、好きな俳優さんが出ると聞いて興味が湧き、劇場に足を運んでみたのです。
ロミオとジュリエットは、16世紀にウィリアム・シェイクスピアが手がけた、イタリアの都市ヴェローナを舞台にした恋愛悲劇です。モンタギュー家の一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットが恋に落ちるも、お互いの家が敵同士だったために結ばれず、両家の争いが激しくなる中で2人は悲劇的な最期を迎えます。しかし、それによってモンタギュー家とキャピュレット家は争うことの愚かさを知り、長年の憎しみを捨てて和解するというストーリーです。
有名な話なのでご存じの方も多いでしょうし、私自身も過去に映画でロミオとジュリエットを見たことがあります。しかし、先日見たミュージカルには、映画にはない、まさに舞台劇ならではの印象的な役が存在していました。
それが「死」です。黒い帽子と黒いコートに身を包み、肌を白く塗った、死神のような風貌の役。「死」はモンタギュー家とキャピュレット家が争うシーン、ロミオとジュリエットが秘密裏に結婚式を挙げるシーンなど劇中の至るところに登場し、終盤はロミオのそばに立ち続け、彼がどのような結末を迎えるかを観客に予感させます。
「死」は人間ではなく、抽象的な概念を観客に見えるよう具現化した役なので、せりふは一切なく、どの登場人物にもその存在を認識されることはありません。ですが、気付けば必ず舞台のどこかに立っていて、しかも最初は遠くからロミオを見ているだけだったのが、ストーリーが進むごとにロミオとの距離を詰めていくので、いい意味で不気味な存在感がありました。
私がこのミュージカルを見て改めて思ったのは、「ストーリーに彩りを与えるのは、主役だけではない」ということです。主役はもちろんロミオとジュリエットですが、「死」という役の存在によって、終始ストーリーに緊張感があり、2人の悲劇性が一層際立っていました。
会社での仕事に置き換えると、私はバックオフィスの担当で、製造に携わったり、直接お客さまに接したりする機会は少ないです。会社の活動を、売り上げと利益を上げつつ社会に貢献するストーリーと置き換えるなら、私にとってこのストーリーの主役は、製造に携わったり、直接お客さまに接したりしている人たちです。ですが、その人たちが主役を演じきるためには、彼らが仕事をしやすいように支える私たち「脇役」の存在もまた不可欠なのだと改めて思いました。私がロミオとジュリエットを「いいミュージカルだった」と感じたように、お客さまから「あの会社はいい会社だね」と言ってもらえるよう、私の「役」をしっかり演じきりたいと思います。
以上(2021年8月)
pj17066
画像:Mariko Mitsuda