先日、ウェブサイトのマーケティングをしている人と話す機会があり、「ウェブサイトの利用状況を分析する秘訣」を聞きました。印象に残った部分を皆さんにお話しします。
さて、皆さんは、ウェブサイトの利用状況を分析するにあたり、一番重要なことは何だと思いますか。考え方は人それぞれですが、その人が重要だと言っていたのは、
「なぜ」と思えるかどうか
でした。集計データを見て、「ウェブサイトの訪問数が増えた、あるいは減った」を把握して終わりではなく、「それはなぜだろう」と思ってもう一歩調べを進めてみる。例えば、月間でウェブサイト全体の訪問数が増えたなら、「前月に比べてどのページの訪問数が増えたから全体が増えたのか」を調べていく。減った場合もしかりです。
そして該当するページが分かったら、今度は、「なぜ、そのページの訪問数が増えたのか」「どんな人が訪問しているのか」とさらに調べを掘り下げ、「こういう人が、こういう理由で訪問するケースが増えていると思われる」と仮説を立てていく。こうして、一つひとつの事象に「なぜ」と思い、掘り下げていくことが、分析とその後の改善には欠かせないのだそうです。
これは、ウェブに限らずビジネス全般に通じることではないでしょうか。例えば、お客さまから要望を聞いたときや苦言を呈されたとき、皆さんは「なぜ」と思い、尋ねることができますか。
あるいは、「今月はこの商品が売れた、問い合わせが多かった」「今期の売り上げが前期を上回った」といった状況に対して、「なぜ」と思い、理由を知ろうと行動できるでしょうか。
お客さまの要望や苦言の理由を知れば、お客さまの本音、やりたいことが見えてくるかもしれません。また、商品の売れた理由が分かれば、次の商品開発に活かせるでしょうし、前期を上回る売り上げに何が寄与したかが分かれば、それを次の営業活動や、リソース配分に活かせるでしょう。このように、「なぜ」の理由には、ビジネスを前進させるヒントがたくさんあると思います。
また、別の角度から見ると、
「なぜ」と思えるのは関心があるから
ともいえます。恐らく、ウェブサイトの分析でも、「訪問してくれた人をもっと知りたい」と思うことが、「なぜ」の源泉になっているはずです。
同じように、お客さまや商品、売り上げに関心を寄せれば、おのずと「なぜだろう」と理由が知りたくなるのではないでしょうか。
そこで、皆さんに提案です。毎月、チームで「今月、人気があった商品はどれか。それはなぜか」を話し、発表し合ってみましょう。自分一人では見えていなかったお客さまのやりたいことや商品の良さに、気付けるかもしれません。そして何より、「なぜ」の理由を考えるのは、皆さんの知的好奇心をくすぐる面白いことだと私は思うのです。
以上(2021年8月)
pj17067
画像:Mariko Mitsuda