おはようございます。突然ですが、クイズを出します。今から約120年前に創設された、世界初の受賞者の国籍を問わない賞といえば何でしょう? 答えは「ノーベル賞」です。ノーベル賞は、発明家アルフレッド・ノーベル氏の「人類に最大の利益を与えた人々に賞を授けるため、自分の遺産を使ってほしい」という遺言に基づき、1901年に第1回授賞が行われました。現在は物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野において、世界最大級の貢献をした人々に賞が贈られています。今日はノーベル賞がどうやって生まれたのかを、ノーベル氏の生涯と共に紹介します。

ノーベル氏は1833年、スウェーデンのストックホルムに生まれました。後の自分と同じく発明家だった父の影響もあって、幼い頃から化学に興味を持っていたノーベル氏は、あるとき知人から爆薬の一種であるニトログリセリンを紹介されます。当時のニトログリセリンは、爆発しやすく扱いが難しいとされていましたが、彼はその爆発を制御し、建設工事などの平和利用に役立てようと研究に没頭します。こうして発明されたのが、皆さんもご存じの、ダイナマイトです。

ノーベル氏は、この発明により莫大な財産を築きますが、後にそのダイナマイトが戦争に利用され、自身にも「死の商人」のレッテルが貼られていることを知ります。人類を豊かにするための発明が、全く逆の受け取り方をされていたことに、ノーベル氏はショックを受けます。

やがてノーベル氏は、自分の発明について彼なりの結論を出します。彼は、「この世の中で悪用されないものはない」と、ダイナマイトに人命を奪う負の側面があることを認め、その上で自身の発明が正しく使われることを願って、平和のための運動に積極的に参加するようになります。一方で、人類のための発明がうがった見方をされることなく正当に評価されるシステムをつくりたいとも考えるようになります。こうした発明への思いから誕生したのが、ノーベル賞というわけです。

私がノーベル氏をすごいと思うのは、批判の声に真っ向から向き合い、一方で、その声に押し潰されず、発明への思いを生涯大事に持ち続けた点です。彼が批判の声を「関係ない」と無視していたとしても、逆に「自分は死の商人だ、悪だ」と絶望して発明家をやめてしまっていたとしても、恐らくノーベル賞は生まれなかったでしょう。

私たちのビジネスでも、サービスや商品の内容、コミュニケーションなどについて、自分の意図とは裏腹に、相手から厳しい言葉を浴びることがあります。そんなときはぜひとも深呼吸して、「相手の言うことにも一理あるのではないか」と、批判に向き合ってみてください。そして、批判の声を受け止めつつ、それでも自分が貫きたい思いがあるなら、それを貫くことを簡単に諦めないでください。批判を受け止める勇気、受け止めた上で前に進む勇気、この2つが備わったとき、皆さんはさらに大きく成長できるはずです。

以上(2021年9月)

pj17071
画像:Mariko Mitsuda

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