書いてあること
- 主な読者:会社の再建を成功させたい経営者
- 課題:資金も戦力もないところから、どのように立て直せばよいのか分からない
- 解決策:社員とのコミュニケーションを一番大切にし、社員が楽しく働ける環境を作って意識改革を促す
この記事は、千葉ロッテマリーンズ(以下「千葉ロッテ」)の前球団社長・山室晋也氏へのインタビューの「後編」です(前編は下記)。前編に続き、後編は山室氏が、社員の意識や人事制度を大きく変えていったお話をお伺いしています。経営者の皆さまの会社再建、組織再建の参考になれば幸いです。
1 社長はオーケストラの指揮者たるべし
当たり前のことですが、社長1人で会社の業績を上げることはできません。社長というのは、プロフェッショナルである社員たちをうまく機能させる、オーケストラの指揮者のような存在であるべきだと思っています。
会社を再建するには、社員一人ひとりの意識を変えて、業績を上げてもらうしかありません。ですが、形骸化した理念やビジョンを押し付けても社員の意識は変わりません。社員が働きやすい環境を作る、つまり、社員が楽しみながら仕事ができるような状況を作ることが必要です。そのためには、1人の人間として社員の気持ちを考え、1人の人間として当たり前の対応をすることが大切だと思っています。
2 成功体験で承認欲求が満たされれば、楽しみながら仕事ができるようになる
社員が楽しみながら仕事ができるようにするには、次の3つのサイクルが機能することだと思っています。
- 自分(社員)がやりたいことを提案し、採用される
- 自らの提案を実現させ、成功体験を得る
- 会社の利益になることで周囲から評価され、承認欲求が満たされる
社員一人ひとり、社員としてその会社に勤めているからには、何かしらやってみたい「夢」があるはずです。社員にとっては、自分がやりたいと思っているアイデアを提案し、組織や上司を動かし、あの手この手を使ってそのアイデアを実現(クリア)していくことは、夢の実現とともに、ゲーム感覚的な楽しさが味わえます。
そして、第1ステージをクリアした後は、さらに困難で大きな課題を提案しようという気持ちになるでしょう。このサイクルが機能すると、組織は大きく動き出します。社長の役目はそれを後押しし、サポートすることですが、さまざまなことに気を使わなければなりません。
また、楽しんで仕事をするといっても、会社全体の利益にならなければ、ただの自己満足になってしまいます。それを明確に区別するためには、周囲からの評価と、その評価を適正に反映させた人事が必要になります。
3 まずは社員に提案してもらう
以前にも話しましたが(前編を参照)、会社の再建のための提案は、できれば社長からではなく、社員から提案してほしいと思っています。ですから、社員には「もっと言ってほしい」という思いがありました。そこで、社員からアイデアを引き出すために、まず社長は社員が提案をしやすい環境を作る必要があります。
1)全社員へのヒアリングと部署ごとの頻繁なショートミーティング
私が社長に就任して最初に行ったのが、全社員へのヒアリングです。また、部署ごとのショートミーティングも1、2週間に1回程度のペースで頻繁に行いました。社内の課題を把握することも大きな目的ですが、社員が目指す夢や社員像はどのようなもので、会社についてどのように考え、どのように改善したいと思っているかを知ることが重要なポイントです。
また、部署ごとのショートミーティングは15分程度の短いもので、基本的に楽しく、雑談だけで終わることもあります。誰かを責めるような形にしないことも重要です。千葉ロッテでは、ショートミーティングの中からアイデアが飛び出してくることが多かったと思います。
こうしたことにはかなりの時間が取られますが、全社員の話を均等に聞く機会を設け、本音で話してくれるような関係を築くのに必要な時間です。
中にはいきなり主張してくれる社員もいますが、多くの社員は、新社長に対してすぐには本音を出しにくかったと思います。私もどちらかというと口下手なほうなので、1回のショートミーティングではなかなか本音は聞けないものです。ですが、少なくともトップが聞く姿勢を持っているということを示すことはできます。
2)本音を引き出す関係作りは日ごろのコミュニケーションが大切
お互いの気心が知れるようになるには、日ごろのちょっとした会話の積み重ねだと思いますので、社員とのコミュニケーションには気を使いました。事あるごとに、「昨日はご苦労さま」とか、「あれ、良かったよ」「この間の件、おめでとう」といった声をかけることで、社員に「とんでもないことを言っても、この人は怒らない」「失敗しても怒られない」ということが浸透していきました。それで人間としての信頼感のようなものを得ていき、次第にやりたいことなどを話してくれるようになりました。
社員にとっては社長との会話は緊張するかもしれないので、会話の中では緊張をほぐすようなこともしています。半分冗談、どこまで本気か分からないほうが、楽しいと思っています。ビジネスの世界はロジカルで厳格なものですが、人間ですので、それだけだと息が詰まってしまいます。ところどころにユーモアや遊びというものがあったほうがいいと思います。人間というのは、伸び伸びしているほうが力を発揮できるという面がありますので。
社員数が50~60人くらいであれば、一人ひとりの社員に目が届くと思います。千葉ロッテ時代は正社員で60~70人程度の規模でした。社長室に閉じこもっていると何も情報が入ってきませんが、オープンな席で仕事をしていましたので、情報は集めやすかったと思います。「隅っこのほうで何か笑い声が聞こえる」「バタバタと電話がかかってきて、おわびをしている」といった状況は、何となく見えます。そこは常にアンテナを張っておいて、「どうしたの?」と声をかけに行くようにしました。
問題が起きたときも、失敗を責めるようなことはしませんでした。もちろん、失敗の原因となった行為や考え方は注意しますが、反省をしている人に追い打ちをかけてもマイナス効果しかありません。またチャレンジしようと思えるように誘導することが大切だと思います。
3)社長が社員の好き嫌いを見せるのは厳禁
社員とのコミュニケーションを重視するのと矛盾するかもしれませんが、私は一緒に飲みに行くなど、社員と社外で付き合うことはしないようにしています。特定の社員と仲良くしていると、入ってくる情報が偏ってしまうからです。
特に中小企業では、固定したメンバーで業務をするので、好き嫌いというものはどうしても出てしまいます。ですが、社長は社員の好き嫌いは絶対に表に出さないよう、ものすごく意識しないといけないと思います。それを表に出してしまうと、固定した人からのフィルターのかかった意見しか入ってこなくなってしまいます。大きな会社であれば人の入れ替わりもありますし、さまざまなルートから情報が入ってきますが、中小企業のオーナー社長はかなり強力な権限を持っていますので、ただでさえ限られたルートでしか情報が入ってきません。
社員同士の間でも、「この人は社長のお気に入りだ」「この人は社長から疎んじられている」といったバイアスが加わると、無用な派閥ができたり、社員の関係がギスギスしたりしてしまいます。
私自身の反省も含めてなのですが、社長は社員の評価に関することをオープンな場で話すのは避けるべきです。ただでさえ社員は、他の社員の評価に関する情報に聞き耳を立てています。社員の評価に関する話は、第三者に聞かれないように注意しなければいけないと思います。
4 提案に真摯に耳を傾け、なるべく実現させる
1)「社員の提案の95%は検討する価値がある」と思い、詳しく聞く
社員から出される提案の中には、単なる思い付きだけの浅いものや、まだモヤモヤしたものもあります。ですが、社員の提案の95%は検討する価値があると思っています。もちろん、95%を採用するということではありません。
少なくとも提案をするからには、その社員が提案する何らかの背景があるわけです。最初は突飛(とっぴ)に思える提案であっても、まずは提案の背景と、どうすれば提案が実現できると思っているのかを聞いてみることが大切です。
中には、私が「それはどういうこと? 非常に面白いけどお金がかかるから、普通に考えたらできないけど」と聞くと、「実はお金をかけなくてもできる方法があるんです」と話してくれる社員や、「こうすれば、もしかしたらできるのではないかと思うのですが、具体的にはちょっとまだ思い浮かばないんです」と打ち明けてくれる社員もいます。実現方法を考えていないような社員には、「それはアイデアじゃなくて、思い付きだろ」と指摘します。
提案の背景と実現性を確認した上で、採用できない理由を説明すれば、提案した社員も納得はできると思います。そして、「確かに、やるとなるとものすごく大変だ。ちょっと自分でやれる自信はないな」という気付きを得て、少なくとも当事者意識を持ってくれるようになります。
2)採用したら、まずは提案者にやらせてみる
採用できそうな提案に対しては、基本は「では、君やってみて」という形で、提案者に任せることにします。ただし、途中で難しいように見えた場合は、サポートを付けたり、上司などが引き取ったりすることがあります。
これまでほとんど提案をしてこなかった人が提案をした場合などは、少し厳しそうだけどやらせてみよう、ということもあります。もちろん、小さなところから始めていくのですが、まず成功体験を積ませてみよう、ということで採用したこともあります。
社長に就任してすぐに採用したのが、ファンサービス担当の社員がヒアリングシートに記入した、「ファン感謝祭で選手とファンと千葉ロッテの社員で一緒にダンスを踊りたい」という提案でした。私の見たことのないダンスでしたが、とても楽しそうに踊っていたので採用を即決しました。即採用されたことにはその社員も呆気(あっけ)に取られたようでしたが、この企画は動画サイトでも拡散されるほどの大成功を収めました。この成功体験をきっかけに、千葉ロッテでは数多くの話題を呼ぶファンサービスが生まれることになりました。
また、「どうせ無理だけど、東京ドームでできたらいいのにな~」という社員のつぶやきが発端で、2016年7月に東京ドームでの初の主催試合を開催しました。東京ドームやフランチャイズ権を持つチームからの許可などに1年半をかけて実現に至りましたが、結果として満員御礼となり、1試合での集客と収益としては球団史上最高を記録しました。
3)数多くのアイデアが社員からの提案で実現
その他、ここでは社員からの提案で実現した代表的なものを紹介します。特にファンサービスの面では、社員の豊富なアイデアに助けられました。実は、これらの中の多くのアイデアが、私の社長就任前にも提案されたものの、ほぼ門前払いで却下されていたようです。
また、私の社長就任前までは年1回程度、形式的に行われていた選手会と社員とのミーティングを原則毎月開催するようにして、選手と社員との相互理解と協力体制ができたことで実現した提案もあります。
- 「謎の魚」という公式キャラクター
- 毎月行うファン感謝試合「マリンフェスタ」
- ビールの売り子がアイドル活動を行う「マリーンズカンパイガールズ」と売り子選手権
- ヒーローインタビュー表彰
- 勝利後の選手とファンとのコール「WE ARE!」
- ユニホームの名前と場内アナウンスのコールをニックネームにした試合の開催
5 能力と実績に応じた公平な人事評価・人事制度に改革
1)有名無実化していた「人事評価制度」を大きく変えた
これも当たり前ですが、社員が楽しく仕事をするには、社員の能力と実績に報い、周囲からの納得感も得られる人事評価と人事が必要です。
実は私が社長に就任する前の千葉ロッテには、人事制度があってないようなものでした。しっかりとした評価制度がなく、年功序列的な形になっていました。また、社内にはロッテHDからの出向者、球団独自の採用者、業務委託契約者など、さまざまな属性の人が集まっていて、そこの垣根もありました。会社再建のためには、その部分を変えることが必要でした。
私が採用した人事評価制度は、簡単に言うと年齢や勤務年数、属性などの違いを全てフラットに評価するというものでした。とはいえ大半の業務は数値化できないので、360度評価のように、上司や部下、関係部署などから広く意見を聞いて、なるべく合議制の形で評価をするようにしました。それほど社員の数も多くないので、周りから見ていても、誰が仕事ができるのか、というのは分かってくるもので、大きく評価がずれることはないと思います。
人事に関しても、色を付けずに純粋に能力に応じたポジションを充てる、ということを行いました。頑張れば、能力があれば昇進・昇格・昇給するという、普通の会社にとって当たり前のことをしただけです。
2)ビールの売り子が部長に
能力と実績に応じた人事に改めて、「大抜てき」に見える人事も行われるようになりました。例えば、ビールの売り子のアルバイトだった人が、契約社員、正社員となり、部長に昇進したケースもあります。また、契約社員から本部長になった人も3人います。
私としては、さまざまな人の意見を聞きながら、マネジャーとしての見識や能力など総合的に判断して、あるべきポジションに収めた、という感覚でいます。特段、むちゃくちゃに抜てきしたという気持ちもありません。ステップを踏んで徐々に昇進していますし、周囲の評価と照らしても、納得感がある人事だったと思います。
一番大事な評価のポイントは、アイデアを出して、それをきちんと実行できることです。プロジェクトマネジャーとして、きちんとプロセス管理ができる人を一番評価します。
中小企業の場合、社長の目が全社員に届きやすいので、社員はプレーヤーに徹することが多いのではないでしょうか。千葉ロッテの場合もプレーヤーばかりで、もう少しマネジメントをやってほしいという気持ちがありました。
自分は一歩下がって部下たちの力が発揮できるようにするとか、他部署との調整をするとか、どこにターゲットを絞って攻めるべきかを考えられるような人材です。千葉ロッテでは、自分の仕事だけをすればいいという傾向がありましたので、自分最適ではなく、会社の全体最適化を考えられるプレーヤーの育成に努めました。
そのために、個別にかなり密にコミュニケーションを取るようにしました。「それでは他部署との連携がうまくいかない」「こうすれば収益が2倍になる」「その情報は自分だけでなく、社内で共有したほうが大きな反響を得られる」といったことを、オンザジョブで指摘していきました。
3)小さな表彰制度を活用
2:6:2の法則というか、組織としてやはりどうしても2割か3割の人が大半の仕事を行う、という状況になってしまいます。ただ、残りの8割なり、下位の2~3割の人を放置しておくというのは、非常にもったいない話です。
そういった人たちのモチベーションが上がるための制度が、表彰制度です。「その人のポジションや能力からすると、ちょっとチャレンジしたね」という場合に、表彰によってスポットを当てることをしました。これは、組織全体の活性化に大きく役立ったと思います。
表彰は、日ごろ目立たない部門なども含めて、全社員に公正に行き届くことが大切です。例えば、難しい案件を早く上司に回して決裁をした人に「上司への書類キラーパス賞」、スマホアプリなどの集客企画を実施してファンをスマホ依存症にした人に「スマホ依存賞」など、型にはまらずに表彰しました。賞品は500円程度の図書カードなどの安価なものですが、皆の前で表彰されて、拍手をされながら受け取ることに意味があります。
こうした表彰は非正規社員やアルバイトも対象にしました。それによって、警備員が愛想良く誘導するようになり、清掃のアルバイトが来場者に笑顔で挨拶をするようになるといった効果がありました。
さらに、上司にとっては毎月の表彰者探しが義務となりましたので、部下の良いところを探すために部下に関心を持つようになる、という意義も大きかったと思います。
4)中小企業に特有の「役職インフレ」
年齢や勤続年数と人事の逆転現象は生じてしまいます。逆転された人も腐ってしまわないようにするには、基本的なことですが、コミュニケーションを取ることを心掛けました。
それから、現実的な対応として、肩書を与えてモチベーションアップを図ることもしました。恐らくどこの中小企業もそうだと思うのですが、「役職インフレ」になっているのではないでしょうか。給料ではなかなか報いることができないので、何で報いるか、ということを考えると、肩書で報いるということになってしまいがちです。
特にプロスポーツ事業会社の場合、管理職が4割くらいになってしまっています。千葉ロッテの場合も、そこら中に本部長、部長、課長がいて、課長の下にはほとんど誰もいないような部署が多くありました。
本来は大企業のような三角形の組織体を目指したいので、この問題ではいろいろと考えたのですが、日本人の感覚として肩書を重んじる文化があるので、ある程度は肩書で報いるものとして割り切ることにしました。理想と現実のギャップができるのは仕方ないと思っています。
6 指揮者であっても自分の背中を見せて社員を引っ張る
1)「ここ一番」では絶対に逃げない
社長はオーケストラの指揮者であるべきだと言いましたが、そうは言ってもやはり中小企業の場合、社長が率先垂範しないと誰も付いてきてくれません。立派なロジックであったり夢であったり理想だったりを語っているだけでは、社員の心に響きません。
中小企業の場合、社長にもプレイングマネジャー的な役割が求められると思います。しかし、やりすぎてしまうと、時間も限られていますし、部下が育ちません。毎回社長が出ていくと、全部「社長お願いします」となってしまいます。ちょっと背中を見せるというか、「ここ一番」というときに出ていくのが理想だと思います。ただし、その「ここ一番」というところでは、絶対に逃げずに必ず出ていくということが大事です。
私はシーズンの開幕・閉幕の際に、球団を代表してファンに向けたメッセージを必ず公表するようにしていましたが、チームの成績が悪かったときは、逃げ出したい気持ちを抑えてメッセージを伝えていました。
2)ホームグラウンドでの試合の開門時にハイタッチで出迎え
私が社長就任期間を通じて欠かさなかったことに、「開門時のハイタッチ」があります。これは、ホームグラウンドでの試合の日の開門時に、入場ゲートの前でマスコットや社員とともに来場者をハイタッチで出迎えるというものです。
「千葉ロッテは、ファンが早くから来場することを社長がこんなに喜び、歓迎する球団だ」ということを、ファンや社員に伝えるために始めました。「どうせ長続きしないだろう」といった冷ややかな声もありましたが、社長として「お客さま第一主義」を掲げた以上、信念を貫き、方針に沿った行動を続けることが、社長としての責任の取り方だと考えて続けました。
ハイタッチを続ける私の信念は、ファンだけでなく、多くの人に共感していただくことができました。私の姿勢を評価してくれたスポンサーから協賛金を増額してもらったり、地元の千葉市の担当者が私の意見を尊重してくれるようになったり、選手がハイタッチなどのファンサービスに不満を言わなくなったり、という影響があったと思っています。
また、ファンの方に私の顔を覚えていただき、来場者から直接クレームなどのご意見をいただけるようになったことも、良い効果だったと思います。
7 社員の意識さえ変われば、結果はついてくる
実は、開門時のハイタッチは、業務を発注している別会社の若い男性社員の発案でした。彼は、社長に就任して間もない、会社を変えようと張り切っている私と雑談をしていた際に、「いつも社長なんて、そうやって変えると言うだけで、結局変わらないんですよ」と言ってきた人物です。私としては、「俺は絶対変えてやるから見ててくれ」と返答したものの、つらくもありましたし、「現場の人たちは、私の意気込みをその程度にしか捉えていないのだろう。むしろ『迷惑だな』と思っている人もいるだろう」という気付きを与えてくれもしました。
そんな彼の遠慮のない提案を聞いて、私は彼を球場のホスピタリティ改善の実質的な責任者に任命しました。その後、彼は多くの提案をしてくれましたし、もともと彼は決して愛想が良いほうではなかったのですが、率先して笑顔でファンを出迎える役割を果たしてくれました。
最初に直言されてから2、3年たって、彼から「会社がすげー変わって、本当に良かったです。こんなに変わると思っていなかったし、僕自身も変わりました。ありがとうございました」と言われました。私が千葉ロッテの社長になって、一番うれしかった言葉でした。
本来、「できない社員」というのはいません。意識さえ変われば社員は大きく成長しますし、収益を出そうと一生懸命やってくれます。そうなればおのずと結果がついてきて、会社は立ち直るのだと思います。
【参考文献】
「経営の正解はすべて社員が知っている」(山室晋也、ポプラ社、2021年2月)
山室晋也(やまむろ しんや)
1960年1月25日、三重県生まれ。エスパルス代表取締役社長。
1982年に立教大学経済学部卒業後、大手銀行に入行。4店の支店長を経て、2011年4月から執行役員。2013年4月、銀行子会社の代表取締役社長に就任。
2013年11月に千葉ロッテマリーンズ顧問に就任し、2014年1月から取締役社長。2019年12月、退任。
2020年1月、清水エスパルスを運営するエスパルス代表取締役社長に就任し、現在に至る。
著書に「経営の正解はすべて社員が知っている」(ポプラ社、2021年2月)。
以上(2021年12月)
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画像:千葉県