早いもので2021年も今月で終わります。我が社のような3月決算の会社の場合、この時期には2つの節目を迎えます。1つは新年を迎えること、もう1つはその3カ月後に新年度を迎えることです。会社全体としては今の経営計画の総決算となりますし、並行して新しい年度の戦略も描くことになります。
この時期は、個人ベースでもけじめをつけるのに絶好のタイミングです。積み残していた仕事を片づけたり、新しい年や年度にチャレンジすることを決めたりします。そして、何か新しいことを始めるということは、別の何かを捨てるということでもあります。
さて、皆さんはお客様や取引先に年末の挨拶をすると思いますが、それはどのような内容のものでしょうか。ここがとても大切だと私は思うのです。相手によって挨拶の内容は変わってくるものですが、「今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」と伝えるだけでは、不十分です。
年末のご挨拶は、相手に対する提案だと思ってください。相手は、新しいビジネスの取捨選択をしています。そこに、新しいビジネスのアイデアがあったらどうでしょうか。もし、その内容が魅力的なものであれば、新年早々に会ってもっと詳しく話を聞きたいと思うはずです。また、的を射たものでなかったとしても、提案をしてくれる相手との関係をなくそうとは思わないでしょう。
私のところにも、毎年、たくさんの年末の挨拶状が届きます。もちろん、全てに目を通し、返信もしますが、「今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」といった定型的なものには、やはり「こちらこそ、ありがとうございました」と、定型文で返すだけです。正直なところ、印象に残りません。
皆さんは、相手の印象に残り、次のビジネスにつながる年末の挨拶をしなければなりません。そのためには、新しい提案を盛り込むことの他に、これから話す2つの要素も加えるようにしてください。
1つは、今年、その相手と取り組んだビジネスを振り返ることです。「今年は、一緒に新しいビジネスを企画して営業しました」といった具合ですが、そのとき、その商談における象徴的な会話など、相手と自分しか知らないことを盛り込むと、相手はこちらに親近感を抱きます。
もう1つは、年明けの具体的な行動を示すことです。「1月の第3週目にお会いしましょう」といったように、次の具体的な行動を示すことで、年明け早々から新しいビジネスの可能性を模索できるようになるのです。
定型的な挨拶やカレンダーの配布だけでは自社を印象づけるのが難しい時代になりました。私たちは、今のこの時期を生かして次のビジネスの可能性を見いだしていきましょう。それは、たった1つの年末の挨拶から始まるのです。
以上(2021年12月)
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画像:Mariko Mitsuda