日ごろから私は皆さんに、「次工程はお客様」ということを繰り返し伝えています。仕事は1人で進めるものではありません。たとえ社内であっても、次工程を担当する人が進めやすいように考えて仕事をしてください。アウトプットの方法もしかり、スケジュールもしかりです。
「次工程はお客様」とは、つまり、「次工程も自分事として考える」、ひいては「一連の仕事全体を自分事として考える」ということに他なりません。皆さんはこのことを、本当に理解できているでしょうか。残念ながら私にはそうは思えません。「次工程に移ったら自分はもう関係ない」と考えている人が多いように感じます。
例えば、自分の担当分が終わり、次工程を担当する人に仕事を任せた後、皆さんはどうしていますか。スケジュール通りに進んでいるか把握しようとしていますか。困ったことが起きてはいないかどうか、確認しているでしょうか。
スケジュール通りに進まなかったときやトラブルが発生したときなどに、皆さんは「私はちゃんとやりました」と言うことがあります。それに対して次工程がうまく進められていないことを把握していたか尋ねると、「確認していません」「それは次の担当に任せています」と答えたりしますが、それでは「ちゃんとやった」ことにはなりません。仕事は、誰かに任せたらそれで終わりではありません。任せる側には、任せた後の進捗を確認し、完了まで見届ける責任があるのです。
一方、任される側にも、同じだけ責任があります。任される側の責任は、第一に任された仕事をしっかり進めることですが、それだけではありません。予定通り進捗しているかどうか、問題が発生していないかどうかなどを、自分のほうから任せてくれた人に報告や相談をし、知らせる責任があるのです。
また、任されることがあらかじめ分かっているのなら、「自分は次工程だから」と黙って待っているだけでは問題です。前の工程がうまく進められているかどうか、もしそうではないなら手伝えることはないか、先に調整しておける部分はないかを確認しなければなりません。ただ待つのではなく、仕事を任されるために必要な準備をするのも、任される側の責任です。
このように、仕事は、任せる側にも任される側にも責任があります。どちらも重要な責任です。両方がそれを果たして初めて、仕事が完了するということを肝に銘じてください。
皆さんは日々、任せる側と任される側、どちらの立場にも立つでしょう。大切なのは、どちらの立場であっても「声を出すこと」です。両方が声を出し、状況を知らせたり確認し合ったりしていれば、仕事は回っていくはずです。
仕事ではチームワークが大切です。チームワークは、任せる側と任される側のそれぞれが、まず自分の責任を果たした上に成り立つものだということを忘れてはならないのです。
以上(2022年1月)
op16919
画像:Mariko Mitsuda