書いてあること
- 主な読者:「健康診断」など、健康管理のルールについて知りたい新入社員
- 課題:健康診断って義務なの? 仕事がある日に体調が優れないときはどうすればいいの?
- 解決策:健康診断は社員の義務。体調が優れないときは我慢せず会社に申告する
あぁ〜、今日は定期健康診断か……。昔から病院って苦手なんだよな。別に調子は悪くないし、受けなくてもいいと思うんだけど、拒否しちゃダメかな……。そもそも、何で会社がいちいち健康診断について指示するの? 自分で自分の健康を管理していれば十分でしょ?
1 皆さんは契約を守るために健康でいる義務がある
会社と皆さんは労働契約を交わしています。労働契約とは、
皆さんが仕事をする代わりに、会社がお給料を支払うという契約
です。そして、会社と皆さんは労働契約を守るために努力しなければならないことがあります。
まず、会社は「安全配慮義務」を負っています。安全配慮義務とは、
皆さんが病気やけがをせずに安心して働けるように配慮をすること
です。健康診断はこの一環として行われます。
次に、皆さんは「自己保健義務」を負っています。自己保健義務とは、
自ら健康管理に取り組むこと
です。自己保健義務と言われてもピンとこないかもしれませんが、注意したいのは、
- 健康診断は必ず受ける
- 病気やけが、体調不良のときは我慢せず申告する
- 健康管理上必要な指示やルールには従う
の3つです。皆さんが自分の健康管理をおろそかにし過ぎると、会社から懲戒処分を受けることもあります。そうした意味ではプライベートでも一定の配慮が必要です。遊んで徹夜をしたり、深酒をしたりして仕事のパフォーマンスが落ちるようでは、社会人として失格です。
2 健康診断は必ず受ける
会社が実施する健康診断は労働安全衛生法という法律で定められています。幾つか種類がありますが、基本として押さえておきたいのは、
- 社員が入社したときに実施する「雇入時健康診断」
- 入社後、1年以内ごとに1回実施する「定期健康診断」
です。原則として、図表の項目は必ず受診しなければなりませんが、注意書きの通り、省略できるケースがあります。
健康診断の結果、もしも「要検査」「要治療」となった場合は、それに従って医師の検査や治療を受けるなど、改善に努めなければなりません。
3 病気やけが、体調不良のときは我慢せず申告する
体調が優れないときや、けがをしたときなどは、我慢せずに会社に伝え、休むようにしましょう。その際、所定の手続きがあるので、先輩に確認してください。大事なことは無理をしないこと。無理をして症状が悪化したら、それこそ周囲に迷惑をかけることになります。また、症状がひどい場合は病院に行きましょう。その場合、
- プライベートの病気やけが(私傷病)であれば、原則3割負担(健康保険)
- 通勤中や仕事中の事情による病気やけが(労働災害)であれば、原則無料(労災保険)
で診察や治療が受けられます。1.の健康保険を使うときは、保険証(健康保険被保険者証)を持参します。また、2.の労災保険を使うときは、所定の書式に必要事項を記入して病院などに提出します。書式は下の厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできますが、種類が多いので、慣れないうちは会社に事情を説明して、必要な書式を用意してもらうようにしましょう。
■厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html
4 健康管理上必要な指示やルールには従う
会社は、皆さんの健康を守るため仕事上のルールを設けることがあります。例えば、コロナ禍であれば、感染予防のため「ソーシャル・ディスタンスを守って仕事をするように」、夏場であれば、熱中症予防のため「こまめに水分補給をするように」といった具合です。
こうしたルールをおろそかにすると、皆さんが健康を害してしまい先輩などにも迷惑がかかるので、必ず守りましょう。特に建設業や製造業などの場合、設備や装備、用具の取り扱いに至るまでルールが多い傾向にありますが、こうした業種ではルールを守らないことが即、重大な事故につながる恐れがあります。
以上(2025年1月更新)
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画像:Mariko Mitsuda