今日は「怖さ」について話をします。皆さんはどのようなときに「怖い」と感じるでしょうか。初対面の人と会うとき?偉い人や大先輩と話すとき?初めての仕事をするとき?飛行機に乗ることが怖いという人も多いでしょう。このようにさまざまな場面で人は「怖さ」を感じるのです。この「怖さ」は、積極的に物事に取り組むことを妨げたり、物事を実行に移すための動機をなくしたりします。つまり行動力を弱めるのです。
逆に考えれば「怖さ」を感じないようにできれば積極的になれますし、実行力も出てくるでしょう。でも、そんなことは本当にできるのでしょうか。例えば飛行機。あんな金属の塊の中で何千メートルもの高度を飛ぶことは、いざというときのことを考えれば怖くないはずがありません。それから、初対面の人と話すのは誰でも怖いし不安です。ましてや相手が著名人や大物であればなおさらです。私も経営者(ビジネスパーソン)として、何年も経験を積んでいますが、いまだ「怖いこと」は減るどころか、増えています。
そこで、こうした「怖さ」を乗り越える方法について考えてみました。実は「怖さ」を克服する方法はあるのです。
一つは「怖さ」に慣れることですが、これは簡単ではありません。
もう一つは、怖さの先にある楽しいことを想像することです。これが最も効果的な方法かもしれません。飛行機は怖いけれど、目的地に着いたら温泉がまっているとか、息苦しく怖い社長へのプレゼンテーションが終われば、今日の仕事が一息付くとかです。
大切なのは、まず「怖さ」を認めるということです。認めるということは弾き返すのとは違います。「怖さ」を感じないようにしようと、「怖さ」に対して鉄壁の防御を設けてもうまくいきません。まずは受け入れるというのが第一歩です。
この世に「怖さ」を感じない人はいないのです。世界のホームラン王である王貞治さんでも、現役選手時代には開幕が近づくにつれ、「今年はホームランを打てないのではないのか」といった考えがよぎり、怖くなったといいます。
最後にとっておきの「怖さ」に向き合う秘訣を紹介します。「怖さ」を別の表現にしてしまうのです。例えば「あの人に会うのは怖い」を「あの人に会う時は何だかドキドキする」と表現するのです。「ドキドキする」とはなんとも子供じみた表現ですが、異性とのデート、コンサートやジェットコースターなどで興奮した際の「ドキドキ」を想像してください。怖くてドキドキするのも、興奮してドキドキするのも、同じ生理現象なのです。
「怖いこと」を「ドキドキすること」と考えるようにすると、何だか期待感がわき、緊張がとれ、積極的に物事に取り組めるようになります。
以上(2022年7月)
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画像:Mariko Mitsuda