今日は、ガリレオ・ガリレイの話をします。ガリレオは、16世紀から17世紀にかけて活躍した、イタリアの物理学者、天文学者です。ピサ大聖堂のランプを見て「振り子の等時性」や、ピサの斜塔から大小2つの鉄球を落として「落体の法則」を発見したなど、ガリレオの功績はさまざまありますが、私が好きなのは「地動説」に関する話です。
地動説とは、地球が太陽の周りを回っているという、ポーランドの天文学者コペルニクスが提唱したとされる説です。ガリレオは40代の頃、まだ発明されたばかりの望遠鏡を使って、星の満ち欠けや、太陽黒点の動きを観測した結果、コペルニクスの説が正しいことを証明します。
ただ、当時のカトリック教会は、地球が宇宙の中心にあり、地球の周りを太陽、月、その他の星が周回しているという「天動説」を支持していました。当時はカトリック教会が絶対的な力を持っていた時代だったので、ガリレオの考えは教会の教えに背いているとして、彼は異端審問にかけられてしまいます。
やがて、ガリレオはローマ法王の前で、半ば強引に地動説を撤回する宣誓をさせられ、フィレンツェ郊外の村に幽閉されますが、その後も地動説を信じ続け、幽閉先の村で、それまでの自分の考えをまとめた本を出版します。諸説ありますが、最期は「それでも地球は回っている」と言い残して、この世を去ったといわれています。
カトリック教会は、ガリレオの死後も引き続き天動説の考え方を貫き通します。しかし、彼の地動説に対する考えは多くの人々に影響を与え続け、ガリレオの死から300年以上が経過した1992年、カトリック教会は、ガリレオに対する異端審問が間違いだったことを認めました。
私がガリレオをすごいと思うのは、「古くから当たり前とされている考え方におもねることなく、科学的な根拠に基づいて導き出した“真実”を主張し続けた」ということです。革新的な主張は奇異の目で見られやすく、その中で意見を貫き通すのは、簡単なことではありません。
皆さんも仕事の中で、自分の意見について上司や先輩から「それは間違っているんじゃないか?」と言われて、自分の意見を引っ込めてしまった経験はありませんか? もちろん、本当に間違っていたときにそれを認める素直さは大事なのですが、自分では納得できていないのに、相手が上司や先輩だからという理由で萎縮してしまっているのだとしたら、それは皆さんにとっても、会社にとっても決して良いことではありません。
上司や先輩は、皆さんの意見が自分たちと違うというだけでは否定しません。客観的に見て正しいことであれば、ちゃんと耳を傾けます。もし社内に、「天動説」のような改善すべき課題を見つけたならば、自信を持って主張してみてください。皆さんの一言が、社内の「天動説」をひっくり返すことを期待しています。
以上(2022年9月)
pj17119
画像:Mariko Mitsuda