今、私たちは、未曾有の状況下にあります。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言。それに基づく営業自粛、売上大幅減。正直なところ、今後の見通しが立てられない、運転資金が尽きてしまうといった会社も多いと思います。

こうした中で注目されている資金調達法の一つが「ファクタリング」です。ファクタリングは簡単に言うと、請求書などの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、本来の入金日よりも早くキャッシュを手に入れられるサービスです。

深刻なキャッシュ不足に悩む中小企業の経営者や個人事業主にとって、ファクタリングは魅力的であるものの、デメリットやリスクがないか心配、どういうファクタリング会社(業者)がおすすめか分からなくて不安という方もいるでしょう。

そこで本記事では、ファクタリングについてメリットデメリットを整理した上で、最近特にニーズが増えているオンライン完結型のファクタリングなど、事例を紹介したいと思います。経営者の皆さまの資金繰りに、少しでもお役に立てれば幸いです。

なお、ファクタリングの会計処理については本サイトの下記記事をご参照ください。

1 ファクタリングとは

ファクタリングには、冒頭で紹介した売掛債権を買い取ってくれるサービスと、売掛債権を保証してくれるサービスとがあります。この記事で紹介するのは「買い取ってくれる」サービスです。保証してくれるサービスについては、本サイトの下記記事をご参照ください。

早くキャッシュが手に入る(現金化できる)という大きなメリットがある一方で、ファクタリング会社によっては手数料が高い、場合によっては取引相手にファクタリングを利用したことを知られてしまうなどのデメリットもあります。

ただし、こうしたデメリットは、どのファクタリング会社のサービスを利用するかで回避できなくもないのです。そのことをお伝えするに当たり、まずは、ファクタリングの仕組みと、メリットデメリットを整理してみましょう。

2 図解:2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

ファクタリングには、登場するプレイヤーによって「2社間」のものと「3社間」のものがあります。2社間は、自社とファクタリング会社で売掛債権のやり取りが完結するもので、3社間は自社とファクタリング会社の他に、売掛先(取引相手)も登場します。

ファクタリングの仕組みを説明した画像です

3 ファクタリングのメリットとデメリット

3社間は2社間に比べて、現金化するまでに時間がかかる場合があります。ただし、手数料は2社間よりも比較的安い傾向です(ファクタリング会社によります)。どちらが良い悪いではなく、メリットデメリットを整理した上で利用を検討することが大切です。

1.ファクタリングのメリット

  • 早く現金化できる。特に2社間の場合、即日現金化が可能なこともある
  • 担保、保証人が必要ない
  • 売掛先が倒産しても回収する義務を負わない
  • 2社間の場合、売掛先にファクタリング利用を知られる可能性は低い

2.ファクタリングのデメリット

  • 手数料が高い。特に2社間の場合、3社間よりも高い傾向にある
  • 3社間の場合、現金化に時間がかかる場合がある
  • 3社間の場合、売掛先にファクタリング利用を知られる
  • 2社間の場合でも、売掛先にファクタリング利用を知られる可能性が0%ではない

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4 どういうファクタリング会社が一般的におすすめか

ファクタリングを検討する際に悩むのは、どのサービスを使うかです。最近ではファクタリングニーズの高まりを背景に、主に個人向け(給料ファクタリング)ではありますが、悪徳業者のニュースも聞こえてくるため、慎重に選ぶことが大切です。

一番重要なのは、やはり「信頼性」です。ファクタリング会社をいくつか挙げ、経営者仲間やメンターに評判を確かめてみるのもよいでしょう。Q&Aサイトを使って、おすすめのファクタリング会社を匿名で多くの人に尋ねている経営者もいるようです。

一概には言えませんが、次のようなところは、比較的、信頼性が高いと思われます。

  • ホームページで手数料、運営会社情報、代表者情報などをしっかり開示している
  • 銀行や、中小企業向けにサービスを提供している大手企業と連携している

5 ファクタリング会社の事例 注目は非対面のオンライン完結型

コロナ禍において存在感を増しているのが、オンライン完結型のファクタリングです。申し込みから入金まで全てオンラインでできるので、書類にハンコを押したり面談したりする必要がありません。スピーディーで手軽な資金調達として注目されているのです。

その代表例とされるサービスがOLTAで、法人でも個人事業主でも、早ければ即日、数十万〜数百万円を現金化することができます。売掛先に知られる可能性の低い2社間ファクタリングで、手数料は2〜9%と業界でも低い水準です。

銀行や大手企業などとの連携を増やしていることなどもあり、OLTAへの問い合わせは増えているようです。4月20日〜5月6日には、新型コロナウイルス感染症に伴う資金繰り支援として、初回手数料無料キャンペーンを行いました。

その他、オンライン完結型のファクタリングには、freee「請求書ファイナンス」Chatwork「Chatwork 早期入金」(両方ともOLTAと協業)、LENDY「LENDYファクタリング」などがあります。

先ほど、手数料が高い、取引相手に利用したことを知られるといった「ファクタリングのデメリット」を挙げましたが、オンライン完結型であれば、こうしたデメリットを回避できる可能性があります(サービスによります)。

6 ファクタリングの「後」に経営者がやるべきこと

コロナ禍を経験し、多くの経営者は改めてキャッシュの大切さをかみ締めています。明日、1週間後、1カ月後の会社経営や店舗運営、雇用を支えるのはキャッシュであり、それがなければ、売掛金があっても立ちいかなくなります。

困ったときはファクタリングなどの資金調達法を利用し、とにかく現状を乗り切っていくことが大切ですが、肝心なのはその後です。今後、支払いに窮することのないよう、資金繰りを改めて見直してみなければなりません。

現在、盛んにアフターコロナ、ウィズコロナと言われています。そうした世界では、さらに一歩進んで、お互いに「全て即時決済、即時振り込み」をするのが理想的ともいえるでしょう。経営者同士が相手と自分、両方のキャッシュを考えて行動する「優しい世界」が、今後は普通になっていくのかもしれません。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年5月21日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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