かつてナポレオン・ヒルは、偉大な多くの成功者たちにインタビューすることで、成功哲学を築き、世の中に広められました。私Johnも、経営者やイノベーター支援者などとの対談を通じて、ビジョンや戦略、成功だけではなく、失敗から再チャレンジに挑んだマインドを聞き出し、「イノベーション哲学」を体系化し、皆さまのお役に立ちたいと思います。

第21回に登場していただきましたのは、「ワイヤレス給電で配線のない世界へ」をビジョンとし、FA・ロボット・スマートハウスなど、幅広い領域へ独自のワイヤレス充電技術を提供するスタンフォード大学発ディープテックスタートアップのエイターリンク株式会社 代表取締役 田邉 勇二氏です。(以下インタビューでは「田邉」)

1 「日本の大手企業で経営に携わるのは、文系出身の方ばかり。僕はそこに違和感を覚えたのです」(田邉)

John

田邉さん、この度は貴重なお時間を本当に愛りがとう(愛+ありがとう)ございます!
早速ですが、田邉さんのご経歴についてお聞かせください。

田邉

生まれは、シリコンバレーのサニベールという街です。父が現地でビジネスをしていた関係で、家族で住んでいました。

4歳の時に家族で日本に戻り、エンジニアリングを学んで大学院の博士課程まで進みました。研究をしながらアメリカでスタートアップを立ち上げたりはしましたが、基本的にはずっとアカデミア領域におりました。

日本にいた頃は、北九州に当時新設されたばかりだった早稲田大学の大学院に通っており、トヨタ自動車さんと共同でアンテナの研究に取り組んでいました。
具体的には、車の中にあるワイヤーハーネスを無線化することにより、車の重量を軽くするプロジェクト、居眠り運転防止のために運転手の生体信号を取得するプロジェクトなどに参加していました。

今振り返ると、とても良い経験を積めたと思っています。

その後、研究員としてスタンフォードへ行ったのは、30歳を過ぎていました。

John

生まれがシリコンバレーなのですね!
日本でエンジニアとしてすばらしいご研究やご実績を積まれていたようですが、どのような想いからスタンフォードへ行かれたのですか?

田邉

エンジニアとしての視野を広げたいという想いからです。

日本の大学院時代、さまざまなおもしろいプロジェクトに参画させてもらっていたのですが、「日本ではエンジニアがあまりリスペクトされていない」「マネジメント層を目指すエンジニアが少ない」といった想いもありました。

日本の大手企業で経営に携わるのは、文系出身の方ばかり。僕はそこに違和感を覚えたのです。

シリコンバレーのスタートアップや、エンジニアたちがどう活躍しているかということにも興味があり、渡米を決意しました。野球選手であれば、メジャーリーグを目指すのは当然のことかなというのもありました。

そして、渡米後スタンフォードで出会ったのが、体内に埋め込む医療機器などの小型化に取り組んでいたエイダプーン教授(写真真ん中)でした。

スタンフォード大学工学部研究室のメンバーの画像です

スタンフォード大学工学部研究室のメンバー

彼女は機器の小型化について理論的な研究を重ねており、それを検証するための実際のハードウェア作り、実証実験に長けた人間を探していました。

僕はまさにハードウェアサイドの人間でしたので、彼女のニーズと合致し、一緒に働くことになったのです。

John

起業の聖地シリコンバレーで生まれ、日本で研究しながらもアメリカでスタートアップを立ち上げられたご経験を持つ、田邉さんだからこそ感じられた違和感を見て見ぬ振りをせずに、実際に渡米して確かめたというのもすばらしいです。良い出会いに繋がってよかったですね。
具体的にどういった医療機器を作られていたのですか?

田邉

我々が論文で発表した中で一番分かりやすいのは、心臓のペースメーカーですね。

心臓の中に超小型のペースメーカーをカテーテルを通して埋め込み、体の外からワイヤレスで給電して、心拍を制御します。体内のデバイスはその電波をキャッチして電子信号に変換し、心臓をペーシングするというものです。

心臓は左心室・右心室、左心房・右心房という4部屋に分かれていますが、左心室・右心室、右心房の3部屋を同時にハッキングするというのが重要なポイントでした。特に、左心室は体表面からの距離が10cm以上と深く、ワイヤレス給電によりペーシングするのは困難を極めました。何度となく、諦めようかと議論をしていましたが、問題の本質がワイヤレス給電による電力量ではなく電極にあることが分かったので、解決することができました。

僕たちは豚を使った実験で、世界で初めて3部屋同時ハッキングに成功することができました。
著名な科学誌である「Nature」で論文を発表し、話題となりました。

John

動物実験で世界初となる成果を出されたなんて、すごいですね!今後、長い道のりだとは思いますが、実装まで何年程度かかるとお考えですか?

田邉

そうですね。まだ動物実験を経た段階ですので、社会実装は10年以上先ということになります。

この研究を元に医療機器のスタートアップ企業を立ち上げたのが、僕にとって初めての起業でした。

当時の僕はまだ会社の経営などは全く分からない状態でしたが、教授や大学の知財部などの後押しを受け、学生を含む3人で会社を立ち上げました。

会社立ち上げ後は、この技術を心臓だけでなく、膀胱へ電気刺激を与えて排尿をコントロールするなどに応用していきました。

現在、僕は完全にこの事業から離れてしまいましたが、企業としてはシリーズBのフェーズに入り、50億円ほどを調達していると聞いています。今は、ただの株主となっています。

John

初めて起業する時に、周囲にサポートしてくれるプロフェッショナルがいたことは有り難いことですよね。さすが、ゼロイチを得意とするスタンフォード大学です。起業が非常に身近になりますよね。

2 「スタンフォードでは、日本でいう『大企業へ入ること』と同じくらい、『スタートアップを自ら立ち上げること』に価値があると考えられています」(田邉)

田邉

はい。スタンフォードでは、大学全体がスタートアップを推奨しているのです。
教授の9割以上は、実際に何かしらのスタートアップに携わっているようです。
それが日本の大学と大きく異なる点ですね。

スタンフォードでは、日本でいう「大企業へ入ること」と同じくらい、「スタートアップを自ら立ち上げること」に価値があると考えられています。

むしろ、「起業をしていない」ということは社会に何もインパクトを与えていないと思われてしまうほど、世界を変えるということが大事であると教わりました。

Apple創業者のスティーブ・ジョブズが「Change the world」という言葉を残していますが、スタンフォードの学生たちの中には、それが文化として根づいているのです。

研究をしているというよりも、ビジネスの種を探している学生ばかりでしたね。

John

社会にインパクトを与えるかどうかを評価するというということは、日本にももっと必要ですね。過去に何を成したかも大切ですが、将来何を成したいのかも見なければ、若者がビジョンを持つことは難しくなります。

「こんな世界にしたい」という強烈なビジョンがあれば、たとえ本人にそれを成し遂げるためのスキルが不足していたとしても、必要なスキルを持った仲間を集めることができます。「今の自分にできること、これまでやってきたこと」にとらわれ過ぎずに、世界に対して自分は影響を与えられる、よりよい世界にするんだと信じる力を若者たちに育んでいって貰いたいです。

田邉さんから見て、アメリカと日本の違いはどこからきていると思いますか?

田邉

さまざまな要因があると思いますが、根幹にあるのはエデュケーション(教育)の違いではないでしょうか。

日本は先進国で唯一、文部科学省が大学も含めて全てのカリキュラムを決めている国で、教育の自由度が極めて低いのです。

アメリカの場合は個々のカリキュラムをそれぞれの大学・教育機関で決めています。州立の教育機関の場合はある程度決まったカリキュラムがあるかもしれませんが、それでも「こう教えなさい」といった指示はない。

根幹から大きく異なっています。

John

では、アメリカでは各大学の方針や先生によって、内容も大きく異なるということですね。

スタンフォードはその中でも、特に優れたカリキュラムを構築できているということでしょうか。

田邉

スタンフォードに限らず、一般的なトップスクールはそれぞれ自由に、特色のあるカリキュラムを組んでいると思いますよ。

スタンフォードの強み・特徴を挙げるとするなら、全米でもトップクラスのダイバーシティ(多様性)だと僕は思います。人種の偏りなくさまざまな学生が在籍しています。

もう1つの大きな特徴は、学生数に対する教授の多さ
学生が約1万5000名(学部生6000名、大学院生9000名)なのに対し、教授が約2000〜3000名、研究員が約2万5000名も在籍しているのです。

人数で見ると、学生2~3名(研究室に配属されるのは大体大学院生)に対して教授が1名つく、というバランスですね。

その分、学費の高さも有名ではありますが、スタンフォードが大学のトップだと言われるのにはそうした背景があると思います。なので、コスパは高いと言われています。

John

学生2〜3名に対して教授が1名、すごく贅沢ですね!
そして、それだけ多くの学生や研究者が在籍しているとは、もはや一つの街のようです。

私も以前、スタンフォードのエグゼクティブ教育プログラムでM&Aなどを学んだことがあります。授業の内容が良いことはもちろんですが、敷地内に教会や美術館があり、自然豊かでした。広大な敷地内を自転車で移動した時の気分の良さも未だに覚えています。学生の能力を最大限に伸ばすために、環境への投資もしっかり行われていて感動しました。

3 「最終的には『世の中から配線をなくしたい』という想いを、当時から持っていました」(田邉)

John

1社目を起業された後、どのような活動や研究を経て、現在のお立場になられたのですか?

田邉

その後も、「ワイヤレスで、電力を小さなデバイスへ送る」という技術を根幹に、埋め込み型の医療機器をはじめ、さまざまなアプリケーションの研究に参加していました。

具体的な例を挙げますと、オプトジェネティクスと言われる光遺伝学の研究です。

これは体の中で刺激したい細胞を選択し、光に反応するタンパク質を神経側に出現させLED光などを当てることにより、神経を精度よく選択的にコントロールできる技術です。

例えば、慢性的な体の痛みを和らげたり、心拍や呼吸をコントロールしたりすることも可能です。

実験では、生きたマウスの脳に光を照射し、動きを操作することにも成功しています。

John

そんな技術があるのですね!非常に興味深いです。

田邉さんの「これを成し遂げたい」という目標は何だったのでしょうか?

田邉

最終的には「世の中から配線をなくしたい」という想いを、当時から持っていました。

現在あるワイヤレス給電と言われる給電は、磁界結合方式といって、距離が近くないと使えないものが多いのです。

身近な製品としては、電動歯ブラシなどをイメージしていただくと分かりやすいかと思います。
電動歯ブラシは、台座部分と歯ブラシの下の部分双方にコイルがあり、歯ブラシを台座に置くことによって、充電ができる仕組みになっていますよね。
これが、その台座なしに部屋のどこに置いても充電されるようになったらすごく便利だと思いませんか?

部屋の中に充電したいデバイスをいくつ置いても、ハブとなる充電器1つで全てが充電されていく。わずらわしい配線や、都度プラグインするといった問題が全て解消されるのです。

医療機器への応用ももちろん重要ですが、より多くの人々の暮らしを変えるために、このワイヤレス給電の技術を応用していきたいという想いから、エイターリンク株式会社を立ち上げました。

John

配線のない世界が実現すれば、相当なインパクトを与えますね!人々は今よりずっと快適な生活ができます。

エイターリンクの事業について、もう少し詳しく教えていただけますか。

田邉

エイターリンクはスタンフォード発のスタートアップとしてアメリカではじめに立ち上げた会社で、2018年には独自のワイヤレス給電技術で特許を取得、2020年8月に日本法人を設立し本社移転しています。

先ほどお伝えしたように、現存するワイヤレス給電と言われる技術は近距離でないと充電されないのですが、1〜20メートル程度離れてもワイヤレス給電できるような製品の開発を目指しています。

現在5Gの時代に入り、IoT機器も増えてきていますが、さらに2029年6Gの時代になると、そうした機器が爆発的に増えるであろうと予測されています。
僕たちの事業は、この時代を狙ったものです。

6G時代のイメージ図の画像です

6G時代のイメージ図(出展Nature Electronics volume 3, pages20〜29 (2020))

John

具体的に、6G時代においてどのようなサービスを提供されるおつもりなのですか?

田邉

IoT機器への給電と、それらの機器からデータを収集する過程で、僕たちの技術が役立ちます。

アンテナから電磁波を送り、受けた電磁波を電気信号に変換するという技術が根幹となります。

医療分野、FA機器、スマート家電などさまざまな分野への応用ができるので、現在複数の国内大手企業と実証実験や製品開発を行っている段階です。
2021年には上市が決まっている製品もあるので、非常に楽しみです。

John

非常にわくわくするお話です! どのようにしてそうした大手企業とネットワークを作られたのですか?

田邉

共同創業者の1人である岩佐さん(写真右)が商社の出身でして、その経歴を生かして精力的にビジネスディベロップメントとセールス活動をしてくれています。

岩佐さんとの画像です

2017年、シリコンバレーにて岩佐さんとの初めての出会い

彼は当初、商社マンとして、在籍していた商社でエイターリンクの製品を扱いたいと言ってくれていたのですが、大手企業でしたので会社側はスタートアップの僕たちとの取引に難色を示していたようです。

岩佐さんは製品に惚れ込んでくれていたので、「会社でできないなら、メンバーとして販売したい」とジョインしてくれました。本当に、彼が当時勤めていた商社を辞めてしまったときには、大きな責任を感じました(笑)

John

すばらしい出会いですね。きっと岩佐さんは製品はもちろん、田邉さんの世の中から配線をなくすという想いにも共感し、惚れ込まれたのでしょうね。

今後の展望について、お聞かせいただけますか?

田邉

まずはプロダクトマーケットフィットを達成させ、現在やりとりしているクライアントの要望を一つ一つ叶えていくところからですね。

企業によって、ワイヤレス技術を給電だけに使うのか、データの取得までしたいのかなど、要望が異なりますので丁寧に進めていきたいです。

そして、ゆくゆくはワイヤレス給電の分野で日本だけでなく世界をリードしていく存在になりたいです。

John

お話を伺っていて、田邉さんには、まだ私たちが見えていない未来が見えているのだなと感じます。

田邉さんたちが目指しているという2029年の6G時代、私たちの暮らしはどのように変わっているのでしょうか?
また、課題と感じていることもあれば教えてください。

田邉

ガラケーからスマホへと移り変わった時と、同じような変化が起こるだろうと予想しています。

スマホが出始めた当初、「本当にこれが世の中に浸透するのか」と懐疑的な見方もありました。しかし、今ではどうでしょうか?
生活する上でなくてはならない存在になっていますよね。

それと同じように、デバイスにコネクターや配線はないのが当たり前。部屋のどこにデバイスを置いてもワイヤレスで充電できる。そんな世界になるでしょう。

僕自身も、テレビ裏の配線や、スマートフォンの配線が絡まったりするのが日常においてすごくストレスなので、そうした問題を解決したいという気持ちで取り組んでいます。

課題としては、現在の技術レベルではワイヤレスで送れる電力量が少ないという点です。
そのため、スマートフォンなどの消費電力が大きいデバイスは、ワイヤレスでの充電がまだ困難です。ただし、将来的にはスマートフォンはなくなっていて、例えばスマートコンタクトレンズにARビジョンを投影させるような通信機器、究極的には、脳に直接電極を埋め込んでテレパシーのように以心伝心が可能となる通信デバイスなどが可能となるかもしれません。いずれにしましても、デバイスの消費電力はムーアの法則に伴って、どんどん下がって来ているので、中長距離のワイヤレス給電によるアプリケーションの幅は大きく拡がると考えています。

なお、大電力を必要とされる電気自動車の充電などとは相性が良くなさそうです。

John

電力量の課題が解決し、身の回りの全ての製品がワイヤレス充電となった未来を想像すると、とても楽しみです。部屋のどこに置いていても充電ができるとなると、もしかしたら「充電する」という感覚すら、なくなるのかもしれませんね。

4 「失敗を通し、大事なことに関しては、即決してしまう前にしっかりと確認をするということを学びました」(田邉)

John

ここまで田邉さんの順風満帆なキャリアのお話を伺ってきましたが、多くの方の学びとなるよう、失敗やご苦労されたお話も、お伺いできたらと思います。

今だから話せる失敗などがあれば、教えていただけないでしょうか?

田邉

最大の失敗は、1社目の起業の時ですね。
契約書が読めなかったというのが致命的でした。

今考えると恐ろしいことですが、出資元との契約に際し、弁護士に見せないまま契約書にサインをしてしまったのです。

結果的に出資元に非常に有利な条件となってしまっていて、僕たち(私とエイダ)はほとんど技術を提供するだけ、というような状況になってしまいました。

そういうことを何も知らずに会社を立ち上げてしまっていたのです。

John

契約書の問題は難しいですよね。特にスタートアップだと、勢い任せに話を進めてしまったり、弁護士費用の捻出を勿体無いと考えてしまいがちで、失敗に気が付いた時には手遅れになるケースもありますよね。

田邉

本当に、後から振り返ると恐ろしいです。
今でも、僕はあれこれ考えたり悩んだりする前に、まずはやってみるというタイプではあるのですが(笑)。

失敗を通し、大事なことに関しては、即決してしまう前にしっかりと確認をするということを学びました。

今の会社では、資金調達についても、日本の国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(略称・NEDO)の研究開発型スタートアップ支援事業にアプライするなど以前と異なる手法をとるようにしています。また、シリーズAのクローズに向けて、投資契約などは穴があくほど読み込んでいます。

John

失敗から学ばれ、新たな戦略を立てられた田邉さんは、さすがです。これから起業したい方、スタートアップで働かれている方にとって、非常に有意義な学びのシェアをしていただき、感謝致します。

5 「自分ができること、楽しいこと、世の中に貢献できること。この3つが合わさっていることをしたいと考えた時に、ワイヤレス給電の分野があったのです」(田邉)

John

研究者としてすばらしいご実績を持ちながら、パッションを持ってスタートアップの経営に取り組まれている田邉さんですが、その原動力はどこから来るものなのでしょうか?

田邉

一番大きいのは、楽しいからですかね(笑)。

自分ができること、楽しいこと、世の中に貢献できること。この3つが合わさっていることをしたいと考えた時に、ワイヤレス給電の分野があったのです。

お金だけが目的なのであれば、スタートアップは全くおすすめできないと思っています。お金が欲しいだけなら、GAFAのような大企業に勤めていたほうが、収入の面では安定して稼げて良いでしょうね。

10年ほど大企業に勤めてリタイア、という方もシリコンバレーではよく目にしてきました。すでに資産を持っているのであれば、SP500などの投信に入れておしまいかなと思います。

John

そうでしょうね。
僕も田邉さんと同様、自分なりのもっともおもしろい生き方をしたいなと思っているタイプです。自分の心に正直に、情熱に従っていたいし、そういう生き方をしている人々を尊敬しています。なので、田邉さんとお話していて、心から楽しかったです。

まだまだお話をお聞きしたいのですが、最後の質問です。
田邉さんにとっての「イノベーションの哲学」を教えてください。

田邉

イノベーションとは、後からついてくるもの」。
それが僕のイノベーションの哲学です。

イノベーションは、それを目指して作られるものではないと思うのです。

例えば、スマートフォンやコンピューターの開発者たちは、「イノベーションを起こしてやるぞ」という気持ちでチップ開発やスマートフォンの開発に取り組んでいたわけではないはず。

作っている当時は「爆発的にヒットするだろう」という考えではなく、「世の中を変えたい、もっと便利にしたい」といった気持ちのほうが強かったと思います。

イノベーションというのは、後になって「これはイノベーションだったよね」と分かるものであり、あくまで結果論なのです。狙ったり、計画して作るものではないと考えています。

John

かっこいいですね! ぜひ、ワイヤレスで配線のない世界を実現していただきたいと思います。

本日は貴重なお時間をいただき、愛りがとうございました!

田邊氏のイノベーションフィロソフィーを示した画像です

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年6月11日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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