皆さん、おはようございます。「風邪がはやっていますが体調は万全ですか」「昨夜はよく眠れましたか」「現在抱えている仕事は順調にはかどっていますか」「今日すべき仕事の段取りはできていますか」
今、私は皆さんに4つの質問をしました。この質問を投げかけて、皆さんの反応をうかがうことで、皆さんの体調の良しあしや仕事に取り組む姿勢などをある程度判断できると思ったからです。今日はこの「質問」についてお話しします。
アメリカの著名な数学者であるリチャード・ベルマンは「良い質問は答えより重要である」という言葉を残しています。この言葉は学問の世界だけではなく、ビジネスの世界でも通用します。
例えば、私(上司)が皆さん(部下)から仕事の報告を受けようとする際の質問で考えてみましょう。「プロジェクトに問題は生じていませんか」「プロジェクトの進捗(しんちょく)状況は計画通りですか」「プロジェクトの進捗状況は計画対比で何%ですか」
仮に、プロジェクトの進捗状況が同じでも、私(上司)の質問によって皆さん(部下)の答えは変わります。私(上司)が問題は生じていませんかと問えば、皆さん(部下)は順調に進んでいます、あるいは特に問題はありませんと答えるでしょう。また、進捗状況は計画通りですかと問えば、「ほぼ計画通り」と答えるでしょう。しかし、進捗状況は計画対比で何%ですかと問えば、100%でない限り、98%というように数値で答えが返ってきます。
この場合の質問における重要なポイントは、私(上司)が「状況を具体的に把握することができる」答えが得られることです。そこで、私(上司)は数値で答えられる質問をしたのです。
このように、質問者が欲している情報を、回答者から上手に導きだす質問が、一般によい質問といわれるようです。
実は、私(上司)が質問をすることにはもう一つの狙いがあります。それは、コミュニケーションを活発化させる、言い換えればコミュニケーションの量を増やすことです。
先の例でいうと「プロジェクトに問題は生じていませんか」という質問がこれに当たります。皆さん(部下)が「順調に進んでいます」と答えれば、「順調に進んでいるのは素晴らしい。最も貢献している人は誰ですか」「このまま順調に進捗すれば、計画よりも早く業務が終了しますか」「そうそう、プロジェクトのメンバーの残業は増えていませんか」といったように、さらに質問をすることで、皆さん(部下)とのコミュニケーションが深まりますし、プロジェクトの状況もよく把握できます。
質問には、欲しい情報を得るためにするものと、コミュニケーションを深めるためにするものがあることを覚えておいてください。
私(上司)は皆さん(部下)のことをできる限り多く知りたいと思っています。私(上司)が仕事のことや趣味のことについて質問したときは、快く答えてください。
以上(2022年12月)
op16465
画像:Mariko Mitsuda