脳・心臓疾患の労災認定基準が昨年9月に改正されました。それに伴って、改正以前の労災についても、労災認定される事例が出てきています。
本稿では、脳・心臓疾患の労災認定の改正内容をなぞりながら、近時の労災認定事例についてご紹介いたします。

1 労災認定基準の改正

脳・心臓疾患の労災認定基準が以下の通り改正されました。

脳・心臓疾患の労災認定基準(改正)

2 労災認定の事例

前項の認定基準の変更に伴って、本年労災認定された事例には、以下のようなものがあります。いずれの事例も以前の認定基準では否定されてきた事由となっています。

労災認定された事例

3 さいごに

厚生労働省では、11月に「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を行います。そのなかで「長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督」を実施し、法違反への是正指導を行うとともに、重大・悪質な法違反の場合には、送検し公表するとしています。しかしながら、厚生労働省の取り組み以前に、不幸な事故を未然に防止するということは、事業主の安全配慮義務として当然にして取り組むべきことでしょう。

労働時間ならタイムカード等により適切な管理を行っていれば、数字として問題を把握することが可能です。しかし、心理的、身体的な負荷についての把握となると、機械的に確認することは困難です。連続勤務を含めた労働時間管理を適切に行うのはもちろんのこと、コミュニケーションを密にしながら、労働者の負荷要因を減らすべく取り組みを進めることが肝要です。

※本内容は2022年10月12日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

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