新人・若手社員の社内研修におけるOJT(職場実習)は、ほとんどの企業で行なわれているプログラムであり、新人に業務を覚えてもらい、実務的なスキルを身に付ける上で非常に有効な教育手段と言えます。
本稿では、新人・若手社員のOJTを行なう上で、企業が抱く問題点とその改善策をご紹介するとともに、企業にとって、より効果的なOJTの進め方を解説いたします。
1 OJTの主な課題
(株)日本能率協会マネジメントセンターが実施した「新人・若手社員のOJTに関するアンケート」によると、回答企業(回答者数1000名)の約9割が「OJTに課題がある」と考えていることが明らかになりました。その課題(複数回答)感は次の通りです。
■OJTにどのような課題があると感じていますか。(複数回答)
((株)日本能率協会マネジメントセンター「新人・若手社員のOJTに関するアンケート」)
この通り、主に「指導者側」に課題があることが明らかになっています。
2 有効な改善策
近年のOJT指導者は人材不足などにより若年化傾向にあり、新入社員とそれほど職歴が変わらない若手社員が担当することも増えています。こうした状況において、より効果的なOJTを行うにはどうしたら良いか、下記の視点に着目してみましょう。
①社内組織の連携強化
「新人・若手社員」「OJT担当者」「上司・会社」の連携を強化する。面談などでコミュニケーションを図り、定期的な状況把握やフォローを行うなど、職場全体でサポートできる環境を構築する。
②OJT教育のマニュアル化と指導者研修
OJT担当者の指導スキルのばらつきなどを出さないために、OJT実施マニュアルなどを作成し、それを元に「教える技術」の研修(勉強会)を行い、指導者としてのレベルアップを図る。
③OJTの目的設定
研修プログラム(育成計画)の設計のみならず、指導を行う上での指針を明確化し、最終ゴール(目的)の設定にとどまらず、中間ゴールを設定して、どんなステップで必要な成果をあげ、スキルを身に付けるか、都度分解し検証していく。
④マインドセットの把握と指導
「マインドセット」とは、考え方や物事の見方の「癖」のようなものを意味します。新人・若手社員のマインドセットを把握し、企業のマインドセット(企業理念や組織文化、行動規範、経営戦略などの社風)を意識させながら、同じ目的・方向に向けて行動できるようにOJT指導を行っていく。
3 さいごに
OJTの効果を高める上では、企業組織として、社内間の連携強化、OJTのマニュアル化、指導者研修、育成計画作成などの事前の準備が重要となります。OJT品質の底上げを図るため、前述の改善策も参考としながら検討してみては如何でしょうか。
※本内容は2022年11月11日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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