書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:経営幹部や管理職の方はもちろん、若手社員の方でも「経営的視点で見るように」と社長や上司から求められた経験があるのではないでしょうか。その場でうなずきはするものの、「経営的視点とは何か?」「それは社長以外の社員に必要なのか?」「会社員として働く上で、人生において価値があるのか?」「そもそもどのように身に付けていけばいいのか?」といった疑問があるのではないでしょうか
  • 解決策:課題で挙げたさまざまな質問に対して、『“経営的視点”の身に付け方』というテーマで、全国で多くの講演を行っている筆者が明快に回答します。“経営的視点”はこれからの時代において新入社員から求められる視点であって、より早く身に付けることができれば、その分、仕事においても人生においてもプラスであることが分かるはずです

1 全社員が持てる“経営的視点”の観点の2つ目は、会社の【組織力】

シリーズ『武田斉紀の「誰もが身に付けておきたい“経営的視点”」』の第6回です。

私からご提案する誰もが持てる、全社員が持てる“経営的視点”の観点は次の3つです。
1)会社の【成長】
2)会社の【組織力】
3)会社の【存在意義】

前回は1)会社の【成長】についてお話ししました。

■毎年給料を上げたいのであれば、全員が、自分が1年後にいるべきピラミッドの高い位置から常に物事を見て、仕事を進めていかなければならない

給料は1年たったからといって当たり前には上げられるものではなくて、一人ひとりが1年で1年分以上成長して、ようやく上げられる。だからこそ全員が、自分が1年後にいるべきピラミッドの高い位置から常に物事を見て、仕事を進めていかなければならない、ということでした。

今回は “経営的視点”の身に付け方の2つ目「会社の【組織力】」について、“組織はつながってこそ強くなる” というお話をします。

2 会社組織に最も多く見られる、ピラミッド型の階層組織

前回も触れましたが、大抵の会社組織はピラミッド型の山のようにできています。

頂上に社長がいて、山頂付近に取締役や部長がいて、中腹に課長がいて、裾野にそれ以外の一般社員がいて、お客様や現場の第一線と対峙するという階層構造です。

各社で役職の呼び方や階層数などはさまざまでしょうが、ここでは分かりやすくするために「社長」「役員・部長」「課長」「一般社員」の4階層のピラミッド型をイメージして話を進めていきます。

もちろん組織構造はピラミッド型以外にも存在します。

少人数の場合は、リーダー1人で後はメンバーというパターン、全員が交代でリーダーをやるパターンなども存在します。スペシャリストの集団である宇宙飛行士のクルーは後者の形と聞きます。万が一の事態で1人のリーダーが不在となっても、機能し続けないといけないからです。

多人数でも最近は、トップマネジメント以外は階層のない鍋蓋のようなフラット構造の組織や、個人が完全に独立して相互につながるネットワーク型組織なども存在します。

ピラミッド型組織のくくり方は、機能別(企画、開発、製造などの部門単位)、製品や顧客で分けた事業部別、地域で分けた地域別、それらの組み合わせが存在します。ちなみにマトリックス組織といわれるものは、例えば機能別組織の弱点を補うために、横軸に製品別機能も持たせる考え方です。

ピラミッド型組織は会社組織に限りません。

太古から人間はコミュニティーの人数が増えてくると、やがてピラミッド型組織を形成してきました。村の長(おさ)が頂点にいて、村に必要な機能ごとにまとめ役のリーダーを置き、その下にメンバーが連なる。地域が広い場合は地域ごとのリーダーを置いて、地域の人たちはそこに所属する。

では一体、我々は何のためにピラミッド型組織を形成してきたのでしょうか。

大きな理由の1つは外敵からの防御でしょう。資源が限られていれば奪い合いの争いが起こります。自分たちの命と生活を守るためには外敵からの攻撃に耐え、時には戦わなければなりません。

1対1では人間の力に限界がある。役割を分けて“組織”を形成し、組織が一体となって戦えば、人数以上の力を発揮できると知っていたのです。

3 組織は一人ひとりが有機的につながってこそ強くなる

組織的なチームスポーツといわれるサッカー、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなどに共通するのは、チームにものすごくうまい選手が1人いても、必ずしも勝てないという点です。

例えばサッカーは1チーム11人で点を取り合う競技ですが、チームに点取り屋のストライカーであるプロ選手が1人加わったらどうでしょう。オフサイドにならないようにゴール近くで待機していたとしても、チームメートがまず相手チームからボールを奪った上で、前まで運んでくれなければ、いつまでたっても点を取れません。

ならばと自ら相手チームからボールを奪って、1人で相手ゴールに向かおうとドリブルを始めても、たどり着くまでに何度も相手チームに囲まれて、さすがにプロでもボールを失ってしまいます。

バレーボールでいえば、プロのアタッカーが1人いても、相手のサーブを受けるレシーバーや、それをアタッカーの打ちやすい所にトスできる人がいなければ、いつまでたっても点を取れません。アタッカーでなくプロのレシーバーが1人だけいても同じです。

大事なのは、1人の秀でた人がいるよりも、組織の一人ひとりが自分の役割分担をしっかりとこなせて、前の人と後ろの人と連携できることなのです。

連携といっても単純ではありません。ボールを出す相手の経験や特徴を知って受け方を考えたり、次に渡す相手は誰で、やはり特徴や右利きか左利きかで渡す場所を変えたり、敵と味方の陣形の変化を見ながら一瞬で判断して渡すタイミングを変えたり。

相手と自分の状況を瞬時に察知してケース・バイ・ケースで一人ひとりが判断し、対応を変えていく…それこそが“有機的につながっている”状態です。

日本で人気の野球を挙げませんでしたが、野球はプロのピッチャーとその球を受けられるキャッチャーがいれば、必ず勝てる場合があります。また、プロのバッターが1人いれば、ホームランを重ねて勝てる場合もあるでしょう。見ていて面白いかどうかは別ですが。

しかしながら野球においても、実際はカテゴリーごとに拮抗しているチーム同士の戦いが多いわけです。攻撃側は走者がいればバッターとの連係も必要ですし、守備側は打たれ方を予想し、失点につなげない連係したプレーが重要です。

そして最後は、組織力のあるチームが勝つのです。

4 ピラミッド型組織におけるつながり、連携とは?

組織的なチームスポーツを例に、「組織は一人ひとりが有機的につながってこそ強くなる」わけをお話ししてきました。

会社におけるピラミッド型組織は多くの場合、チームスポーツよりも人数も多く、役割も複雑ですが、連携のあるなしで総体としての力が違ってくる点では共通しています。

チームメートがフラットな関係のチームスポーツに対して、会社のピラミッド型組織ではどのようにつながり、連携すれば強くなれるのか。次回、詳しくご説明したいと思います。

第6回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回も引き続き、「2)会社の【組織力】」について後半のお話をします。

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以上(2022年12月)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
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画像:NicoElNino-shutterstock

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