先日、取引先企業を訪問した際、言葉遣いや所作がとても丁寧な受付の方(女性)がいました。本当に丁寧に応対してくれたので、なんとなく気持ちがよくなりました。そのときは、その後の商談がうまく運ぶような気さえしました。また昨日、急ぎの要件で電話をかけたとき、相手の女性の受け答えが、とても丁寧でした。そのせいか、私の気のあせりは少し和らぎました。丁寧に応対されると、とても心が落ち着くだけでなく、嬉しくなるものです。
高級ホテルや高級レストランでは、皆さんはとても丁寧な接客を受けると思います。もちろん、彼らは接客のプロフェッショナルですので、言葉遣いや所作が丁寧なのは当然のことといえます。こうしたことが分かっていても、丁寧に応対してもらうと、悪い気はしません。
ここで逆のことを考えてみましょう。仮に、高級ホテルで、雑な応対をされたらどうでしょう。嫌な気持ちになるに違いありません。程度によっては、そのホテルを利用するのをやめようとさえ思うでしょう。
日常のビジネスシーンでも、同じようなことが起きているかもしれません。ここで、皆さんと取引先様との電話応対を思い出してください、常日ごろ、すべての取引先様に丁寧に応対していますか。
ポイントは「すべての取引先様」です。一口に取引先様といっても、大口のお客様、小口のお客様、これからお客様になってくれるかもしれない見込み客、仕入先様などさまざまです。皆さんの中に、大口のお客様にはとても丁寧に接している一方で、小口のお客様には丁寧さに欠ける応対をしている人はいませんか。仕入先様に対しては、「うちが商品を買ってやっている」という態度や物言いになっていませんか。
ビジネスシーンにおける応対の基本は、お客様の大小や、お客様か仕入先様かで、変わっていては混乱します。なぜなら、小口のお客様は大口のお客様になるかもしれないからです。それに、仕入先様がお客様になるかもしれません。もう少し分かりやすく説明しましょう。小口のお客様が大口のお客様になった場合、相手に有利に契約条件などを変更するのは、ビジネスとしてよくあることです。逆に、大口のお客様が小口になることも少なくありません。取引の大きさに応じて、取引条件が変更するのはビジネス上、問題はありません。しかし、相手の立場や取引額によって、応対を変えるようでは、皆さんだけでなく、会社の信用にもかかわります。
今後、皆さんはどのような立場の相手の方でも、社外はもちろん社内でも、上司と部下の関係であっても、丁寧に接してください。丁寧過ぎるぐらいでかまいません。丁寧な応対は間違いなく、好感を生みます。仮に、厳しい交渉でも、丁寧な言葉遣いで行うと、相手は感情的になりません。部下を厳しい言葉で叱責する際も、丁寧な口調でいうと、部下は納得します。
丁寧さは言葉遣いと口調、そして所作に表れます。皆さんの敬語が多少間違っていても、ゆっくりと優しい口調であれば、丁寧さは伝わります。
そして、肝心なことですが、丁寧さにも基準があります。分かりますか。よく、「相手に不快感を与えないようにすればいい」という方がいますが、これはマナーの問題であって、丁寧さの基準ではありません。
私が考える丁寧さの基準を皆さんに教えましょう。その基準は「相手よりも」です。相手を上回る丁寧さで応対すれば、相手は好感を抱いてくれるでしょう。今日から、相手よりも丁寧に応対してください。
以上(2023年3月)
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画像:Mariko Mitsuda