QUESTION
課長以上は残業代なしでいいですか。
ANSWER
経営者との一体性がない限り、管理職にも、時間外手当を支払わなければなりません。
解説
労働基準法第41条では、監督もしくは管理の地位にある者は、労働時間、休憩、休日の規定は適用除外とされています。この管理者に該当すれば、時間外手当を支給する必要はありません(なお、深夜業の規定は適用除外とされていないため、深夜の時間帯(午後10時から午前5時)に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければなりません。)。
ただし、「名ばかり管理職」で注目を浴びた日本マクドナルドの判例などを見ると、
- 経営に関する決定へ参画している
- 労務管理に対する指揮監督権限が認められている
- 自己の出退勤等労働時間について一般従業員のような規制を受けない
- 賃金が厚遇されている
といった、勤務実態に即して判断すべきものとされています。
管理監督者と認められる事例は非常に少ないのが、現実です。
行政解釈では、労働者が管理監督者に該当するかどうかは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとしています。
具体的には ①残業代を換算した場合に下の役職の者と賃金の逆転が発生しない ②全従業員の1割程度以下、であれば管理監督者として捉えられる可能性が高いと考えられます。
なお、2019年4月1日労働安全衛生法の改正により今まで残業代の支払いが必要な労働者に求められた労働時間の客観的な把握の範囲が、管理監督者や裁量労働制の適用を受ける労働者といった残業代の支払いのない労働者にまで拡大され、すべての労働者が対象となりました。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.92010
画像:Mariko Mitsuda