QUESTION
固定給と歩合給の併給のタクシー運転手の場合、最低賃金制度の時間当たり賃金算出には歩合給を含めますか。
ANSWER
歩合給を含めます。
解説
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、都道府県が賃金の最低限度を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
タクシー運転手の賃金制度が、固定給と歩合給とが併給される場合であっても、オール歩合給の場合であっても、給与額を1時間当たりに換算した金額が、都道府県ごとに定められた最低賃金額未満となった場合、最低賃金法違反となります。
タクシー運転手で、固定給と歩合給が併給される場合、ある月の賃金を
- 固定給(ただし、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当を除く。)85,000円
- 歩合給35,000円
として、所定労働時間を170時間、時間外労働時間を30時間、深夜労働時間を15時間と仮定します。
すると、総支給額は142,594円になります。内訳は、
- 固定給に対する時間外割増賃金は、
85,000円÷170時間×1.25×30時間=18,750円 - 固定給に対する深夜割増賃金は、
85,000円÷170時間×0.25×15時間=1,875円 - 歩合給に対する時間外割増賃金は、
35,000円÷200時間×0.25×30時間=1,313円 - 歩合給に対する深夜割増賃金は、
35,000円÷200時間×0.25×15時間=656円
となります。これらを合算して、固定給・歩合給に加えると総支給額になります。
固定給と歩合給が併給されている場合は、それぞれ時間当たりの賃金額を算出し、これらを合算したものが時間当たりの賃金額となります。
- 固定給部分について、85,000円÷170時間=500円
- 歩合給部分について、35,000円÷200時間=175円
固定給と歩合給の合算額は675円となります。
この時間当たりの賃金額675円をその地域の最低賃金と比較することになります。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.92120
画像:Mariko Mitsuda