皆さんが担当している仕事は順調に進んでいますか。中には、仕事が順調に進んでいない人もいるでしょう。そうした人は、単に効率的な方法を知らないだけかもしれません。上司や先輩、あるいは同僚から「こうした方がいいよ」とヒントをもらい、これを実践することで、飛躍的に良い仕事ができるようになることがあるものです。
今日は皆さんに、「教学相長(きょうがくあいちょう)ず」という言葉についてお話しします。これは中国の四書五経の一つである「礼記(らいき)」にある言葉で、「お互いに教えあい、学びあって共に成長してゆく」という意味です。
教学相長ずの一節は「学びて然(しか)る後に足らざるを知り、教えて然(しか)る後に困(くる)しむを知る。足らざるを知りて、然(しか)る後によく自ら反(かえ)りみるなり。困(くる)しむを知りて、然(しか)る後によく自ら強むる也。故にいわく、教学相長ずるなり」とあります。
この言葉をもう少し分かりやすく解説すると、「学ぶことにより自分の知識の少なさに気づき、人に教えることにより物事の難しさに気づかされる。自分の知識の少なさを知ることにより、自分自身を省みることができる。人に教えることの難しさを知ることにより、自ら勉強することができる。であるから、教えることと学ぶことは互いに作用しあう」ということです。
人に教えるためには、まず自分が学ばなければなりません。自分の知っていることを分かりやすく人に教えるためには、教えること以上に多くのことを知っておかなければなりません。
また、人から物事を教えてもらうことによって、さらに学ばなければならないという意識を持つでしょう。人から教えてもらったことを学ぶ過程において、新たなことを発見するかもしれません。そして、その新たな発見は、もしかしたら教えてくれた人が知らないことかもしれません。学んだ側が今度は教える側となり、新たに発見したことを教えるのです。お互いに教えあうことによって、相手も自分も学習を重ね、結果として双方が新たな知識や思考を身につけることができるのです。
「教(きょう)」つまり教えることと、「学(がく)」つまり学ぶことには相乗効果があります。お互いに教えあい、学びあうことによってさらなる成長を図りたいものです。
この考えは、ビジネスだけでなく、人生においても役立ちます。上司、同僚、部下、友人・知人、親兄弟に聞きたいことがあれば、臆することなく聞いてみましょう。思いがけず良いことを学ぶことができるかもしれません。また、同様に、皆さんが周りの人に良いことを教えることができるでしょう。このように「教学相長ず」は、人間関係をより深めることにもつながるのです。
以上(2023年6月)
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画像:Mariko Mitsuda