「最近、太ってきたので、ウオーキングをはじめようと思っています。ただし、運動は大の苦手。三日坊主にならないか不安です。せっかくはじめるのだから、長く続けたいのですが…」
どこにでもあるような話ですが、もし、これが皆さん自身のことだったら、どのようにウオーキングを続ける工夫をするでしょうか。
例えば、「コースやスケジュールなど、事前にしっかりとした計画を立てる」とか、「『目指せ!体重マイナス5キログラム』など明確な目標を立てる」という人もいるでしょう。また、中には、「1カ月続けることができたら、『自分へのご褒美』として欲しい物を買う」というやり方でモチベーションを高める方法を考える人もいるかもしれません。このほかにもいろいろな方法がありますが、意外と見落とされがちなのが「形から入る」ということです。ウオーキングであれば、まずはスポーツウエアとウオーキングシューズなど、ひと通りの道具を買いそろえることからはじめてみるのです。
「『形』なんて、うわべだけのことじゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、「形から入る」ということは意外と効果があるものです。ウオーキングの例でいえば、道具を新調するだけで「これからウオーキングをはじめるんだ」と、気持ちが盛り上がってくるものです。また、「せっかく買ったウエアとシューズを使いたいから、ウオーキングを続けよう」という思いが湧いてくるかもしれません。
些細なきっかけですが、こうして少しずつ続けていくうちに、やがて、自分なりのウオーキングの楽しみを発見したり、次第にウオーキングが生活の一部として習慣化したりしてウオーキングを続けることができるようになるものです。
これは仕事でも同じです。例えば、企画書を作成するときです。「取り掛かる前に、まずはアイデアを整理しよう」「よいアイデアが浮かんでから企画書を作ろう」などと考えているうちに、時間だけが過ぎてしまったという経験は誰にもあると思います。
そんなときは、とにかくパソコンのスイッチを入れて、最初に「企画書」という文字を打ってみるのです。そして、今の時点で思い付いたことを何でもいいから書き出してみましょう。いわば、企画書を作成するために「形から入る」のです。
最初はまとまりがなくても、とにかく体裁を整えていくうちに、ふっと湧いたアイデアが次のアイデアを呼び起こしたり、それまではバラバラだった考え方が少しずつ整理されてきて、次第に「企画書」として形になっていくものです。
仕事でも、私生活でも、苦手なことや何となく気が進まないことに取り組むときには、「形から入る」ということを試してみてください。時としてそれがきっかけとなって、物事が順調に進むこともあると思います。
以上(2023年6月)
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画像:Mariko Mitsuda