書いてあること
- 主な読者:会社のお金を使う上での基本的なルールを確認したい新入社員
- 課題:もともとお金にルーズだし、経費精算なども面倒なので自腹でもいいと思っている
- 解決策:「会社のお金」と「自分のお金」を明確に区別して、どちらからも逆流させない
あぁ~、やっちゃった……。仕事の調べ物で本を買ったときの領収書をなくしてしまった。どうしようかな。先輩に謝って手続きを聞くのは面倒だな。「大した金額じゃないのに、騒いだりしてケチな奴だ」って思われるのも嫌だし……。よし、今回は自腹でいいや。給料日も近いし問題ないでしょ。間接的に会社の利益に貢献したことにもなるしね!……なるよね?
1 大切なのは「お金に色を付ける」こと
社会人になると、仕事のために会社のお金を使うようになりますが、大切なのは、
自分のお金と会社のお金を明確に分けること
です。「お金に色はない」といわれますが、皆さんは「会社のお金」と「自分のお金」に色を付けて、明確に区別しなければなりません。会社のお金を自分のために使うことも、自分のお金を会社のために使うこともダメなのです。
また、会社のお金は金庫の中の現金だけではなく、移動のための交通費、仕事のために買った書籍代などの経費もそうです。経費は「会社のお金」と「自分のお金」が曖昧になりがちなので、一定のルールを守って使わなければいけません。ルールについては、規程としてまとまっているものもあれば、暗黙のルールになっているものもあるので、分からないことは、必ず先輩に確認しましょう。
2 お金を管理するために大切な5つの項目
お金に関するルールは会社によって違うことがあります。ただ、お金をもらうときも、払うときも、次の5つの項目が大切であることを覚えておいてください。
- 領収書の宛名(自社の名称)
- 支払先の名称
- 支払った日
- 支払った目的(購入した商品やサービスなど)
- 支払った金額
会社のお金で買い物や食事をするとき、「必ず領収書をもらってきてね」と先輩に言われるはずです。これは、領収書に5つの項目が書かれているからです。そして、会社は「誰に、いつ、何のために、いくら支払ったか」という記録と、実際のお金の動きを照合して、正しくお金が使われているかを管理しています。
逆に、こうした点が不明瞭だと会社は簡単にお金を支払えません。とはいえ、自分のお金で立て替えた領収書をなくしてしまったときも、勝手に自分で負担してはいけません。仕事で使うお金を社員が負担するというのは、会社としてとても不健全だからです。
領収書をなくした場合の正しい対処法は、領収書を再発行してもらうか、「事情報告書」(領収書を紛失した状況などを説明する書面)などの書面で状況を説明すること
です。手間はかかりますが、社会人の義務、社員の義務と心得ましょう。
3 「1円」だってズレてはいけない!
電子マネーのチャージ残高が思ったより多いぞ。やった~!
普段なら、こんな感じでしょうが、会社のお金の場合はそうはいきません。1円単位でビシッと合っていなければなりません。例えば、記録上は10万円あるはずなのに、現金が9万9999円しかなかったら、「ま、1円だからいいか」とはならず、過去の入出金記録を再確認したり、社内に1円硬貨が落ちていないか探し回ったりします。
絶対にやってはいけないのが、「1円だから」と自分の財布からお金を出すこと
です。会社のお金と自分のお金を区別するということは、自分のお金を会社のために使ってはいけないということでもあるのです。金額に関係なく、仕事に必要なお金を社員が負担することは不健全ですし、社長もそんなことを望んでいません。
4 日にちや期間が重要
会社は、お金の動きを「1日」「1週間」「1カ月」「1年」といった期間で管理します。中でも重要なのが「1年」です。なぜなら、会社は1年間の業績を基に株主への説明資料を作ったり、税金の申告をしたりするからです。これを「決算」といいます。
多くの会社は4月1日~翌年3月31日を会計期間としているのですが、この場合、3月31日と4月1日には大きな違いがあります。何かの買い物をした場合、それが3月31日なら当期の費用になりますし、4月1日なら翌期の費用となります。これはつまり、当期か翌期かの利益に影響を及ぼすことになるわけです。この辺りのことを考えて、社長たちはいつ買い物をするかを決めています。
新入社員の皆さんが、こうした話を意識するのはまだ先のことだとしても、身近な問題として意識する「期間」は「経費精算の1カ月」です。多くの会社は月単位で業績を管理しているので、4月に支払った経費は4月のうちに精算するのが基本となるのです。面倒に感じることもあるかもしれませんが、経費はこまめに精算しましょう。
5 早くお金をもらえば会社のためになる?
お金をもらったり、逆に支払ったりするときは「何月何日」を意識しましょう。これが会社の経営を楽にする「資金繰り」につながります。
例えば、お金を払うのは20日、お金をもらうのは30日だったとします。この場合、お金をもらうまでの10日間、会社のお金は減ってしまい資金繰りが悪化します。商品も仕入れられなくなるなど、ビジネスが停滞してしまうこともあり得ます。ですから、少し自分勝手に思えるかもしれませんが、
もらうのは早く、支払うのは遅く
というのが基本になるのです。
ただ、実際は皆さんがお金を払うタイミングをその都度、決めることはないでしょう。会社には「月末締めの翌月20日払い」といったようなルールがあるので、それを守ってください。
以上(2024年12月更新)
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画像:Mariko Mitsuda