1 情報はチームの血液のようなもの

会社では、あらゆる場面でチーム活動が行われています。上司として部下と一緒にクライアントへ提案する、これも立派なチーム活動です。でも、「提案の目的は何か」「クライアントは何を求めているのか」といった情報がメンバー間で共有されていなかったら、どうなるでしょう? チームワークは乱れ、良い結果にはつながりません。

情報はチームの血液のようなもので、スムーズに流れていなければチームは機能しない

のです。テレワークが広まり、チャットでのコミュニケーションが当たり前になった今、チーム内の情報共有は、これまで以上に重要な課題になりました。

皆さんはチームのリーダーの立場ですが、もし、「チームがうまくいっていない」と感じていたら、この記事を読んでみてください。チーム内において情報共有する上で大切なポイントを紹介していきます。

2 チーミングは最初が肝心!

1)リーダーズインテグレーションとは?

チームが立ち上がったら、リーダーが最初に行うべきこと、それが「リーダーズインテグレーション」です。簡単に言えば、

チームが形成された直後に行う“情報共有のためのキックオフミーティング”

のことです。「なんだ、キックオフか。それならいつもやっているよ」と思うかもしれませんが、ここで大切なのは、単なる顔合わせや目標発表ではなく、情報格差を埋めることです。

組織心理学者のブルース・タックマンが提唱した「タックマンモデル」によると、チームは次のような段階を経て成長します。

タックマンモデル

チームは「形成」してもすぐには「機能」せず、「混乱」と「統一」のフェーズを通ります。この混乱は、多くの場合情報格差から生まれます。チーム立ち上げ当初は、まだ情報の伝達ルールが整っていません。そのため、

「え、他のメンバーは知ってたの? 私だけ聞いてない……」

「なんで自分にだけ情報が来ないんだろう」

といった不公平感や疑心暗鬼が生まれやすいのです。だからこそ、リーダーとメンバーが最低限の情報を共有するために、リーダーズインテグレーションが必要になります。最初にしっかり情報を揃えておけば、混乱を最小限に抑えられるのです。

2)リーダーズインテグレーションの際の注意点

リーダーズインテグレーションで大切なことは、

メンバーが「知っているはず」だという先入観を持たないこと

です。素直に自分が知りたいことと、メンバーに知ってほしい情報を共有しましょう。

例えば、「自分はせっかちな性格である」「完璧主義なところがあり、細かいことが気になってしまう」などと伝えます。また、メンバーには、

  • チームについて知っていること、聞きたいこと
  • リーダーについて知っていること、聞きたいこと

を挙げてもらい、リーダーはそれに丁寧に答えます。「こんなことも聞いて大丈夫なんだ」と感じられれば、メンバーは安心して意見を言えるようになります。よく「心理的安全性」という言葉で表現されますが、これがチームがうまく機能するための土台になります。

3)リーダーのコミットメント

リーダーズインテグレーションでは、

自身がどんなリーダーでいるかをメンバーに約束(コミットメント)すること

も大切です。これにより、「この人がリーダーなんだ」という認識が共有され、基本的なルールが明確になります。コミットメントの例は次の通りです。

  • 快適なチーム活動を約束する
  • 常にリーダーとしての威厳を持って活動することを約束する
  • メンバーの業務状況、家庭生活に配慮することを約束する
  • 時間厳守を約束する(無駄に活動を長引かせない)
  • 定期的に活動の進捗を伝えることを約束する
  • 中立な立場で指揮を執ることを約束する
  • 独断しないことを約束する
  • チーム活動を周囲の雑音から守ることを約束する
  • チーム活動の責任はリーダーである自分が負うことを約束する
  • 正当な権利は、リーダーである自分が上司と交渉することを約束する

こうした約束を明確にすることで、メンバーは安心してリーダーに着いて来られるようになります。

4)リーダーの心構え「サーバント・リーダーシップ」

もう1つ、リーダーが押さえておきたいのが「サーバント・リーダーシップ」です。これは、

リーダーは「指示する人」ではなく、「チームに奉仕する人」であるという考え方です。

サーバント・リーダーシップにおけるリーダーの役割は、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、障害を取り除き、サポートすることです。

前述したコミットメントも、まさにサーバント・リーダーシップの実践例。「自分がチームのために何ができるか」を明確にすることが、今のリーダーには求められています。

3 「ジョハリの窓」を意識した情報共有

チームが動き始めてからの情報共有については、「ジョハリの窓」というフレームワークが役立ちます。これは、心理学者のジョセフ・ルフトとハリー・インガムが考案したもので、両者の名前に由来して「ジョハリの窓」と呼ばれています。コミュニケーションにおける「気付き」のモデルとして有名ですが、チームの情報共有にも応用できます。

ジョハリの窓では、情報を4つに分類します。

ジョハリの窓

良いチームをつくるには、

「開放の窓」をできるだけ広げることが重要

です。つまり、メンバー全員が同じ情報を持っている状態を増やしていくということです。互いのことは活動を続けるうちに分かってきますが、コミュニケーションをサボると「開放の窓」は広がりません。「開放の窓」を広げるには、

  • 「隠された窓」を小さくすること
  • 「盲目の窓」(問題点)を小さくすること

が必要です。

「隠された窓」を小さくするには、リーダーが、チームに関する情報を積極的に共有します。「これは言わなくてもいいかな」と思うことでも、チームに関係することなら、どんどん開示するようにしましょう。例えば、プロジェクトの背景や経緯、上層部の意向や期待、予算やリソースの制約、今後のスケジュール感、リスクや懸念事項などがそうです。透明性を高めることで、メンバーの信頼を得られます。

「盲目の窓」を小さくするとは、メンバーからの質問や指摘を受けて、自分(やチーム)の問題点に気づくということです。「最近、報告が遅いと感じることはありますか?」「私のマネジメントで改善してほしい点はありますか?」など、質問を投げかけることで、自分では気づかなかった課題が見えてきます。大切なのは、指摘されても防御的にならないこと。「教えてくれてありがとう」という姿勢で受け止めましょう。

以上(2026年2月更新)

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画像:pixabay

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