書いてあること

  • 主な読者:法改正に対応した「育児休業等に関する規程」のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に規程のどの部分を見直せばいいか分からない
  • 解決策:男性社員のための「出生時育児休業」の新設など、5つの改正点を押さえる

1 「出生時育児休業」の新設などを規程に盛り込む

2022年10月1日施行の改正育児・介護休業法により、「出生時育児休業」の新設、「育児休業」の分割取得など、育児に関する支援制度が大きく変わります。すでに2022年4月1日に施行された内容も含めて押さえておきましょう。

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育児・介護休業法では、この他にも子の看護休暇、所定労働時間の短縮、時間外労働の制限など、子どもを養育する社員のための支援制度が多岐にわたるため、育児休業等に関する規程によって整理することが欠かせません。この記事では、図表の改正内容を踏まえた「育児休業等に関する規程」のひな型を紹介します。

2 育児休業等に関する規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【育児休業等に関する規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、従業員の育児休業または出生時育児休業(以下「育児休業等」)、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務などに関する取り扱いについて定めるものである。本規程に定めのない事項は、育児・介護休業法その他の関係法令(以下「法令」)による。

第2条(育児休業の対象者など)
1)1歳に満たない子と同居し、養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子の育児のための休業を希望する場合、本規程で定めるところにより育児休業を取得することができる。期間を定めて雇用される従業員(以下「期間契約従業員」)にあっては、申出時点において、次に該当する場合に限り育児休業を取得することができる。

子が1歳6カ月(第5項の申し出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

2)第1項、第3項、第4項、第5項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)で定めた次の従業員の育児休業は認めない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 申出日から1年以内(第4項、第5項の申し出にあっては6カ月以内)に雇用関係が終了することが明らかな従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)同一の子について、配偶者が従業員と同じ日からまたは従業員より先に育児休業もしくは出生時育児休業を開始している場合、従業員は子が1歳2カ月に達するまでの間、1年を限度として、育児休業を取得することができる。従業員が出生日以後の産前・産後休業を取得した場合は、その期間と育児休業期間および出生時育児休業期間を合わせて1年を限度とする。
4)次の全てに該当する従業員は、子が1歳6カ月に達するまでの間で必要な日数の育児休業を取得することができる。なお、取得開始日は原則として子の1歳到達日の翌日(前項に基づく育児休業の場合は、当該休業終了予定日の翌日)とするが、従業員の配偶者が子の1歳6カ月に達するまでの間に育児休業を取得する場合については、当該育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができるものとする。

  • 従業員または配偶者が原則として子が1歳に達する日(子の1歳の誕生日の前日をいう)に育児休業を取得していること。
  • 次のいずれかの事情があること。
    a.保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合。
    b.従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合。
  • 当該子の1歳到達日後の期間において、本項における育児休業をしたことがないこと。

5)次の全てに該当する従業員は、子が2歳に達するまでの間で必要な日数の育児休業を取得することができる。なお、取得開始日は原則として子の1歳6カ月到達日の翌日とするが、従業員の配偶者が子の2歳に達するまでの間に育児休業を取得する場合については、当該育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができるものとする。

  • 従業員または配偶者が原則として子が1歳6カ月に達する日(子の1歳の誕生日の6カ月後における応当日の前日をいう)に育児休業を取得していること。
  • 次のいずれかの事情があること。
    a.保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合。
    b.従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳6カ月以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合。
  • 当該子の1歳6カ月到達日後の期間において、本項における育児休業をしたことがないこと。

6)育児休業(第4項および第5項に基づく育児休業を除く)は、養育する子が1歳に達する日までの期間内に、2回まで分割して取得することができる。
7)育児休業の期間については、基本給および諸手当、その他の月ごとに支払われる賃金は支給しない。
8)賞与の算定対象期間に育児休業をした期間が含まれる場合には、当該期間を算定対象期間から除いて計算する。
9)育児休業の期間中の定期昇給は行わないものとし、復職後の昇給において休業前の勤務実績を加味し調整する。
10)退職金の算定に当たっては、育児休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算する。

第3条(出生時育児休業の対象者など)
1)産後休業をしておらず、出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内の子と同居し、養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子の育児のための休業を希望する場合、本規程で定めるところにより出生時育児休業を取得することができる。期間契約従業員にあっては、申出時点において、次に該当する場合に限り出生時育児休業を取得することができる。

子の出産日から起算して8週間を経過する日の翌日(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日)から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

2)第1項、第3項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)で定めた次の従業員の出生時育児休業は認めない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 申出日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)従業員は子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日まで、出産予定日後に当該子が出生した場合は当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで)の間、28日を限度として、出生時育児休業を取得することができる。
4)出生時育児休業は、2回まで分割して取得することができる。
5)第2条第7項から第10項の規定は、出生時育児休業の場合について準用する。

第4条(育児休業等の申し出の手続きなど)
1)育児休業等の取得を希望する従業員は、育児休業等を開始しようとする日(以下「育児休業等開始予定日」)の1カ月前(第2条第4項および第5項に基づく育児休業または出生時育児休業の場合は2週間前)までに、「社内様式1 育児休業等申出書」を総務部に提出しなければならない。なお、期間契約従業員が育児休業等の取得中に労働契約を更新することになり、引き続き育児休業等の取得を希望する場合は、更新された労働契約期間の初日を育児休業等開始予定日として、「社内様式1 育児休業等申出書」を総務部に提出するものとする。
2)育児休業の申し出は、次のいずれかに該当する場合を除き、一子につき1回限り(第2条第1項に基づく育児休業を分割取得する場合は2回まで)とする。

  • 第2条第1項に基づく育児休業を取得した従業員が第2条第4項および第5項に基づく育児休業の申し出をしようとする場合、または本条第1項後段の申し出をしようとする場合。
  • 第2条第4項に基づく育児休業を取得した従業員が第2条第5項に基づく育児休業の申し出をしようとする場合、または本条第1項後段の申し出をしようとする場合。
  • 配偶者の死亡など法令で定める特別の事情がある場合。

3)出生時育児休業に関する申し出は一子につき2回まで分割できる。ただし、2回に分割する場合は2回分まとめて申し出ることとし、まとめて申し出なかった場合は後の申し出を拒むことがある。なお、出生時育児休業を取得した場合であっても要件に該当すれば育児休業を別途取得することができるものとする。
4)会社は、「社内様式1 育児休業等申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)「社内様式1 育児休業等申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員(以下「育児休業等の申出者」)に対し、「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を交付する。
6)申出日の後に、申し出に関わる子が出生したときは、育児休業等の申出者は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。

第5条(育児休業等の申し出の撤回など)
1)育児休業等の申出者は、育児休業等開始予定日の前日までに「社内様式4 育児休業等撤回届」を総務部に提出し、育児休業等の申し出を撤回することができる。
2)「社内様式4 育児休業等撤回届」が提出されたときは、会社は速やかに当該届を提出した従業員に「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を再度交付する。
3)育児休業等の申し出を撤回した従業員は、当該子に対する育児休業等を取得したものとみなす。ただし、第2条1項に基づく育児休業の申し出を撤回した場合については、第2条第4項および第5項に基づく育児休業の申し出をすることができる。また、第2条第4項に基づく育児休業の申し出を撤回した場合についても、第2条第5項に基づく育児休業の申し出をすることができる。
4)第2条第4項および第5項に定める育児休業の延長の申し出を撤回した従業員は、法令で定める特別な事情がない限り、再度申し出をすることができない。
5)育児休業等開始予定日の前日までに、子の死亡などにより育児休業等の申出者が申し出に関わる子を養育しないこととなった場合、育児休業等の申し出はされなかったものとみなす。この場合において、育児休業等の申出者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第6条(育児休業等の期間など)
1)育児休業等の期間は、原則として、「社内様式1 育児休業等申出書」に記載された期間とする。
2)前項にかかわらず、会社は、法令の定めるところにより育児休業等開始予定日の指定を行うことができる。
3)従業員は、育児休業等開始予定日の1週間前までに「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」を総務部に提出し、育児休業等開始予定日を繰り上げることができる。また、育児休業等を終了しようとする日(以下「育児休業等終了予定日」)の1カ月前(第2条第4項および第5項に基づく育児休業または出生時育児休業を取得している場合は2週間前)までに「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」を総務部に提出し、育児休業等終了予定日を繰り下げることができる。育児休業等開始予定日の繰り上げ変更および育児休業等終了予定日の繰り下げ変更は、同一の子について原則として1回に限り行うことができるが、第2条第4項および第5項に基づく育児休業の場合には、第2条第1項に基づく育児休業とは別に、子が1歳から1歳6カ月に達するまでの期間内で1回、子が1歳6カ月から2歳に達するまでの期間内で1回、育児休業等終了予定日の繰り下げ変更を行うことができる。
4)「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員に「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を再度交付する。
5)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に育児休業等は終了するものとする。

  • 子の死亡など育児休業等に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 育児休業等の申出者について、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業または新たな育児休業等が始まった場合
    産前・産後休業、介護休業または新たな育児休業等の開始日の前日。
  • 育児休業(第2条第3項に基づく育児休業を除く)において、育児休業に関わる子が1歳に達した場合など
    産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業または新たな育児休業等の開始日の前日。
  • 第2条第3項に基づく育児休業において、出生日以後の産前・産後休業期間と育児休業期間(出生時育児休業期間を含む)との合計が1年に達した場合
    当該1年に達した日。
  • 出生時育児休業において、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日を経過した場合など
    8週間を経過した日の翌日(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過した日の翌日、出産予定日後に当該子が出生した場合は当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過した日の翌日)。
  • 出生時育児休業において、出生時育児休業期間が28日に達した場合
    当該28日に達した日。

6)前項各号の事由が生じた場合には、育児休業等の申出者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第7条(子の看護休暇)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の看病、予防接種または健康診断を受けさせるために、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の子の看護休暇は認めない。

  • 入社6カ月未満の従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)子の看護休暇は、1日単位または1時間単位で取得することができる。なお、1時間単位の場合、始業時刻から終業時刻の間で連続または断続して取得することができる。
4)子の看護休暇を申し出る従業員は、原則として、事前に「社内様式6 子の看護休暇申出書」を総務部に提出するものとする。
5)会社は、「社内様式6 子の看護休暇申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
6)子の看護休暇を取得した時間については賃金を支給しない。

第8条(所定外労働の制限)
1)3歳に満たない子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の所定外労働は制限しない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)所定外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間(以下「制限期間」)について、制限を開始しようとする日(以下「制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、制限期間は、第9条に定める時間外労働の制限期間と重複しないようにする。
4)会社は、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)所定外労働の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「所定外労働制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
6)制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより所定外労働制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、所定外労働制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
7)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に制限期間は終了するものとする。

  • 子の死亡など所定外労働の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 所定外労働の制限に関わる子が3歳に達した場合
    当該子が3歳に達した日。
  • 所定外労働制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

8)前項各号の事由が生じた場合には、所定外労働制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第9条(時間外労働の制限)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員、入社1年未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員を除く)が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1カ月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。
2)時間外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間(以下「時間外労働の制限期間」)について、制限を開始しようとする日(以下「時間外労働の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、時間外労働の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、時間外労働の制限期間は、第8条に定める所定外労働の制限期間と重複しないようにする。
3)会社は、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4)時間外労働の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「時間外労働の制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)時間外労働の制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより時間外労働の制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、時間外労働の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に時間外労働の制限は終了するものとする。

  • 子の死亡など時間外労働の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 時間外労働の制限に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • 時間外労働の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
  • 産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

7)前項各号の事由が生じた場合には、時間外労働の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第10条(深夜業の制限)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」)に労働させることはない。
2)前項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの深夜業の制限の請求は認めない。

  • 日々雇われる従業員。
  • 入社1年未満の従業員。
  • 深夜業の制限の請求に関わる子の16歳以上の同居の家族が、次の全てに該当する従業員。
    a.深夜において就業していない者(1カ月について深夜における就業が3日以下の者を含む)であること。
    b.負傷、疾病または障害により育児が困難でないこと。
    c.産前・産後でないこと。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。
  • 所定労働時間の全部が深夜にある従業員。

3)深夜業の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上6カ月以内の期間について、制限を開始しようとする日(以下「深夜業の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、深夜業の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式9 深夜業制限請求書」を総務部に提出するものとする。
4)会社は、「社内様式9 深夜業制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)深夜業の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式9 深夜業制限請求書」を提出した従業員(以下「深夜業の制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
6)深夜業の制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより深夜業の制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、深夜業の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
7)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に深夜業の制限は終了するものとする。

  • 子の死亡など深夜業の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 深夜業の制限に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • 深夜業の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

8)前項各号の事由が生じた場合には、深夜業の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
9)深夜業の制限を受ける従業員に対して、会社は必要に応じて昼間勤務ヘ転換させることがある。

第11条(育児短時間勤務)
1)3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、所定労働時間を午前9時30分から午後4時30分まで(休憩時間は午後0時から午後1時までの1時間)の6時間とすることができる。
2)前項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申し出を拒むことができる。

  • 日々雇われる従業員。
  • 1日の所定労働時間が6時間以下である従業員。
  • 別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員。
    a.入社1年未満の従業員。
    b.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。
    c.業務の性質または業務の実施体制に照らして、育児短時間勤務の措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員。

3)育児短時間勤務の申し出をしようとする従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、育児短時間勤務を開始しようとする日(以下「育児短時間勤務開始予定日」)および育児短時間勤務を終了しようとする日を明らかにして、原則として、育児短時間勤務開始予定日の1カ月前までに、「社内様式10 育児短時間勤務申出書」を総務部に提出しなければならない。「社内様式10 育児短時間勤務申出書」が提出されたときは、会社は速やかに育児短時間勤務の申出者に対し、「社内様式11 育児短時間勤務取扱通知書」を交付する。
4)育児短時間勤務の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式10 育児短時間勤務申出書」を提出した従業員は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)育児短時間勤務の適用を受ける期間の賃金については、別途定める「賃金規程」(省略)に基づく基本給および諸手当を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給および諸手当を支給する。
6)育児短時間勤務の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第12条(育児時差出勤)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、申し出ることにより、始業および終業の時刻を次のように変更することができる。

  • 時差出勤A:午前9時始業、午後5時30分終業。
  • 時差出勤B:午前9時30分始業、午後6時終業。
  • 時差出勤C:午前10時始業、午後6時30分終業。

2)育児時差出勤の適用を申し出る従業員は、1回につき、1年以内の期間について、制度の適用を開始しようとする日(以下「時差出勤開始予定日」)および終了しようとする日、並びに時差出勤Aから時差出勤Cのいずれに変更するかを明らかにして、原則として時差出勤開始予定日の1カ月前までに、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を総務部に提出しなければならない。
3)会社は、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4)育児時差出勤の適用の申出日の後に申し出に関わる子が出生したときは、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を提出した従業員(以下「育児時差出勤の申出者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)時差出勤開始予定日の前日までに、申し出に関わる子の死亡などにより育児時差出勤の申出者が申し出に関わる子を養育しないこととなった場合には、申し出はされなかったものとみなす。この場合において、育児時差出勤の申出者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に育児時差出勤は終了するものとする。

  • 子の死亡など育児時差出勤に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 育児時差出勤に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • .育児時差出勤の申出者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

7)前項各号の事由が生じた場合には、育児時差出勤の申出者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
8)育児時差出勤の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第13条(教育訓練)
会社は、3カ月以上の育児休業を取得する従業員が育児休業期間中に復職準備プログラムの受講を希望する場合、別途定める「復職準備プログラム基本計画」(省略)に沿って、当該従業員に会社の負担で復職準備プログラムを実施する。

第14条(復職後の取り扱い)
育児休業等後の勤務は、原則として、休業直前の部署および職務で行うものとする。ただし、本人の希望がある場合および組織の変更などやむを得ない事情がある場合には、部署および職務を変更することがある。

第15条(ハラスメントの防止および不利益取り扱いの禁止)
1)会社は、従業員が「育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務などの申し出や請求」(以下「育児休業等の利用」)をした従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。
2)第1項の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則(省略)第○条に基づき、厳正に対処する。
3)会社は、育児休業等の利用をしたことを理由に、従業員に対して解雇などのいかなる不利益な取り扱いも行わない。

第16条(支援制度に関する説明と制度利用に対する意向の確認)
会社は、従業員から従業員本人または配偶者が妊娠・出産した旨の報告があった場合、速やかに従業員との面談を行い、本規程に掲げる育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務など各支援制度の内容について説明し、制度利用に対する意向を確認しなければならない。また、従業員が制度の利用を希望する場合、その利用が滞りなく進むよう必要な配慮をしなければならない。

第17条(育児休業等相談窓口の設置)
1)会社は、「育児休業等相談窓口」を設置する。「育児休業等相談窓口」は育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務など各支援制度の利用に当たり、従業員本人やその家族からの相談および苦情の受け付けを行う。
2)「育児休業等相談窓口」の責任者(以下「窓口責任者」)は総務部長とし、「育児休業等相談窓口」の担当者(以下「窓口担当者」)は会社が個別に指名した従業員等とする。
3)会社は、窓口責任者および窓口担当者の名前を、人事異動などの変更の都度、周知させる。

第18条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

社内様式1 育児休業等申出書

社内様式2 育児休業等取扱通知書

社内様式3 対象児出生届

社内様式4 育児休業等撤回届

社内様式5 育児休業等期間変更申出書

社内様式6 子の看護休暇申出書

社内様式7 所定外労働制限請求書

社内様式8 時間外労働制限請求書

社内様式9 深夜業制限請求書

社内様式10 育児短時間勤務申出書

社内様式11 育児短時間勤務取扱通知書

社内様式12 育児時差出勤申出書

以上(2022年10月)
(監修 シンシア総合労務事務所 特定社会保険労務士 白石和之)

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画像:ESB Professional-shutterstock

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