1 地域別最低賃金制度と2023年度引き上げ額

地域別最低賃金が、過去最大の引き上げ率により、全国加重平均1,002円へと改定されてから2か月が経過しました。都道府県別に見ると、最高は東京都の1,113円で、最も低い岩手県では、従前から39円引き上げられて893円となっています。政府の最重要課題に位置付けられた賃上げを実行する形での改定となりましたが、企業ではどんな影響があるのか、求められている実務的対応とともにまとめました。

毎年10月に改定される地域別最低賃金は、夏頃に中央最低賃金審議会で答申が取りまとめられ、都道府県労働局長が決定します。労働者代表、使用者代表と公益代表の各同数による委員で、賃金に関する実態調査結果などの各種統計を参考に、審議が行われています。こうして決定された地域別最低賃金の全国加重平均が千円を超えるのは初めてのことであり、昨年度に引き続き、2年連続で過去最大の引き上げとなりました。

この地域別最低賃金は、アルバイトや臨時等の雇用形態や呼称に関係なく、原則としてすべての労働者に適用されます。もちろん、試用期間であっても最低賃金を下回ることはできません。実際に支払われた賃金が最低賃金額を下回っていた場合は、法律上、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされるため、不足分は未払い賃金となり、労働者は支払請求をすることができます。

2 地域別最低賃金額を正しく満たしているか確認する方法

ここで、最低賃金の対象となる賃金を確認してみましょう。実際の賃金は、時間外手当や休日手当、さらに皆勤手当や通勤手当等、さまざまな手当から成り立っていることが多いですが、これらすべてを対象として最低賃金の時間額を計算することはできません。つまり、最低賃金の対象となるのは、「毎月支払われる基本的な賃金」であり、割増賃金や臨時に支払われた賃金等を含めることはできません。さらに、毎月支払われる賃金であったとしても、精皆勤手当や通勤手当、家族手当は最低賃金の対象とはならないことに注意が必要です。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象になるとともに、その賃金額が、地域別最低賃金額を満たしていなければなりません。

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画像:photo-ac

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