書いてあること
- 主な読者:忘年会、新年会シーズンになり、たくさんの飲み会を控えている経営者など
- 課題:飲みすぎると翌日のパフォーマンスが落ちるが、飲み会で飲まないというのも……
- 解決策:シーン(相手や会食の重要度など)によって「飲む量」を使い分ける
1 お酒を飲まない経営者が増えている?
2023年も残すところあとわずかになりました。2023年はコロナ禍で自粛していた忘年会を復活させる会社も多く、年が明ければお正月や新年会などお酒を飲む機会が増えます。
大いに盛り上がりそうな年末年始です!
宴会好きにはたまらないシーズンですが、最近、お酒を飲めるけれど、量を控えたり、あえて飲まなかったりする人が増えてきていることをご存じですか。そうしたライフスタイルを「ソバーキュリアス」と呼び、今では若者だけではなく年配の人にも広まってきています。皆さんのまわりにも、飲み会でお酒は最初の1杯だけにしたり、全く飲まなかったりする人はいないでしょうか?
ソバーキュリアスが増えている背景にはどのような価値観の変化があるのか、実際に経営者はお酒を飲まなくなったのかを見ていきましょう。
2 ソバーキュリアスとは?
ソバーキュリアスとは、
「sober(しらふ)」と「curious(好奇心あふれる)」の造語で、お酒を飲めるけれど、あえて飲まない(量を控える)ライフスタイル
のことです。諸説ありますが、日本では2021年ごろから注目され始めたとされています。禁酒や断酒と似たイメージがあるかもしれませんが、両者は似て非なるものです。禁酒や断酒は、お酒が好きなのに健康のためなどそうせざるを得ない事情があってするわけですが、ソバーキュリアスはポジティブに自ら選択するライフスタイルです。
なぜ、今ソバーキュリアスが増えているのか。それは、次のようなメリットがあるからです。
1)健康への関心
まずは何といっても健康への関心の高まりです。アルコールが健康に与える影響はさまざまで、過剰摂取すればさまざまな問題を引き起こす恐れがあります。メンタルヘルスについても同様です。ストレスや不安を和らげるために過度にアルコールを摂取するのはよくありません。それに、飲酒は睡眠の質を落とすともいわれます。こうした問題を避けるために、あえて飲まない選択をしているのです。
2)時間の有効活用
「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉があるくらい、現代はいかに有効に時間を使うかを重要視します。酔って寝てしまったり、翌日に二日酔いでパフォーマンスが落ちたりするくらいなら、お酒を飲まず、しらふで時間を有効に使いたいという価値観が広まっています。
3)お金の節約
お酒を飲むと、それなりにお金がかかります。忘年会や新年会のシーズンはなおさらで、2次会、3次会と続くと出費がかさみます。飲んだ後にお腹が減り、シメにラーメンやパフェを食べることも。家で飲む場合も同じでしょう。その点、お酒を飲まなければ、出費を抑えられます。
4)ノンアルコール飲料の浸透
今ではノンアルコール飲料の種類が豊富で、居酒屋などでも何らかのノンアルコール飲料が置いてあることが多いです。それに、何と言ってもおいしくなっていますので、お酒のようなテイストを楽しむことができます。
5)お酒をめぐる価値観の変化
以上、ソバーキュリアスが増えている理由をいくつか紹介しましたが、
根底には、お酒をめぐる価値観の変化
があります。飲み会を例にとれば、かつては「飲み会でお酒を飲まないなんて言語道断」という雰囲気がありましたが、今ではお酒を勧めすぎると「アルハラ」と呼ばれる時代です。あるいは、多少酔っていても「無礼講」でコミュニケーションをとることが親密な証しだった雰囲気も変わり、今ではしらふで相手に配慮しながら話せるスマートさのほうが大切だと考える人が増えているようです。
これは、どちらが良いか悪いかということではなく、個人の選択です。ソバーキュリアスも完全にお酒を飲まないとは限らず、これまで週5日飲んでいたところを週1回にするとか、会社での飲み会では飲まないようにするなど、さまざまな選択が考えられます。ある意味で、ソバーキュリアスはお酒に対する選択肢を増やし、個人の自由度を高めるものであるといえるため、世代を超えて広まりを見せつつあるのでしょう。
3 【経営者アンケート】飲む選択と飲まない選択
では、実際のところ経営者にソバーキュリアスは広まっているのでしょうか。お酒を飲める経営者550人を対象に独自アンケートを行いました(実施期間は2023年11月29日から11月30日まで)。その結果は次の通りです。
1)お酒を飲む頻度
お酒を飲む頻度については、「変わらず、飲んでいる」という経営者が51.6%と過半数なのに対し、「飲まなくなった」という経営者は8.0%にとどまります。一方、「会食の重要度によって、量を減らしたり、飲まなかったりする」という経営者が26.0%いることから、飲む量を使い分けている経営者が少なくないようです。
2)お酒を飲む理由
次にお酒を飲む理由について聞いてみました。「お酒が好きだから」という納得の理由を示す経営者が71.8%と、最も多くなっています。注目したいのは、「多少、酔ったほうが会話も弾んで楽しいから」という経営者が47.5%いることです。場を盛り上げるなどの目的で、あえてお酒を飲むというケースもあるのでしょう。
3)お酒を飲まない理由
逆にお酒を飲まない理由の上位は拮抗(きっこう)していて、「健康のため」が46.0%、「会食も仕事であり、会話に集中したいから」が44.4%、「次の日のパフォーマンスが良いため(二日酔いなどがないため)」が44.4%となっています。
4)お酒の量を減らす、または飲まないシーン
前述した通り、飲む量を使い分けている経営者は少なくありません。具体的には、「大切なクライアントとの会食」でお酒の量を減らしたりする経営者は51.9%となっています。逆に「部下との1対1の会食」では、お酒の量を気にする経営者が少ないようです。
5)ソバーキュリアスを知っているか
最後に、ソバーキュリアスという言葉を知っているか質問してみました。
すると、「ソバーキュリアスという言葉を知っている」という経営者は13.1%にとどまっていました。経営者は、ソバーキュリアスに関係なく、ビジネスシーンに応じて、既に飲む量を使い分けているということでしょう。
いかがだったでしょうか。年末年始の飲み会シーズンの気になる話題を紹介しました。
2023年の忘年会、2024年のお正月や新年会。
皆さんは飲みますか? 飲みませんか?
いずれにしても健康第一!
2023年はお疲れさまです。2024年も頑張りましょう!
以上(2023年12月作成)
pj10077
画像:Mariko Mitsuda