書いてあること

  • 主な読者:税金納付を金融機関の窓口で行っている企業の経理担当者
  • 課題:税金納付の時間を短縮したい
  • 解決策:以前はクレジットカードで納付できる税金の科目がすくなかったが、現在は拡大され、多くの税金が対象になっている

1 クレジットカード納付の対象税金

2017年1月より、「国税」をクレジットカードで納付できるようになりました。それ以前は、国税の納付については、現金納付、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキングなどを利用した電子納税、延納・物納(相続税・贈与税)の方法(詳細は後述)のみでした。

また、一部の地方自治体(東京都など)ではすでに住民税・事業税・固定資産税・都市計画税、自動車税などの地方税についてクレジットカード納付は認められていましたが、所得税などの国税は適用対象外でした。

なお、クレジットカード納付の適用対象である税金は次の通りです。

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2 国税のクレジットカード納付の概要

1)制度の概要

国税のクレジットカード納付は、インターネット上のクレジットカード支払いの機能を利用して、国が指定する納付受託者(クレジットカード会社)へ、納付の立て替え払いを委託する手続きをいいます。

クレジットカードにより国税の納付ができる金額は、1000万円未満かつ、クレジットカードの決済可能額以下(決済手数料を含む)です。ただし、これはクレジットカード納付手続き1度ごとの利用可能額となるため、納付税額が1000万円以上となる場合、決済可能額以下であれば、納付手続きを複数回行うことで、クレジットカード納付の利用が可能となります。

また、利用できるクレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDのマークが付いているものに限定されています。

なお、納付税額に応じた決済手数料が別途必要になります。決済手数料は、最初の1万円までは76円(税抜)、以後1万円を超えるごとに76円(税抜)が加算されます。

2)利用方法

国税のクレジットカード納付は、専用サイト「国税クレジットカードお支払サイト」を通じて、インターネット上で決済手続きを行います。そのため、銀行の窓口やコンビニエンスストアのレジでのクレジットカードによる納付はできません。

クレジットカード納付の手順は次の通りです。

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納付手続きが完了すると、その手続きの取り消しや変更はできません。もし、誤って納付手続きをした場合には、後日税務署に対して還付等の手続きを行うことになります。なお、決済手数料は国の収入になるものではないため、還付等の対象にはなりません。

■国税クレジットカードお支払サイト■
https://kokuzei.noufu.jp/jpn/

3 クレジットカード納付のメリット

1)利便性の向上

クレジットカード納付は、休日を問わず24時間いつでも利用可能です。また、インターネットに接続可能なパソコンやスマートフォンなどを使って、どこからでも納付することができます。

なお、e-Taxからアクセスする場合は、e-Taxの利用時間に限ります。

2)資金繰りへの好影響

支払い回数を一括払い・分割払い(3回、5回、6回、10回、12回)、またはリボ払いのうちから選ぶことができます(カードの種類によっては、分割払いやリボ払いが利用できない場合があります)。そのため、納税に係る現金支出を先延ばしにすることができ、資金繰りの面で良い影響を与えることになります。

3)附帯税の課税リスクの回避

法定納期限内に納付手続きが完了していれば、その完了した日をもって延滞税や利子税が計算されます。そのため、分割払いなどにより引き落とし日が法定納期限よりも後になった場合でも、延滞税は発生しません。

たとえ手元に納税資金が不足している場合でも、延滞税などの附帯税の課税リスクを回避することができます。

4)ポイント還元による納税負担の軽減

カードの種類によってはポイントが付与されるものもあり、納税負担を軽減することができます。ただし、クレジットカード納付には決済手数料の支払いが必要です。ポイント還元率とクレジットカード納付に係る決済手数料の割合を比較し、ポイント還元率が決済手数料の割合を上回る場合に限り、納税負担の軽減が見込めます。

例えば、990万円の納税を、ポイント還元率1%のクレジットカードで行った場合の納税負担の軽減額は次の通りとなります(この場合の決済手数料は8万1259円(税込)となり、決済手数料の割合は約0.82%となります)。なお、カード会社ごとにポイントの還元率や算式が異なるので、実際に行う場合は、自社のカード会社に問い合わせるなどして確認するようにしましょう。

  • ポイント還元率=9万9000円(990万円×1%)
  • 決済手数料=8万1259円(詳細は後述)
  • 納税負担の軽減額=1万7741円(9万9000円-8万1259円)

4 クレジットカード納付のデメリット

1)決済手数料の負担

クレジットカード納付では、納付税額に応じた決済手数料が発生します。例えば、500万円の納付税額の場合の決済手数料は、4万1040円(税込)となります。「国税クレジットカードお支払サイト」では、990万円までの納付税額につき、決済手数料を試算することができます。

2)納付の都度、手続きが必要

クレジットカード納付は継続的な手続きではないため、その都度納付手続きを行う必要があります。この点については、振替納税のように継続して自動振替ができる納付方法に比べて、手間が掛かります。

3)納税の猶予の不適用

クレジットカード納付をした場合には、納税の猶予(一定の要件を満たした場合、1年以内の期間に限り納税の猶予が認められる制度)などの適用を受けることはできません。

5 (参考)その他の国税の納付手続きの概要

クレジットカード納付以外の国税の納付手続きの概要は次の通りです。

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以上(2019年10月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 山口善明)

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画像:pixabay

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