書いてあること

  • 主な読者:消費生活用製品の製造・輸入、または販売を行う事業者
  • 課題:消費生活用製品安全法について押さえておきたい
  • 解決策:「PSCマーク制度」「製品事故情報報告・公表制度」「長期使用製品安全点検・表示制度」について把握し、製品事故や危害拡大の防止を図る

1 消費生活用製品安全法(消安法)とは

消費生活用製品安全法(消安法)は、消費生活用製品により起こり得るけが、やけど、死亡などの事故の発生を未然に防ぎ、消費者の安全と利益を保護することを目的として制定された法律です。

消費生活用製品とは、家庭用電気製品をはじめ、一般消費者の生活の用に供される目的で、市場で一般消費者に販売されている製品のほとんどを指すものとされます(船舶、消火器具など、食品、毒物・劇物、自動車・原動機付自転車などの道路運送車両、高圧ガス容器、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療器具など、他の法令で個別に安全規制が図られている製品については除外)。

この記事では、消費生活用製品の製造・輸入、または販売を行う事業者の方向けに、消安法の柱である「PSCマーク制度」「製品事故情報報告・公表制度」「長期使用製品安全点検・表示制度」の3つの制度について紹介します。

2 PSCマーク制度

消費生活用製品の中でも、消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼす恐れがある「特定製品」について、国が定めた技術基準に適合していることを示すPSCマークの表示を義務付け、PSCマークのない製品の販売や販売目的の陳列を規制する制度です。

規制対象となる「特定製品」は、家庭用の圧力鍋および圧力釜、乗車用ヘルメット、乳幼児用ベッド、登山用ロープ、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、石油給湯機、石油風呂釜、石油ストーブ、ライターの10製品です。

特定製品の製造または輸入を行う事業者は、事業の届け出、自主検査による技術基準への適合の確認、検査記録の作成・保存などの義務を履行したとき、製品に○囲みのPSCマークを付すことができます。

また、特定製品のうち、乳幼児用ベッド、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、ライターの4製品は、特別特定製品として、自主検査に加え、登録検査機関による適合性検査が義務付けられています。特別特定製品の製造または輸入を行う事業者は、自主検査記録の作成・保存、登録検査機関による適合性検査への合格など義務を履行したとき、製品に◇囲みのPSCマークを付すことができます。

PSCマークのない危険な製品が市中に出回ったときは、消費者庁は製造・輸入または販売を行う事業者に回収などの措置を命ずることがあります。

3 製品事故情報報告・公表制度

消費生活用製品の製造または輸入を行う事業者に対して、重大製品事故が生じたことを知ったとき、10日以内に事故の発生日、概要などについて消費者庁に報告することを義務付ける制度です。

重大製品事故とは、消費生活用製品の使用に伴い発生した事故で、死亡事故、一酸化炭素中毒事故、30日以上の治療を要した事故、火災、後遺障害事故が該当します。

消費者庁は、重大製品事故による危害の発生および拡大を防止するため必要と認めるときには、製品の名称・型式、事故の内容などを迅速に公表します。

4 長期使用製品安全点検・表示制度

1)長期使用製品安全点検制度

経年劣化によって火災や死亡事故などを起こす恐れがある「特定保守製品」の製造または輸入を行う事業者に対して、設計上の標準使用期間、点検期間、点検の要請を容易にするための問い合わせ連絡先などの表示を義務付ける制度です。「特定保守製品」の製造または輸入を行う事業者が、製品の所有者に登録してもらい、設計標準使用期間が終わるころに点検の通知をして、所有者の依頼を受けて点検を実施し、事故の防止を図る仕組みです。

規制対象となる「特定保守製品」は、屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用・LPガス用)、屋内式ガスバーナー付風呂釜(都市ガス用・LPガス用)、石油給湯機、密閉燃焼式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、石油風呂釜、浴室用電気乾燥機の9品目です。

2)長期使用製品安全表示制度

「特定保守製品」ではないものの、長期にわたって使用され経年劣化による事故が多い製品の製造または輸入を行う事業者に対して、製品に設計上の標準使用期間と経年劣化に関する注意喚起などの表示を義務付ける制度です。

規制対象となる製品は、扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機(洗濯乾燥機を除く)、ブラウン管テレビの5品目です。

5 参考

1)関係法令、制度全般について知りたい方に

■経済産業省「消費生活用製品安全法」■
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/shouan/

実務レベルのガイドブック「消費生活用製品安全法 法令業務実施ガイド」の他、問い合わせ窓口となる経済産業局の情報も掲載されています。

2)製品事故情報報告・公表制度について詳しく知りたい方に

■消費者庁「消費者安全」■
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/

事故情報の集約等 > 消費生活用製品安全法のページに、制度の解説書「消費生活用製品安全法に基づく製品事故情報報告・公表制度の解説」の他、重大製品事故発生時の報告方法などが掲載されています。

3)具体的な製品事故情報・リコール情報について知りたい方に

■製品評価技術基盤機構(NITE)「製品事故情報・リコール情報」■
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/

NITEは、消費生活用製品等に関する事故情報の収集を行い、事故原因を調査・究明し、その結果を公表することによって、製品事故の再発・未然防止を図っています。

以上(2021年7月)

pj60025
画像:pexels

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です