書いてあること
- 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
- 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
- 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする
【賃金データ集】シリーズとは?
【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。
この記事で取り上げるのは「賞与・期末手当」です。
なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。
1 賞与・期末手当の位置付けとその概要
賞与・期末手当の中心は、夏と冬に支給される「賞与」です。この他にも、業績が好調だった企業が決算期に支給する「決算賞与(期末手当)」があります。
夏に支給される賞与を夏季手当または夏季一時金、冬に支給される賞与を冬季手当または年末一時金と呼びます。賞与・期末手当(以下「賞与」)の起こりは、江戸時代の商店主が盆・暮れなど何かと入り用な時期に、奉公人に臨時の小遣いを与えたことにあるようです(諸説があります)。その後、賞与は従業員の功労報奨や生活安定といった機能を持ちながら、終身雇用・年功序列の人事制度に組み入れられ、すっかり定着しました。
月例賃金は、業績が悪いからといって容易に金額を下げられないのに対し、賞与は、業績の良いときは多く、悪いときは少なく支給するなど、柔軟な対応がしやすいという特徴があります。そのため、景気の先行きの不透明感が強まる昨今では、月例賃金ではなく、賞与の支給額を上げることで、実質的な賃上げを図ろうとする企業も少なくありません。
2 賞与・期末手当の潮流
一般的にいわれる賞与の機能は、功労報奨や生活安定などさまざまです。
企業によって考え方は異なりますが、功労報奨、生活安定、慣例・恩恵の機能による支給額が賞与のベースとなり、その上に成果査定や業績連動の機能による支給額が上積みされるイメージです。多くの企業は、上積みとなる支給を重視し、業績の良いときは多く、悪いときは少なく賞与を支給するという運用を行っています。一方で、人手不足が深刻化する中、従業員の採用率・定着率を向上させるため、ベースとなる支給を重視し、業績に関係なく、一定以上の支給額を保障しようとする企業も少なくありません。
3 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額
4 日本経済団体連合会の統計資料によるモデル支給額
5 地域ごとの状況(東京、大阪、愛知)
6 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)
この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。
■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html
■(夏季・年末)民間主要企業一時金集計■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/shuntou/
■毎月勤労統計調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html
■夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09a.html
■(夏季・年末)賃上げ一時金調査■
http://www.pref.osaka.lg.jp/sogorodo/chousa/list3505.html
■県内企業の春季賃上げ、夏季一時金及び年末一時金要求・妥結状況調査結果■
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/rodofukushi/0000052467.html
以上(2024年6月更新)
pj17909
画像:ChatGPT