活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋から冬は日の入りが早くなり、夜が長くなっていきます。また、この時期の薄暮時間帯(日の入り時刻の前後1時間)は夕食準備の買い物や子供の帰宅の時間帯と重なり、歩行者への一層の注意が必要です。視界が悪くなる薄暮から夜間にかけての運転で欠かせないのがヘッドライト。そこで今号では、ヘッドライトの使い方と重要性について考えます。

ヘッドライトの使い方

1.薄暮時間帯における事故防止

◆令和元年から令和5年の5年間における死亡事故発生状況を分析した結果、次のことが明らかになりました。

死亡事故発生状況

  • 日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生している
  • 薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生しており、事故類型別では、横断中が約8割を占めている
  • 横断中の、特に横断歩道以外の横断における歩行者の約7割に法令違反がある

死亡事故発生状況

出典:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

◆薄暮時間帯に死亡事故が多い理由としては、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れること、距離や速度が分かりにくくなること、などが挙げられます。

◆薄暗くなる前からヘッドライトの「早め点灯」を行い、自分の車の存在を周囲に知らせるとともに、速度を落として歩行者の予想外の動きにも対応できるようにしましょう。

2.ヘッドライトはこまめに切り替えを

【ヘッドライトの保安基準】

ヘッドライトは、ハイビーム(上向き)とロービーム(下向き)を切り替えて使います。ヘッドライトの照射範囲は、ハイビームで前方100メートル、ロービームで前方40メートルの距離にある障害物を確認できる性能を有することとされています。

【ハイビーム/ロービームの切り替え】

ヘッドライトの使い方については「道路交通法」で規定されており、交通量の多い市街地などの通行時を除きハイビームにし、対向車とすれ違うときや、前の車に追走するようなときは、ロービームに切り替えることとされています。視界確保のためにはハイビームでの走行が望ましいのですが、他車や歩行者がいるときは眩惑などの原因となります。交通状況に応じて切り替えを行いましょう。

3.ヘッドライトの眩しさの危険性

ヘッドライトの眩しさにより周囲の自動車等の発見が遅れ、事故に繋がったケースが2021年までの10年間で300件以上発生しました※。眩しさの危険性に対し、以下の対策が挙げられます。

  • 交通状況に応じてハイビームとロービームの切り替えを適切に行うこと
  • 整備不良による光軸のズレなどを防ぐために点検整備をきちんと行うこと

このほか、ライトの向きを自動調整する「オートレベリング機能」も対策の一つです。この機能は今後、全ての新車(自動二輪車等を除く)に対し装備することが義務づけられました(適用は令和9年以降)。

オートレベリング機能

※出典:国土交通省「自動車のヘッドライトのオートレベリングの装備を拡大します!」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000311.html

この義務化はヘッドライトの眩しさが事故の要因になりうることが顕在化した結果ともいえます。もちろん、オートレベリング機能の有無にかかわらず、ライトの眩しさが周囲に及ぼす影響に配慮した運転を心がけましょう。

以上(2024年12月)

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画像:amanaimages