本書では、ユネスコに20年以上勤務する日本人唯一の世界遺産条約専門官が、理念や選定基準、登録プロセスといった世界遺産の概要とともに、現状の問題点を自らの体験や事例を多数まじえながら、リアルに解説している。
1972年にユネスコで採択され、1975年に発効した世界遺産条約は、「国境を越えた人類共通の財産」という概念を広め、人間が創り上げた「文化」と「自然」をひとつの国際条約の中に統合するものだ。登録遺産の保全や管理は、原則登録国の責任となるが、著者をはじめとする専門官がしっかりとサポートするのだという。