【ポイント】

  • 動画は特にテンポが大事。テンポが良くないと見ている側がストレスを感じる
  • 話す速度もテンポが大事だが、人の話で肝心なのは「内容の深さ」になってくる
  • どのような方法で情報を伝えるかによって、適したテンポや情報量は違う

YouTube(ユーチューブ)やTikTok(ティックトック)など、今や世の中にはさまざまな動画コンテンツがあふれています。当社も最近になって、会社の情報を発信するための動画制作を始めました。今日はそんな動画制作について、最近感じたことをお伝えします。

先日、知り合いの放送作家からこんな話を聞きました。その人いわく「ドラマで大事なのは脚本よりもテンポだ。どんなに脚本が良くても、テンポが悪いとつまらなくなる」のだそうです。脚本は面白いのに、場面が切り替わるときにたった2秒、余計な間が入るだけでテンポが悪くなり、そのせいで視聴者から「つまらない」と酷評されたドラマもあるのだとか。

私は以前、「社長の一日」という動画を制作しましたが、最初は動画の冒頭で、「今日の予定」を一覧で見せてから、顧客の訪問シーンに入ろうとしていました。そのほうが視聴者に分かりやすいと思ったからです。しかし、動画制作のプロからは、「動画ではそういう情報はいらない。テンポ良く、訪問シーンを次々に入れるほうが見やすい」と、きっぱり言われました。実際、できあがった動画では「今日の予定」はカットになりましたが、そのほうが断然見やすかったのです。制作者側が入れたい情報と、視聴者側が消化できる情報の間には、大きなギャップがあったわけです。

もちろん、情報発信においてはテンポだけでなく、情報量も大切です。例えば、私は最近、AIの最新動向のセミナーを聞きにいきました。登壇者がかなり早口な方でしたが、それでも苦にはなりませんでした。実際にAIを作っている人にしか話せない、知らない世界の面白い話ばかりだったからです。仮にセミナー内容を動画で配信するとしても、テンポのために話の一部をカットして「内容の深さ」を犠牲にすることはしたくありません。そうなってくると、この場合、多くの人にストレスを与えることなく情報を届ける方法は、動画よりもテキストのほうが向いているのかもしれません。

どのような方法で情報を伝えるかによって、適したテンポも情報量も違ってきます。さまざまな情報発信の手段がある今では、相手のことを考えた「情報発信のTPO」がとても大切なのではないか。これが、動画制作をするようになってから特に私が実感していることです。

以上(2025年4月作成)

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画像:Mariko Mitsuda