【ポイント】

  • 伊能忠敬は50歳で隠居してから学問の道を志し、弟子とともに日本地図を完成させた
  • AIが業務を肩代わりしてくれるようになり、私たちは「学び直し」の時間を作れる
  • いくつになっても知的好奇心を忘れず、学び続ける姿勢が、未来を切り開く原動力となる

今日は、ある歴史上の人物の生涯から、学び続けることの意義について考えてみたいと思います。紹介するのは、伊能忠敬(いのうただたか)です。彼は、江戸時代後期に日本全国を歩いて測量し、弟子とともに日本で初めての正確な実測地図を完成させたことで知られています。

伊能忠敬の人生で特に注目すべきは、彼がこの偉大な地図作りの旅に出た年齢です。なんと、彼は50歳で家業を息子に譲って隠居した後、本格的に天文学や測量学の道を志しました。そして、55歳で測量の旅に出発し、そこから実に17年もの歳月をかけて、全国を歩き続けたのです。彼が亡くなったのは73歳。地図が完成したのは、彼の死後、弟子たちの手によってでした。

この伊能忠敬の生涯は、私たちに非常に力強いメッセージを送ってくれます。それは、「勉強するのは何歳からでも遅くない」というものです。彼は若い頃から学問、特に算術や天文学に強い関心を持っていましたが、家業の経営に忙しく、本格的に学ぶ時間はなかなか取れませんでした。しかし、隠居という人生の転機を迎え、時間ができた時に、彼は迷わず長年の夢だった学問の道を選んだのです。当時50代という年齢で、新たな分野に飛び込み、しかも当時の最新の知識と技術を習得し、それを実践して歴史に残る大事業を成し遂げた彼の情熱と行動力には、ただただ驚かされます。

近年、私たちの業務環境は目まぐるしく変化しています。特に、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーの進化は目覚ましく、これまで人間が時間を割いて行っていたルーティンワークや情報整理の多くを、AIが肩代わりしてくれるようになってきています。伊能忠敬は隠居してようやく自由な時間を手に入れましたが、私たちは今、この瞬間にもそれができるわけです。もし、これまで「時間がないから」と諦めていたこと、あるいは漠然と「いつか学んでみたい」と考えていたことがあるなら、今こそがそのチャンスかもしれません。

これまで興味があった分野の深掘りでも、あるいは全く新しい挑戦でも構いません。伊能忠敬のように、いくつになっても知的好奇心を忘れず、学び続ける姿勢こそが、私たちの仕事や人生を豊かにし、未来を切り開く原動力となるはずです。

以上(2025年9月作成)

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画像:Mariko Mitsuda