【ポイント】
- 神道では、神事の前に「祓(はら)い」で不浄を取り除き、神々を待つ準備をする
- ビジネスでは、「勝負事の前に、勝負に臨むためのマインドをつくる」ことが大切
- 「深呼吸をする」「意気込みを紙に書きだす」など自分なりの祓いをして、勝負に臨もう
おはようございます。突然ですが、皆さんは「神楽月(かぐらづき)」というのをご存じですか?語源は神前で舞や音楽を奉納する「神楽(かぐら)」で、稲の収穫後や冬至の月に神を祀(まつ)る行事が多かったため、旧暦の11月を神楽月と呼ぶことがあるそうです。
さて、神楽に限らず神道では、神事の前に「祓(はら)い」という儀式が行われます。細かい内容は、神事の内容あるいは地域などによって異なりますが、例えば神楽の場合だと、東西南北の四方を舞い清めることなどがあります。心身に付いた罪や穢(けが)れなどの不浄を取り除き、清らかな状態に戻すことで、神々を待つ準備をするわけです。
なぜ、急にこんな話をするのかというと、この祓いは、私たちが日々仕事をする上での心構えにも大きく関係するからです。皆さんは「お客様は神様です」という言葉の由来をご存じでしょうか? 演歌歌手の三波春夫さんがよく口にしていた言葉だそうで、「客の前で歌うときは、あたかも神前で祈るときのように雑念を払い、澄み切った心にならなければ完璧な芸を見せることはできない」という意味が込められています。
大切なのは「雑念を払って、澄み切った心になる」「完璧な芸を見せる」という部分。つまり、神道の祓いというのはビジネス的な見方をすると、「勝負事の前に、勝負に臨むためのマインドをつくる儀式」ともいえるわけです。私たちの仕事の場面に置き換えてみましょう。
例えば、商談やプレゼンの当日であれば、「本番前に深呼吸をして、頬を軽くたたく」「当日の朝、意気込みを紙に1行ぐらいで書きだしてみる」といった具合に、何か特定の行動をしてみましょう。なんだか古臭いと思うかもしれませんが、「100パーセントの力を発揮できる」と自分に言い聞かせてやってみると、意外とそれが効いてくることがあるのです。
仕事に忙殺され、メリハリがなくなると、いざというときに力を発揮するのも難しくなります。大切なのは自分なりの「祓い」で場を整え、勝負に臨むこと。勝負の前のわずかな時間を大切にしていきましょう。
以上(2025年11月作成)
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画像:Mariko Mitsuda