(要旨)
- 2026年度税制改正大綱が決定。今回改正の特徴として、①所得課税の控除の見直し(いわゆる年収の壁)、②租特のメリハリ付け、③物価上昇に伴う複数の基準額の引き上げ、が挙げられる。
- 昨年来議論されてきた所得税の「年収の壁」については、物価上昇に伴う引き上げに加え、低中所得層に限定して特例措置を上乗せする形で課税最低限を178万円とする。国民民主党が従来から求めてきた課税最低限の水準だが、所得制限や住民税が除外されている点等で当初の国民民主党案とは大きく異なる内容である。
- 租税特別措置のメリハリ付けの方針のもと、大企業向けの賃上げ税制を25年度末で廃止とするなど賃上げ促進税制を縮小。また、所得税以外にも物価上昇に応じた基準額の見直しが複数実施される点も特徴。マイカー通勤の通勤手当や少額減価償却資産の基準額が物価上昇を踏まえて引き上げられる。
- 所得税の基礎控除については、住民税や課税ブラケットの見直しがなされておらず、ブラケット・クリープ対策として不十分な点が課題。また働き控え解消の観点では社保の壁への対応が重要であり、今後検討される給付付き税額控除がその役割を担うことが期待される。法人課税について、改正のベクトルは法人負担増方向になりつつある。2027年度予算以降本稼働する高市政権の日本版DOGEは更なる租特の見直しを主たる議論に据えるだろう。
2026年度税制改正大綱が決定
2026年度の税制改正大綱が閣議決定された。今後の国会の審議を経て、大綱の内容に基づいて税制改正が決定されていく見込みだ。今回の改正の主な内容は本稿末尾の参考資料に整理した。改正内容は多岐にわたるが、本稿ではその中でも3つのポイントに絞って、今回の大綱の内容の特徴をまとめていく。
基礎控除・給与所得控除最低額を引き上げ:2年に1度物価で改定、当初案とは異なる「178万円」
今回、所得税関連において大きな改正となったのが所得税の基礎控除等の引き上げだ。いわゆる「年収の壁」の見直しの議論である。今回の控除の見直しは大きく2つの改正に分けられる。①控除額の物価連動の枠組みの整備、②昨年の三党合意:“178万円を目指す”を踏まえた基礎控除の特例措置の拡充である。
①に関しては、所得税の基礎控除及び給与所得控除の最低額について、「消費者物価の上昇率」を用いて2年に1度見直すことが明記された。これに基づき、2026年分の基礎控除(所得税、本則部分)と給与所得控除は双方4万円の引き上げがなされ、それぞれ62万円(現行:58万円)、69万円(現行:65万円)とする。これらは恒久措置となる。控除額をインフレに応じて引き上げることは、控除多くの国で行われている措置だ。諸外国でもこれに伴う財源確保などは基本的に要しておらず、今回大綱でも同様に「これらの引上げは、物価調整を行うものであることを踏まえ、特段の財源確保措置を要しない」旨も示された。
②については、昨年に設けられた基礎控除の特例措置を拡大することで、給与収入665万円相当までの人の基礎控除(特例)の額を42万円まで引き上げる(従来は年収に応じて37~5万円)。さらに、給与所得控除にも特例措置として5万円の引き上げがなされる。これにより、引き上げられた基礎控除(本則)、給与所得控除最低額との合計は178万円に達することになる。年収帯ごとの基礎控除(所得税)改正の概要を資料1にまとめた。特例措置部分は2026年・2027年の時限措置として実施されることになる。
資料1.基礎控除(所得税)改正の全体像

(注)年収は給与収入の場合。赤字が今回改正部分。
(出所)自由民主党、日本維新の会「令和8年度税制改正大綱」より第一生命経済研究所が作成。
控除額の引き上げによって、各家計には減税効果が及ぶ。それらを試算したものが資料2である。特例措置の拡充の恩恵が及ぶ年収665万円以下の層の恩恵が特に大きいほか、基礎控除の本則部分の引き上げによって、高年収帯にも減税効果が及ぶことがわかる。昨年来「178万円」の実現を求めていた国民民主党の当初案では、中間層世帯でも10万円超の減税がなされる内容となっていた。これは103→178万円への引き上げのすべてについて、住民税を含む基礎控除の引き上げで実施するものであったことに由来する。また、178万円の根拠としていた「最低賃金上昇率で控除額の引き上げを行う」という仕組みについても取り入れられてはいない(消費者物価上昇率を採用)。所得税の課税最低限は178万円に引き上げられることとなったが、“引き上げ方”は国民民主党の当初案とは大きく異なる内容である。
なお、「今後、生活保護基準額が178万円に達するまでは課税最低限178万円を維持しつつ、(中略)基礎控除の本則部分と給与所得控除の最低保証額の引上げに応じて、同額を特例措置からそれぞれ振り替えていくことする」とされた。178万円のための特例措置部分については、“引き上げの先取り”として整理するイメージだ。
資料2.年収別の減税額試算
(25年と26年の比較、24年と26年の比較)

(注)単身の給与所得者を想定、住民税、復興特別所得税を勘案。一定の前提を置いた試算である。
(出所)税制改正の内容をもとに第一生命経済研究所が作成。
租税特別措置のメリハリ付け:大企業向け賃上げ促進税制は廃止に
各税の租税特別措置については、法人税を中心に見直しが行われる。昨年の税制改正大綱においても、過去に実施されてきた法人税率の引き下げについて、設備投資促進や雇用賃上げ促進等の効果が薄かったと評価してメリハリ付けの必要性が示されていた。今回、これらが改めて記述されるとともに、いくつかの租税特別措置の見直し・縮小が実行に移されることになる。
象徴的なものが賃上げ促進税制の縮小だ。一定の雇用や賃金の増加の要件を満たした企業に対する減税措置として実施されてきたが、大企業向けを2026年3月末で廃止、中堅企業(常時使用従業員2,000人以下)向けは2026年度に継続雇用者給与等支給額の増加要件を現行の3%以上から4%以上に引き上げたうえで2027年3月末に廃止、中小企業向けは現行制度を維持することが示された。一定の賃上げが定着しつつあることを受け、政策の必要性が薄れたとの判断のもとで制度の縮小が行われる。
また、研究開発税制については、AI・量子・半導体・バイオ・フュージョンエネルギー・宇宙の6分野を「戦略技術領域」として指定し、これらの分野では40%(認定機関との共同・委託研究は50%)の高い税額控除率を適用する一方、海外への委託研究については税額控除の対象を段階的に縮小し、2025年度は70%、2026年度は60%、2027年度は50%まで引き下げる。国内の研究開発基盤強化の観点から、国内での研究活動を促進する狙いがある。
設備投資減税については、新たに「特定生産性向上設備等投資促進税制」が創設された。投資額35億円以上(中小企業は5億円以上)で年平均投資利益率(ROI)15%以上という要件を設定したうえで、即時償却または7%(建物等は4%)の税額控除を可能とする。これにより、真に生産性向上に寄与する大規模投資に支援を集中させる方針が明確になっている。
物価高対応:マイカー通勤、少額減価償却資産などの基準額を引き上げ
物価高を受けた対応が複数盛り込まれたことも今回の改正の特徴だ。先の基礎控除等の引き上げもその一環であるが、ほかにもいくつかの改正がなされている。
まず、長年据え置かれてきた各種の税制上の基準額が物価上昇を踏まえて網羅的に見直された。マイカー通勤の通勤手当に係る所得税非課税限度額は、片道65km以上の長距離通勤者について新たに距離区分を細分化し、最大で月額66,400円まで引き上げられる(現行は55km以上で一律38,700円)。また、駐車場料金についても月額5,000円を上限に非課税限度額への加算が可能となる。
食事支給に係る非課税限度額も大幅に引き上げられる。使用者負担額の上限が月額3,500円から7,500円へと2倍以上に、深夜勤務の夜食代も1回300円から650円へと引き上げられる。これらは1980年代から据え置かれていた基準であり、実態との乖離が著しくなっていた。
また、少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の対象が30万円未満から40万円未満に引き上げられる。これにより、中小企業がパソコンやソフトウェアなどのIT機器を導入する際の税負担が軽減される。さらに、農業者年金の保険料上限が月額6.7万円から7.4万円に、厚生農業協同組合連合会の差額ベッド料金基準が5,000円以下から1万円以下に引き上げられるなど、物価上昇に対応した水準への調整が幅広く実施される。
今後の焦点:所得課税で積み残された課題と日本版DOGEの本稼働
今回大きな改正となったのは所得税の控除の見直しである。特に、日本でも物価上昇が定着しつつある中で、控除の自動調整の仕組みを整えた点は経済情勢に応じた適切な改正である。多くの先進国では基準額を物価上昇率等に応じて見直しており、日本でもその導入を行った点は評価したい。
しかし一方で、今回の改正対象は国税の所得税のみにとどまった。本来であれば、もう一つの所得課税である住民税の基礎控除も引き上げ対象に加えることがインフレ調整として適切な対応となる。大綱では「個人住民税については、「地域社会の会費」的な性格を踏まえ、所得税の諸控除の見直しのほか、地方税財源への影響や税務手続簡素化の観点等を踏まえつつ、その非課税限度額や基礎控除等について必要な対応を検討する」とされた。住民税の所得割は一律10%であり、“住民税の控除額が調整されない”ことで生じる負担は低中所得者にとってより大きい。
また弊著「『年収の壁』の議論が見落とす課題」(25.12.15)でも論じている通り、住民税のほかにも積み残された課題は多い。改正がなされた所得税についても課税最低限の引き上げのみにとどまっており、本来純粋なインフレ調整を実施するためには所得税の税率の上昇する所得の基準額も物価等に合わせて引き上げる必要がある。アメリカなどでは課税最低限のみでなくこの基準額も毎年自動調整がなされている。住民税の課税最低限や税率変更の基準額の調整が不在となっていることで、インフレとともに所得課税の実効税率が引き上がってしまう「ブラケット・クリープ」の問題は部分的にしか解消されていない。この問題に対して早期に解決を図るべきであろう。
さらに、控除のインフレ調整の問題と働き控えを生む年収の壁の問題は本来切り分けて考えるべきものである。手取り収入の急減につながるのは社会保険の壁(106万円・130万円・週20時間の壁)である。今後、給付付き税額控除の導入が本格的に議論されていくことになるが、社会保険料の負担が急増するこの社保の壁を解決する方向で進めることが望ましいだろう。
法人課税については、昨年の大綱に続いて従来の法人税率引き下げの効果を疑問視する旨の記載が盛り込まれたほか、今回は大企業向け賃上げ促進税制の廃止などが具体化された。インセンティブを強化しつつも、ベクトルとしては法人負担増を求める方向になりつつあると考えられる。社会保険料の増加に伴う家計の可処分所得の圧縮や個人消費の伸び悩みなどが日本経済の課題となる中で、特に法人課税関連の租特の圧縮は今後も実行されていく可能性が高そうだ。高市政権で発足した日本版DOGE(租税特別措置・補助金見直し担当室)は2027年度予算以降に本格的に稼働するスケジュールであり、この点が今後主たる議論となることが見込まれる。
参考資料.2026年度税制改正大綱の主な改正内容
1.物価高への対応
1.1物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設
(物価上昇に伴う控除額の引き上げ)
物価上昇に対応し、所得税の人的控除等について自動的に調整する仕組みを新たに創設。
- 令和8年度税制改正では、令和5年10月~令和7年10月の2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率6.0%を踏まえ引上げを実施
- 基礎控除(本則):58万円 → 62万円(+4万円)
- 対象:合計所得金額2,350万円以下の個人
- 給与所得控除の最低保障額:65万円 → 69万円(+4万円)
(今後の調整ルール)
- 見直し前の控除額に、税制改正時点の直近2年間のCPI(総合)上昇率を乗じて調整
- 初年度は源泉徴収では対応せず、年末調整から適用
1.2「三党合意」を踏まえた更なる対応(課税最低限178万円)
(基礎控除の特例〔時限措置〕)
物価高への迅速な対応として、所得税の課税最低限を178万円とする特例措置を、令和8年・9年分に限り実施。
- 給与収入200万円相当以下
- 基礎控除特例:37万円 → 42万円(+5万円)
- 給与収入200万円超~475万円相当以下
- 基礎控除特例:30万円 → 42万円(+12万円)
- 給与収入475万円超~665万円相当以下
- 基礎控除特例:10万円 → 42万円(+32万円)
- 給与所得控除の最低保障額についても一律5万円引上げ
1.3税制上の基準額の点検・見直し
物価上昇を踏まえ、長期間据え置かれてきた税制上の各種基準額を網羅的に見直し。
- (マイカー通勤の通勤手当非課税限度額)
- 通勤距離65km以上の非課税限度額を引上げ
- 駐車場料金相当額を月額5,000円まで加算可能
- (食事支給の非課税限度額)
- 使用者負担上限:月額3,500円 → 7,500円
- 深夜勤務の夜食代:1回300円以下 → 650円以下
- (中小企業者等の少額減価償却資産)
- 取得価額基準:30万円未満 → 40万円未満
- (厚生農業協同組合連合会の差額ベッド料金)
- 病室差額料の平均額:5,000円以下 → 1万円以下
2.「強い経済」の実現に向けた対応
2.1大胆な設備投資の促進に向けた税制措置の創設
国内における高付加価値化型の大規模設備投資を促進するため、新たな税制措置を創設。
- 投資下限額:取得価額の合計額が35億円以上(中小企業等は5億円以上)
- ROI(投下資本利益率)15%以上を要件
- 認定計画に基づく設備投資について、税額控除(7%、建物は4%)又は即時償却を選択適用
2.2研究開発税制の抜本強化
(重点産業技術試験研究費〔戦略技術領域型〕)
- 基本税額控除率:40%
- 認定機関との共同・委託研究:50%
- 控除上限:法人税額の10%
- 3年間の繰越控除を可能
(一般試験研究費)
- 試験研究費の増減割合に応じ、8.5%~14%の税額控除率
- 原則上限:法人税額の10%
(中小企業技術基盤強化税制)
- 新たに3年間の繰越税額控除を導入
- 増減試験研究費割合12%超等の特例を3年間延長
(海外委託研究の見直し)
- 海外委託研究について、
- 控除対象割合を段階的に縮減
- 令和8年度:70%
- 令和9年度:60%
- 令和10年度:50%
- 医薬品等の臨床試験は制限対象外
2.3住宅ローン控除の拡充
- 適用期限を5年間延長(令和12年12月31日まで)
- 既存住宅の優遇拡充:
- 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅:借入限度額3,500万円
- 省エネ基準適合以上の既存住宅:
- 控除期間を10年間→13年間に拡充
- 子育て世帯等向け特例:
- 認定住宅:借入限度額最大5,000万円
- 対象を省エネ基準適合以上の既存住宅にも拡大
- 床面積要件の緩和:
- 40㎡以上50㎡未満も対象(合計所得金額1,000万円以下の年)
- 災害レッドゾーンでの新築は適用対象外(建替えを除く)
2.4オープンイノベーション促進税制(M&A型)の拡充
- 適用期限を2年間延長
(増資特定株式)
- 株式取得価額要件:
- 中小企業者以外:1億円以上 → 2億円以上
(買収による過半数取得)
- 取得価額要件:5億円以上 → 7億円以上
- 吸収合併時の特別勘定:
- 合併日の翌事業年度から5年間で均等取崩し
(段階的買収への対応【新設】)
- 対象:3年以内に過半数取得が見込まれる株式取得
- 取得価額要件:3億円以上
- 税制措置:
- 取得価額の20%以下を特別勘定として損金算入
- 上限額:200億円
3.資産形成の促進と金融を通じた経済成長
3.1 NISAの拡充
- つみたて投資枠の対象年齢を0歳まで拡大
- 0~17歳:
- 年間投資枠:60万円
- 非課税保有限度額:600万円
- 12歳以降は子の同意を条件に払出し可能
- 積立枠の対象商品の拡充:
- 債券比率50%超の投資信託
3.2暗号資産の分離課税化
- 投資家保護の法整備等を前提に、
- 資産形成に資する暗号資産を分離課税の対象とする
- 対象取引:
- 現物取引、デリバティブ取引、ETF
- 3年間の損失繰越控除制度を創設
3.3ふるさと納税の見直し
(特例控除額の上限設定:令和10年度分以後)
- 上限額:
- 住民税所得割額の2割と定額上限(道府県民税77.2万円+市町村民税115.8万円)のいずれか低い額
(制度運用の適正化)
- 寄附金活用可能額:
- (寄附金総額-募集費用)≧ 寄附金総額の60%(経過措置あり)
- 使途に関する公表義務を新設
- 指定取消しの強化:
- 再指定禁止期間:2年 → 最大3年
- 遡及期間:1年 → 最大4年
4.租税特別措置等の見直し・適正化
4.1賃上げ促進税制の見直し
- 大企業向け措置:適用期限を待たず令和7年度末で廃止
- 中堅企業向け措置:要件を強化しつつ令和8年度は継続。その後廃止。
- 中小企業向け措置:令和8年度は現行制度を維持、必要な見直しを検討
- 教育訓練費増加による上乗せ要件は廃止
4.2租税特別措置の不適用措置の強化
- 大企業の研究開発税制等の適用の際、設備投資と賃上げについて、双方の要件を同時に満たすことを要求
4.3教育資金一括贈与の廃止
- 適用期限(令和8年3月末)をもって延長せず廃止
- 格差固定化懸念、教育無償化の進展、NISA拡充等を踏まえた判断
5.地方の伸びしろの活用・暮らしの安定
5.1中小企業支援
- 少額減価償却資産の特例(再掲):
- 取得価額基準:30万円未満 → 40万円未満
- 適用期間を3年間延長
- 中小企業技術基盤強化税制:
- 3年間の繰越税額控除を導入
- 事業承継税制:
- 法人版:特例承継計画の提出期限を令和9年9月末まで延長
- 個人版:提出期限を令和10年9月末まで延長
5.2ひとり親控除の拡充
- 所得税:35万円 → 38万円(令和9年分以後)
- 個人住民税:30万円 → 33万円(令和10年度分以後)
6.自動車関係諸税の見直し
6.1電気自動車への課税の見直し
- 保有段階:
- EVの自動車税について車両重量課税方式を検討
- 令和9年度税制改正で結論
- 利用段階(令和10年5月1日施行):
- EV・PHEVに重量税の特例加算を車検時に徴収
- 新車の新規検査分は課税免除
6.2軽油引取税の当分の間税率の廃止
- 令和8年4月1日に廃止
6.3自動車重量税のエコカー減税
- 適用期限を2年間延長
- 燃費基準を段階的に強化
6.4環境性能割の廃止
- 令和8年3月31日に廃止
- 減収分は国の責任で手当
7.防衛力強化に係る財源確保
7.1防衛特別所得税(仮称)の創設
- 所得税額に対し税率1%の付加税
- 課税期間:令和9年1月以後
- 家計負担増回避のため、
- 復興特別所得税の税率を1%引下げ
- 課税期間を令和29年まで延長
8.財源確保措置
8.1当分の間税率廃止・教育無償化の財源
- 令和8年度税制改正により、約1.2兆円(平年度)を確保
- 主な内訳:
- 賃上げ促進税制の見直し
- 超高所得者負担の適正化
- 教育資金一括贈与の廃止
9.税負担の公平性確保
9.1極めて高い水準の所得に対する負担の適正化
- 基準所得金額:3億3,000万円 → 1億6,500万円
- 税率:22.5% → 30%
- 適用:令和9年分以後の所得税
9.2租税回避への対応強化
- 貸付用不動産の評価を利用した租税回避への対応
- マンションの投機的取引の実態把握
<今後の検討事項>
- 法人税率の在り方(メリハリある体系の構築)
- 高校生年代の扶養控除の在り方
- 自動車関係諸税(車体課税・燃料課税の一体的検討) など
以上(2026年1月)
(執筆 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 星野 卓也)
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。