【ポイント】

  • クジラは食べるだけのものではない。そのひげは昔、人形のワイヤーに使われていた
  • モノの価値は1つじゃない。「他にも使い道があるかもしれない」と考えることが大事
  • モノの真価は使ってみないと分からない。失敗しても、別の活かし方の可能性を探ろう

今日は、最近知って「おもしろいな」と感じた、クジラの話をしたいと思います。昔の日本では、クジラは「食べるだけのもの」ではありませんでした。例えば、クジラのひげは、人形浄瑠璃で人形を操るためのワイヤーに使われていました。クジラのひげには「軽い」「よくしなる」「折れにくい」という特性があり、それが人形を細かく動かすのに最適だったのです。

海の巨大な生き物の一部が、舞台の小さな人形の、首や目を動かす繊細な仕掛けになっていた。一見、全く関係なさそうな世界同士がつながっているところに、私はすごくワクワクしましたし、せっかく捕った命をムダにしない、昔の人の精神性にも感銘を受けました。さて、この話を通じて皆さんにお伝えしたいことが2つあります。

1つは「モノの価値は1つじゃない」ということ。当たり前ですが、仮に昔の人がクジラを「食べるだけのもの」と考えていたら、クジラのひげは使われることなく、捨てられていたでしょう。「他にも使い道があるかもしれない」と考えるところから、全ては始まるのです。例えば、コンペで負けた提案書は、一部を組み替えれば別の提案で再利用できるかもしれませんし、過去のクレーム対応のやり取りは、整理すれば応対マニュアルや研修素材にできるかもしれませんよね。会社の中に眠っているクジラのひげを皆さんも探してみてください。

もう1つは「モノの真価は使ってみないと分からない」ということ。クジラのひげは結果的に人形のワイヤーになりましたが、昔の人がいきなりその使い道にたどり着けたのかというと、そうではないと思います。当然、「こうやって使ってみたけど、駄目だった」という失敗もあったでしょう。それでも「別の活かし方はないか?」と、あらゆる方向から可能性を探り、試行錯誤を繰り返したからこそ、人形に命を吹き込むという最高の使い道が見つかったのではないでしょうか。大切なのは早々に諦めず、価値が見つかるまで使ってみることです。

皆さんもぜひ、日々の仕事の中で「これ、ムダになっていないか?」「この人・この道具・この情報の、別の活かし方はないか?」と疑問を持つことを意識してください。皆さんの中から、新しい“クジラのひげの使い道”が生まれることを期待しています。

以上(2026年2月作成)

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画像:Mariko Mitsuda